アセスメントの視点 | |||||
既往歴 | 呼吸状態 | 全身状態 | 検査所見 | その他 | |
① 喫煙歴 ② 気道刺激物の吸入歴 ③ 感染・アレルギーなどの既往歴 ④ 呼吸器疾患の家族歴 ⑤ 代謝性疾患の有無 | ① 頻回で持続する咳嗽 ② 咳嗽に伴う起床時から午前中に多い粘性の咳嗽 ③ 労作時の呼吸困難 ④ 頻呼吸 ⑤ 補助呼吸筋群を使用した呼吸 ⑥ 口すぼめ呼吸 ⑦ 鼻翼呼吸 ⑧ 呼吸音の減弱 ⑨ 呼気延長 ⑩ 喘鳴 ⑪ 副雑音 | 低酸素血症 (あるいは高二酸化炭素血症)による以下の症状の有無と程度についてアセスメントする ① チアノーゼ ② 傾眠・記憶障害・興奮・混乱・昏睡 ③ 落ち着きの無さ ④ 頻脈 ⑤ 心房性不整脈(期外収縮・心房細動) ⑥ 心電図異常 (右心負荷を反映した肺性P波・右軸偏位・不完全右脚ブロック) ⑦ 浮腫・頚静脈怒張・肝腫大 ⑧ 倦怠感 ⑨ 食欲不振 ⑩ 体重減少 ⑪ 便秘 | ① 呼吸機能検査:閉塞性換気障害(1秒率の低下・1秒量の低下、フローボリューム曲線の下降脚の急激な下降、肺活量の低下)、残気率の上昇・機能的残気量の増加 ② 動脈血ガス分析:低酸素血症、高二酸化炭素血症 ③ 胸部X線検査:肺野の透過性亢進、横隔膜の低位・平坦化、心胸比(CTR)の減少 ④ 胸部CT:肺気腫病変 | ① 生活環境(大気汚染の有無、住居構造) ② 薬物の使用状況 ③ 酸素の使用歴、呼吸補助器具の使用歴 ④ 病気に対する受け止め方 ⑤ 社会的役割 ⑥ 発達課題の達成度 ⑦ セルフケアレベル ⑧ サポートシステム |
① | 呼吸数が減少し1回換気量が増加する |
② | Sao2が改善する |
③ | 末梢肺胞の虚脱を防ぐことにより不均等換気が改善される。 |
④ | 唇のすぼめ方で呼気の速度を調整することができるため動作と呼気が合わせやすく動作による呼吸困難感を軽減する事ができる。 |
⑤ | 呼吸補助筋群の関与が増加することにより横隔膜の仕事を減らすことができる。 |
① | 呼吸補助筋の活動(上胸部の動き)が少なくなり横隔膜の活動(腹部の動き)が増加する。 |
② | 1回換気量が増加、呼吸数が減少し換気効率が改善する。 |
③ | 呼吸困難感が減少する |
④ | 酸素消費量が減少する。 |
① | 中等度から重症のCOPDでは胸郭の動きや呼吸効率がかえって減少する事がある。 |
② | 残気量が多く横隔膜の平坦化が著しい場合は横隔膜の可動範囲が少なく呼吸効率が悪くなる場合がある。 |
③ | 胸部と腹部の動きの協調性が悪く疲労感・呼吸困難感が増す場合がある。 |
⑤ | 病室を整え気管支刺激物質および刺激となる因子(花粉やほこり、空調のエアフィルタの汚れなど)を除去し、室内空気を清浄に保つ。 |
⑥ | 腹部膨満感による横隔膜の挙上や胸郭の拡張が抑制されることによる呼吸への悪影響を防ぐために1回摂取量を取りすぎない、ガスを発声する食品を避けるように指導する。 |
① | 低酸素血症による粗油状、呼吸状態、皮膚や粘膜の状態をアセスメントする |
② | 動脈血ガス分析値、Sao2、酸塩基平衡、電解質、心電図をモニタリングする |
③ | 気管および気管支の清浄化をはかる |
④ | 必要な酸素療法を行っても症状が改善しない場合は、医師の指示により換気補助療法を行う。その際はマスクをフィットしていて漏れていないか、指示された条件であるか、作動状態に問題は無いかなどを確認する。 |
⑤ | 気道確保が必要な場合には挿管あるいは気管切開を行い侵襲的陽圧換気療法が行われるため、挿管の準備、救急カートの点検を行う。COPDの増悪による侵襲的陽圧換気療法はそれ以前の患者の状態などを総合的に判断し患者および家族と十分に相談する。 |
① | 感染徴候、呼吸状態、呼吸・循環動態(血圧、脈拍、リズム、頚静脈怒張、尿量、)体液バランス、栄養状態をアセスメントする。 |
② | 気道分泌物を除去し気管および気管支の清浄化をはかる |
③ | 指示された酸素療法、抗菌薬を実施する |
④ | 口腔ケアを行い、清潔な口腔の状態を維持する。 |
⑤ | 侵襲的な処置の際には無菌操作を行う。 |
① | 不安の徴候と精神状態をアセスメントする |
② | 安楽な体位とし口すぼめ呼吸などの呼吸方法を説明し、看護師とともに実施する |
③ | 患者および家族が安心できる環境を提供する。呼吸困難が強い場合には患者をひとりにしないように配慮する。 |
④ | 患者および家族の不安を軽減するために治療環境(処置、音、病室など)や治療を受けている場所・時間についてオリエンテーションを行う。 |
⑤ | 呼吸状態に合わせ患者の不安、心配事について率直に表現するように援助し傾聴する。 |
⑥ | 検査方法、治療方法、入院期間の見通しなどについて、医師と協力して患者および家族が理解しやすい言葉で情報を提供する。必要に応じて医師の面談を設定する。 |
⑦ | 家族あるいはキーパーソンの協力が得られるように働きかける。 |
① | 睡眠・休息の状態をアセスメントする |
② | 安楽な体位および患者が安心する睡眠環境を整える |
③ | 就寝前に咳嗽を予防するための処置を行う |
④ | 不安を緩和するための援助を行う |
⑤ | 睡眠薬使用による影響を説明する。 |
① | 排便習慣、排泄環境をアセスメントする |
② | 便秘の予防するためにバランスのよい食事や水分摂取を促す |
③ | 規則的な排泄習慣をつけるように指導する |
④ | 腸内ガスが多く発生する食品を避け、患者および家族が排泄に影響を与える食品の選択ができるように指導する。 |
⑤ | 怒責による呼吸困難を避けるため必要に応じて緩下剤の使用を検討する。 |
必要な情報 | その根拠 | 収集方法 | 備考 |
1. ・痰 量 性状(漿液状・泡沫状) ・咳 性状(乾性咳嗽・湿性咳嗽) 特に症状が誘発する時間帯 ・呼吸の異常の観察 口すぼめ呼吸の有無 フーバー徴候の有無 ・呼吸の異常の観察 呼吸数 ・呼吸音の異常 喘鳴の有無 ・肺の聴取 連続性ラ音の有無 ・チアノーゼの有無 バチ状指 樽状胸 2. 水分出納の観察 尿量 点滴の有無と内容 体力の消耗の有無 咳嗽の程度 喀出困難の有無 痰の性状の有無 食事量 飲水量の関連した観察が必要になる。 DIV施行されている場合は内容も観察すること。 3. 全身状態の観察 ①バイタルサイン 呼吸・Spo2・Sao2・ 脈拍 血圧の変化 発熱の有無 ②意識状態 傾眠 記憶障害 不穏、混乱 酸素投与の有無 呼吸抑制の有無 4. ・右心不全(肺性心) 全身倦怠感 循環血液の観察 心房性不整脈(期外収縮・心房細動) 心電図異常 (右心負荷を反映した肺性P波・右軸偏位・不完全右脚ブロック) 浮腫 頚静脈怒張・肝腫大 5. ・低栄養状態 体重 食事量 一般状態(参照) 6. 検査所見 ① 呼吸機能検査: ② 動脈血ガス分析: ③ 胸部X線検査: ④ 胸部CT: 7. セルフケア他 ① 生活環境(大気汚染の有無、住居構造) ② 薬物の使用状況 ③ 酸素の使用歴、呼吸補助器具の使用歴 ④ 病気に対する受け止め方 ⑤ 社会的役割 ⑥ 発達課題の達成度 ⑦ セルフケアレベル ⑧ サポートシステム | 1. 肺の収縮力の低下(病態生理より中枢気道の障害、末梢気道の障害、肺胞領域の障害、肺血管の障害により)は呼気を困難にして喀痰を妨げる。痰の貯留は気道を閉塞し喀痰のための呼気努力は胸腔内圧を上昇させ、細気管支を圧迫してさらに呼吸困難を助長する。呼吸状態を観察し、検査データとも併せて正確な評価を行う必要がある。 ・呼吸の異常の観察 口すぼめ呼吸は慢性閉塞性肺疾患を示唆する重要な所見である。これは呼気時に口をすぼめてゆっくり息を吐き出すことで気道内圧を高め末梢気道の虚脱、閉塞を防ぎ、少しでも多くの息を呼出させようとする。 慢性肺気腫などで横隔膜の動きが制限されているときに呼吸補助筋で呼吸運動を行おうとするもので吸気時に下部肋間部が胸腔側、つまり内側へ没落する。 ・呼吸の異常の観察 呼吸運動を評価する指標に単位時間に肺に出入りする空気の量、つかり換気量がある。呼吸リズムが規則的と考えると換気量=1分間の呼吸数×1回の換気量で表せられる。 ・呼吸音の異常 喘鳴は気道に貯留した分泌物、気道の炎症や平滑筋の攣縮、気道内の腫瘍や異物などにより狭窄した気道を吸気や呼気が通過するときに渦流が生じたり気道の壁が振動するために発生する。(気道抵抗によって)呼気時に聴取される場合が多い。 ・肺の聴取 呼吸音は空気が呼吸運動に伴って肺に出入りする時に生じる音を聴取するものであり副雑音は清浄状態では聴取されない音で一括してラ音ともよばれる。副雑音は連続音と断絶音に分けられる。連続音は空気が狭窄した気道を通過するときに気道壁が振動するために発生する。中枢の太い気道を通過するときには低い音(rhonchus)が、末梢の細い気道を通過するときには高い音(wheeze)が発生する。 慢性閉塞性肺疾患により呼吸状態の悪化に伴いチアノーゼを表出する。(機序については前述した通り)低酸素状態の継続によりバチ状指が表出する。 樽状胸は肺の過膨張による胸郭前後径の増大によって表出する) 2. 水分が不足すると痰の粘稠度が高まって喀出困難を招く。痰の量が多い場合や合併症によって全身状態の悪化に伴う発熱などによって不感蒸泄が亢進している場合には特に水分摂取量に注意する必要がある。(脱水に繋がるため) 咳嗽によって呼吸筋が消費するエネルギーは1回につき約2kcalと言われている。仮に一分間に1回の割合で強い咳嗽が続けば10時間では1,200kcal以上に達する。これは基礎代謝量に近い値となり体力消耗の主因となる。さらに湿性咳嗽の場合は痰に含まれるアルブミンなどのタンパク質、電解質や糖質も失うため体力消耗はさらに増大、咳嗽が強く、食事摂取する体力まで低下すると栄養状態の悪化を生じる恐れがある。また、体力消耗により喀出困難の恐れもある。 3. 呼吸器は生命維持に必要な酸素を生体に供給しており呼吸器系の重篤な障害は生命の危険をもたらす。場合によっては挿管などの緊急処置が必要となるため、呼吸器症状のみならず全身状態の観察を行う。意識状態はCO2ナルコーシスの程度を把握するのに必要なため動脈血ガス分析のデータを併せて観察する。 ①バイタルサイン 気管支が閉塞している場合、呼吸状態の悪化による喘鳴が表出する恐れがある。呼吸状態の観察を行う事により適切な呼吸状態に維持する必要がある。 労作時呼吸困難の原因となる基本的病態は、気流閉塞と動的肺過膨張である。肺高血圧症の併存も労作時心拍出量の制限により、労作時呼吸困難に関与し得るため、脈拍、血圧のモニタリングする必要がある。 全身状態悪化による感染症の誘発する恐れがある。感染症が合併すると発熱などの症状が表出する恐れがあるため経過を観察する必要がある。 脳性脳症のうち血液中の炭酸ガス濃度の上昇により生じた場合をCo2ナルコーシスという。呼吸中枢は脳幹の延髄にあり、動脈血炭酸ガス分圧(PaO2)が常に40±5Torrの範囲になるようPaco2が上昇すれば減少させて調節している。しかしPaCO2が70Torrを超えると呼吸中枢は調節不能となり、頸動脈にある化学受容体が今度はPaO2を基準に呼吸を調節する。この調節能は延髄のそれと比べると劣っており不用意な酸素投与により呼吸刺激が抑制され自発呼吸の減弱、意識障害を伴ってくる。したがって、PaCO2が上昇しているときに不用意に高濃度の酸素を投与するとCO2ナルコーシスをきたす危険性があるため、酸素は低濃度から徐々に増加していくとともに呼吸抑制がないかどうかの注意深い観察が必要。肺性脳症の原因は高二酸化炭素血症と低酸素血症である。 4. COPDでは原病自体により肺血管が破壊されるのに加えて低酸素血症によって肺血管が収縮するため肺血管抵抗が増加している。呼吸不全の代償作用である多血症もさらに心臓への負荷を大きくしている。これに対し知恵心臓は右室肥大で代償しようとするが最終的には代償困難になり右心不全をきたす。 右心不全をきたすと呼吸困難の増悪や低心拍出量による全身倦怠感が表出する。下肢浮腫もしばしばみられる。心電図では肺性P、右室負荷所見を認める。ドップラー心電図が有効。 右心ポンプ低下によって静脈圧が上昇し下腿を中心とする左右対称の浮腫、肝腫大、頚静脈怒張が表出する。 咳嗽によって呼吸筋が消費するエネルギーは1回につき約2kcalと言われている。仮に一分間に1回の割合で強い咳嗽が続けば10時間では1,200kcal以上に達する。これは基礎代謝量に近い値となり体力消耗の主因となる。さらに湿性咳嗽の場合は痰に含まれるアルブミンなどのタンパク質、電解質や糖質も失うため体力消耗はさらに増大、咳嗽が強く、食事摂取する体力まで低下すると栄養状態の悪化を生じる恐れがある。 6. ① 閉塞性換気障害(1秒率の低下・1秒量の低下、フローボリューム曲線の下降脚の急激な下降、肺活量の低下)、残気率の上昇・機能的残気量の増加が認められる。 ② 低酸素血症、高二酸化炭素血症 ③ 肺野の透過性亢進、横隔膜の低位・平坦化、心胸比(CTR)の減少 ④ 肺気腫病変が認められる。 ① 生活環境要因では住宅付近の大気汚染によって病状が悪化する恐れ、住宅構造では病院から在宅に戻られる際に必要になってくるため情報収集が必須となる。 ② 気管支拡張薬はCOPDの症状を軽減し運動耐容を改善して生活の質を高める必要がある。さらに増悪やそれに伴う入院の頻度を減らす効果も期待できるため、薬物の使用状況の観察を行い症状の増悪の有無を知る必要がある。 ③ 過去、現在の使用暦を確認し酸素療法等の使用方法、疑問点などさらに明確にする必要がある。 ④ COPDでは呼吸困難に伴う恐怖、不安など顕著に表出する。病気に対する受け止め方を知る事で現在のニーズを把握する必要がある。 ⑤ 社会的役割を知ることでニーズを把握し何が不足しているのかアセスメントする。 ⑥ 発達課題とはハヴィンガーストより、生活上の出来事はすべて学習であり個人が健全な発達を遂げるためにはそれぞれの段階で果たすべき課題があるとした。発達の達成度を知る事で精神的な苦痛など把握するよう努める。 ⑦ COPDでは酸素療法、症状の悪化によりセルフケアが低下する恐れがある。現在の症状とADLを把握しセルフケアレベルを観察し自立を促す必要がある。 ⑧ キーパーソンではどのようなサポートがあるのか、社会的資源の活用など、どのような方向性になっているのか等、問題に照らし合わせてどのようなサポートシステムを構築してあるのか把握する必要がある。 | 1. O)咳の有無 咳嗽の性状をベッド上で観察するとともに、咳嗽の変化を記録などで変化を観察する。 ベッド上などで観察を行う。 吸気時に胸郭下部の肋骨が内方へ移動する奇異性運動の有無をベッド上もしくはカルテな ど情報収集を行う。 バイタルサインの項を参照すること。 2. 一日の水分量の観察を行う。 O)一日の食事量の観察を記録、一日の食事量の観察などで把握する。 DIV施行されている場合はカルテ指示内容の確認を行う事。 併せて一日の水分出納の観察を行う。 O)咳嗽の程度をベッド上で観察すること。 3. ②意識状態 傾眠の有無 日中の臥床傾向、睡眠状況の観察を行う。声かけなどを行い刺激に対して反応するか観察する。 S)「○○さんこんにちわ」など 記憶障害の有無 覚醒中に名前、食事を食べた内容などを聞き観察を行う。 S)「お名前はなんですか? 今日食べたお食事はなんだったですか?」など 不穏、混乱状態の観察 4. | 1. 咳・痰☑ 呼吸音減弱 フーバー徴候☑ 連続性ラ音☑ wheeze☑ rhonchi☑ チアノーゼの有無☑ バチ状指☑ 樽状胸郭☑ 2. 脱水☑ 3. 肺性脳症☑ 記憶障害☑ 不穏、混乱状態の観察 4. 浮腫☑ 頚静脈怒張・肝腫大☑ |
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— 大日方 さくら (@lemonkango) 2018年10月5日
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Author:看護研究科 小日方 さくら
某看護大学を卒業して大学病院で8年勤務。 その後フリーのライターとして活動しています! 看護学生さんに役立つ情報をいっぱい記載してます! ぜひ見に来てくださいね♡
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