

大日方さくら
こんにちわ! 看護研究科の大日方 さくらです! 母性看護学実習の事前学習で一番大変なのが、各期の標準看護計画の作成だと思います。
母性看護学実習では、妊娠期、分娩期、産褥期と3段階のアセスメントとベビーの出生前のアセスメント、出生後のアセスメントが必要となります。
特に、妊娠期のアセスメントは産褥期、ベビーのアセスメントに非常に重要になります。しっかりとアセスメントや観察項目ってなんだっけ?っと困らない様、準備しておくことが大事です。
ここでは母性看護学実習で必ずアセスメントし看護計画を立案することになる妊娠末期の標準看護計画について解説したいと思います。

1.母性看護学実習で役に立つ妊娠初期・中期・後期の標準看護計画
妊娠初期・中期・後期の看護上の問題
#1(関連因子)ではあるが、妊娠経過は順調である。
#2(関連因子)ではあるが、胎児の発育・発達は順調で健康である
#3(関連因子)ではあるが、心理状態は安定している
#4(関連因子)ではあるが、母親としての役割行動が進んでいる
#5(関連因子)ではあるが、新しい家族を迎えるための役割調整が進みつつある
#6(関連因子)ではあるが、妊娠・子育てのための生活環境が整っている
妊娠初期・中期・後期の看護上の期待される結果
#1(関連因子)ではあるが、妊娠経過は順調である。
#2(関連因子)ではあるが、胎児の発育・発達は順調で健康である
#3(関連因子)ではあるが、心理状態は安定している
#4(関連因子)ではあるが、母親としての役割行動が進んでいる
#5(関連因子)ではあるが、新しい家族を迎えるための役割調整が進みつつある
#6(関連因子)ではあるが、妊娠・子育てのための生活環境が整っている
妊娠初期・中期・後期の具体的計画
(妊娠期)妊娠経過(母体の状態)
妊娠初期・中期・後期の看護上の問題
#1(関連因子)ではあるが、妊娠経過は順調である。
妊娠初期・中期・後期の観察項目
1)年齢
2)妊娠経験
3)家族歴
4)既往歴
5)非妊娠時のBMI
アセスメントの結論:妊娠経過に影響を及ぼすリスク因子はどうか
1)バイタルサイン
2)妊娠週数
3)体重・身長
4)非妊娠時体重(BMI=体重÷身長2)
5)乳房の変化
6)マイナートラブルの有無
7)子宮底長
アセスメントの結論:妊娠週数に応じた身体の変化であるか
1)体重(前の妊婦健診との変化)
2)血圧
3)尿蛋白
4)尿糖
5)排便
6)感染症
7)性器出血
8)妊娠37週未満の規則的な子宮収縮
9)妊娠37週未満の子宮頚管の開大
10)貧血(Hb、Ht)の有無
11)腹部膨満感の有無
12)合併症の有無
アセスメントの結論:正常からの逸脱、または逸脱可能性は無い
#2(関連因子)ではあるが、胎児の発育・発達は順調で健康である
妊娠初期・中期・後期の観察項目
1)胎児の数と胎位・胎向・胎勢はどうか
アセスメントの結論:胎児の数と胎位・胎勢はどうか
1)子宮底長
2)超音波診断法(GS、CRL、BPD、EFBW)
3)腹部触診による胎児の大きさ
アセスメントの結論:胎児の発育は妊娠週数に応じているか
1)胎動
2)胎児心拍数FHRの値
3)超音波断層法での胎動
4)腹部触診による胎児の大きさ
アセスメントの結論:胎児の発育は妊娠週数に応じているか
1)揚水量(腹囲、超音波断層法)
2)胎盤付着部位(超音波断層法)
3)卵膜(破水の有無)
4)臍帯(血流量、巻絡、下垂)
アセスメントの結論:胎児付属物の状態はどうか
(妊娠期)心理・母親役割獲得過程(社会面も含む)
#3(関連因子)ではあるが、心理状態は安定している
妊娠初期・中期・後期の観察項目
1)表情
2)行動
3)Sデータ
①妊娠を受容しているか
4)服装、身だしなみ
5)身体の変化に対する対応
6)動作
7)Sデータ
①言語表現による不安やストレス対処行動の有無
#4(関連因子)ではあるが、母親としての役割行動が進んでいる
妊娠初期・中期・後期の観察項目
1)Sデータ
2)表情
⇒児を受容しているか
3)予約日に受診行動
①児の受容行動
②受診行動
母親学級、母乳育児学級等の受講行動
・ 定期健康診査の受診
・ 母子健康手帳の記入
⇒受診行動は適切であるか、学習行動はとれているか(出産準備、運動)
3)出産準備行動
①身体的準備(体重コントロール、妊婦体操、呼吸法、マタニティビクス、散歩等)
②心の準備
育児に対する関心、どんな出産をしたいのか、母乳育児に関する興味(入院時の準備、出産に向けた心の準備、産後の手配等)
③物品の準備(ベビー用品、育児費用など)
④バースプラン(出産場所、方法、立会の有無)
⇒バースプランを持っているか
育児準備行動はとれているか、
(母乳)育児に対する準備行動はとれているか
アセスメントの結論:母親としての役割行動はとれているか
4)育児準備行動
①物品の準備(ベビー用品、育児費用など)
②育児技術(授乳、沐浴)
③乳房の準備(乳房の手入れ、マッサージ等)
・乳房に関するケアの有無
・病院指定以外の学習活動
・立会い分娩の有無
・Sデータ
・ご主人の職業
・産休の有無
⇒パートナーとの関係は良好か、夫婦関係、パートナーの妊娠の受容、経済状況はどうか
アセスメントの結論:心理・役割取得に影響する因子はどうか
#5(関連因子)ではあるが、新しい家族を迎えるための役割調整が進みつつある
妊娠初期・中期・後期の観察項目
1)父親としての役割行動はとれているか
①父親としての自己概念
②児の受容
③パートナーへの配慮
④出産に向けての役割行動
⑤育児に向けての役割行動
・ 母親学級、父親学級の有無
・ 児に対する言動表現
⇒父親は児を受容しているか、父親としての役割行動がイメージできているか
アセスメントの結論:父親としての役割行動
1)家族関係
2)妊娠および胎児の受容
①上の子の反応
②祖父母の反応
アセスメントの結論:家族の受け入れ体制
1)出産後の育児に関する役割状況
アセスメントの結論:家族の役割調整
#6(関連因子)ではあるが、妊娠・子育てのための生活環境が整っている
産後の生活状況
妊娠初期・中期・後期の観察項目1)住居環境はどうか
①住居状況
②一戸建て、アパート:階層
③両家族など、援助者との関係
④病院、公共施設との距離
⑤買い物などの生活環境
2)社会資源・諸制度の情報把握と活用状況はどうか
①行政的サポート、法的制度、保育所など
3)サポート体制に関する情報把握と活用状況はどうか
4)育児サポート、子育て支援グループ、NPO活動など
⇒住居環境はどうか、社会資源・諸制度に関する情報把握と活用状況、サポート体制に関する情報把握と活用状況、勤労状況
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2.母性看護学実習で役に立つ妊娠初期・中期・後期のアセスメントの例を読んでみよう!
妊娠初期のアセスメント
今回は高齢で初めて出産する妊産婦さんのアセスメントを紹介しますね!
◯さんは35歳の高齢初産婦であり、加齢とともに全身性疾患の有病率が高くなるため、妊娠中の妊娠高血圧症候群、FGR、早産、妊娠糖尿病の産科異常を合併するリスクがある。
◯35歳の高齢妊娠による機能的、膣管の熟化不全により軟産道強靭リスクがある。軟産道の伸展性の不足や狭窄は分娩の進行を妨げ、遷延分娩になるリスクが生じる。
ここでは、家族歴のアセスメントを行います! 実の母親なのか、実母の出産時はどうであったのか詳しく聴取しアセスメントできるようにしましょう!!
◯実母では◯さんを出産する際、高血圧傾向であったことから遺伝的に関与し妊娠高血圧症候群リスクがある。
◯さんはどのようなお仕事をされているのか、専業主婦なのかどうなのか、仕事などがどのように出産に影響するのかアセスメントします!
◯看護師さん、1日6時間 9~16時勤務 パート)の勤労妊婦であるため、高齢妊婦というリスクと合わせて切迫流・早産や妊娠高血圧症候群が生じている。
身長、体重についてのアセスメントになります!
◯身長140cm、非妊娠時46.0㎏BMI21で標準的な体格である。
妊娠期の体重増加は胎児や付属物の発育およびこれによる子宮の増大以外に、乳房の増大、母体の循環血液量や体液量の増加、皮下脂肪の貯蔵が増えることが関与している。
妊娠期の推奨体重増加量ではBMI18.5〜25.0未満では7〜12㎏、妊娠中期から末期における1週間当たりの推奨体重増加量は0.〜0.5㎏/週である。
◯さんは妊娠末期までに非妊娠時(46.0㎏)より妊娠末期(38週0日で55.5㎏)+9.5㎏増であった。
◯さんは妊娠初期・中期・末期ともに順調に体重増加している。
排泄状況についてアセスメントしましょう!
◯トイレ回数が増えている状態である。
これは骨盤内で子宮が増大し近接する膀胱を圧迫したり、循環血漿量や糸球体濾過量の増加によって頻尿となる。
妊娠中期になると子宮が骨盤外に出るため頻尿はいったん落ち着くが、妊娠末期になると児頭の下降により再び頻尿になる。
頻尿は睡眠を中断するため睡眠不足になったり、就労妊婦では仕事の中断や集中力の低下に繋がることもある。頻尿の程度や尿量、頻尿に伴う不快症状、水分摂取状況を情報収集していく必要がある。
また、尿意を感じたら我慢しないことや夜間頻尿の場合は睡眠前の水分摂取を控えるなどのセルフケアを行っているか情報収集する必要がある。
◯妊産婦さんの血圧の変動は、生理的なものと病的なものがなります!妊娠期の血圧は非常に重要な項目の1つでもなります! しっかりとアセスメントしましょう!
◯現在の血圧は正常範囲内であり、初期では血圧の変動はほとんどないため、血圧の異常はないと推測する。
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