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慢性腎不全 看護計画 op tp ep 等 解説します!

慢性腎不全患者の標準看護計画





腎不全とは



 腎不全とは、高度の腎障害のために生体の内部環境の恒常性を維持できなくなった状態をいう。本症は、短期間で急激な腎機能の悪化をきたす急性腎不全と、慢性の腎疾患が徐々に進行して腎機能の悪化をきたす慢性腎不全とに分けられる。






慢性腎不全とは



 慢性腎不全とは、いろいろな慢性腎疾患が徐々に進行して、あるいは急性腎不全が長期に遷延して腎障害が高度となり、腎臓による生体内部環境の恒常性が維持できなくなった状態をいい、多くは不可逆性で、通常、腎機能の回復は全く望めない。





アセスメントの視点



 慢性腎不全は腎疾患の末期にみられる状態である。長い治療経過を経たあとに腎不全に陥る場合と、無症状のまま経過し、発見されたときには腎不全に陥っている場合とがある。症状は多彩であるが、自覚症状のないまま入院に至るものが1/3もあるといわれ、これが治療を遅らせる原因として、腎疾患対策上の問題とされている。



 慢性腎不全は急性腎不全と異なり、その多くが不可逆性で、患者は生涯腎不全と共存することになる。そのため、安定している間は退院させ、社会復帰を促しながら経過を観察し、検査や問題のあるときに入院させる。治療の目標は、腎機能障害の程度に応じた安静と食事療法によって、失われた腎機能を補い、合併症を予防して残された腎機能を維持することが基本となる。腎機能障害が高度となり、尿毒症症状を呈する場合は透析療法が導入される。






原因



 慢性糸球体腎炎が70%と多く、近年では糖尿病性腎症が増加している。その他に多発性嚢胞腎、慢性腎盂腎炎、腎硬化症、SLE、痛風腎、妊娠腎、腎結核、閉塞性尿路疾患、薬物中毒などがある。






経過



 セルディンの分類によると、Ⅰ~Ⅳ期に分けられる。



Ⅰ期:腎予備力の低下

ネフロンの50%までが障害されているが、残存ネフロンで生体の内部環境は維持されている。



Ⅱ期:腎機能障害

機能ネフロンは50%以下で腎予備力がほとんどなく、日常生活の制限をはずすと悪化する。濃縮力が低下しているので、夜間多尿により代償している。



Ⅲ期:腎機能代償不全

狭義の慢性腎不全。腎濃縮力は完全に障害され、増悪因子により徐々に尿毒症へ移行する。



Ⅳ期:尿毒症

体内に蓄積した尿毒素による全身の中毒症状のため、放置すれば死に至る。







症状



 原因疾患による症状の他に以下の症状がみられる。



Ⅰ期:無症状

GFR(糸球体濾過値)は正常の50%



Ⅱ期:夜間多尿、疲労感、食欲不振

GFRは正常の50~25%、BUN~30mg/dl、クレアチニン~3mg/dl



Ⅲ期:尿量減少、浮腫、高血圧、貧血、出血傾向、全身倦怠感、疲労感、食欲不振、悪心

GFRは正常の25~10%、BUN~80mg/dl、クレアチニン3~8mg/dl、カリウム上昇、ナトリウム低下、リン上昇、

カルシウム低下、代謝性アシドーシス(軽度)



Ⅳ期:乏尿傾向

尿毒症症状

・全身症状:全身倦怠感、易疲労感、浮腫、貧血、出血傾向

・循環器症状:心不全、高血圧、不整脈

・呼吸器症状:チアノーゼ、呼吸困難、過呼吸、肺炎

・消化器症状:食欲不振、嘔気、嘔吐、口渇、便秘、下痢、吃逆、消化管出血

・神経症状:羽ばたき振戦、頭痛、昏睡、意識障害、痙攣、不安、不眠、末梢神経障害

・その他:皮膚乾燥、掻痒感、発汗減少、骨折、無月経

・検査データ:GFRは正常の10%以下、BUN80~100mg/dl以上、クレアチニン8~10mg/dl以上、

 UA上昇、代謝性アシドーシス、カリウム上昇、ナトリウム低下、リン上昇、カルシウム低下







検査



・ 血液検査

・ 血液ガス検査

・ 胸部X線写真

・ 心電図

・ エコー

・ CT

"・腎スキャン・レノグラム







治療



 病期によって異なるが、保存的療法が中心となる。腎臓にかかる負担を最小限にし、残された腎機能が十分に発揮できるようにする。



Ⅰ期:過激な運動を避ける

   感染予防

   高血圧があれば塩分制限



Ⅱ期:活動制限-疲れない程度の活動

   感染予防-感染により腎不全が悪化することがある

   食事療法-高カロリー、低タンパク

   高血圧があれば塩分制限

   脱水を避け、尿量が1500~2000ml維持できるよう水分摂取する



Ⅲ期:安静-腎血流量を保ち、水・ナトリウムの排泄を促進し、浮腫や高血圧を軽減する

   保温-腎血流量の確保、末梢循環のために行う

   食事療法-高カロリー、タンパク制限、塩分制限、ときにカリウム制限

   薬物療法

   ・降圧剤-高血圧は糸球体高血圧を通じて腎不全の進行を促進するため投与する

   ・利尿剤-利尿作用および降圧効果目的で投与する

   ・尿酸生成阻害剤-腎からの尿酸排泄が低下しているため、高尿酸血症予防目的で投与する

   ・カリウム吸着剤-腸管内でイオン交換によってカリウムを吸着し、腸管からの吸収を防ぎ、カリウム排泄を促進するため投与する

   ・リン吸着剤-リンの吸収を抑制し、またカルシウムの補給にもなる

   ・重炭酸ナトリウム-代謝性アシドーシスが進行した場合、補正のために投与する

   ・活性炭-消化管からの尿毒性物質の吸収を抑制するため投与する

   ・緩下剤-水分摂取の制限に加え、各種吸着剤の服用のために便秘になることが多く、緩下剤を併用する



Ⅳ期:透析療法-末期腎不全における腎機能を部分的に代行する治療方法であり、人工膜を利用して体外循環を行う血液透析と、患者自身の腹膜を利用する腹膜透析(CAPD)がある

   腎移植-末期腎不全患者が透析療法から逃れうる唯一の治療法である







看護計画



Ⅰ.アセスメントの視点



 慢性腎不全では、どのような経過をたどって腎不全に至ったかを把握し、末期腎不全へと進行する過程をできるかぎり食い止めるために、長期にわたって経過を追い、観察し続けていく。治癒することがなく徐々に悪化、進行し、自覚症状があまりなく、はっきりとした自覚症状が出るころは、末期腎不全となっていることを理解して援助する。




Ⅱ.問題リスト



♯1.腎機能低下に伴う諸症状による身体的苦痛

   〔要因〕・原因疾患のよる症状

       ・尿毒症症状



♯2.自覚症状が乏しく、病識が持ちにくい

   〔要因〕・自覚症状があまりないことが多い



♯3.透析療法に対する不安

   〔要因〕・透析に対するイメージ



♯4.シャント造設に対する不安(血液透析の場合)

   〔要因〕・シャント造設後のボディイメージの変化

       ・シャント管理が必要



♯5.CAPD導入に対する不安(腹膜透析の場合)

   〔要因〕・カテーテル挿入後のボディイメージの変化

       ・正しい知識、確実な手技が必要



♯6.透析療法に伴う合併症による苦痛が起こる可能性

   〔要因〕・不均衡症候群の出現(血液透析の場合)

       ・腹膜炎症状の出現(腹膜透析の場合)

♯7.退院後の自己管理が困難

   〔要因〕・日常生活上の制限が多い(活動制限、食事制限、水分制限など)







Ⅲ.看護目標

1. 腎機能低下に伴う諸症状による身体的苦痛が緩和できる

2. 自覚症状が乏しい場合でも、疾患の理解、症状の受容、病気の認識ができる

3. 透析療法を理解し、受容できる

4. シャント造設を受け入れ、管理方法を身につけることができる(血液透析の場合)

5. CAPDに対する知識を得、適切に実施できる(腹膜透析の場合)

6. 透析療法に伴う合併症が予防できる

7. 退院後の日常生活における自己管理能力を身につけることができる





Ⅳ.看護問題

♯1.腎機能低下に伴う諸症状による身体的苦痛

   〔要因〕・原因疾患のよる症状

       ・尿毒症症状

  &身体的苦痛が緩和できる

  $身体的苦痛が消失するまで



O-1.尿量

  2.尿毒症症状

     ・全身症状:全身倦怠感、易疲労感、浮腫、貧血、出血傾向

     ・循環器症状:心不全、高血圧、不整脈

     ・呼吸器症状:チアノーゼ、呼吸困難、過呼吸、肺炎

     ・消化器症状:食欲不振、嘔気、嘔吐、口渇、便秘、下痢、吃逆、消化管出血

     ・神経症状:羽ばたき振戦、頭痛、昏睡、意識障害、痙攣、不安、不眠、末梢神経障害

     ・その他:皮膚乾燥、掻痒感、発汗減少、骨折、無月経

     ・検査データ:GFR、BUN、クレアチニン、UA、代謝性アシドーシスの有無、カリウム、ナトリウム、リン、カルシウム

T-1.安楽な体位の工夫

  2.安静の保持:ADLの介助(食事、排泄、保清、移動)、面会制限

  3.身体の保温に努める:温罨法の使用

  4.ガーグルベース、含嗽の準備

  5.医師の指示による適切な与薬

  6.感染の予防

  7.不安の除去

自覚症状が乏しく、病識が持ちにくい

   〔要因〕・自覚症状があまりないことが多い



  &疾患の理解、症状の受容、病気の認識ができる

  $退院まで



O-1.疾患の理解、症状の受容、病気の認識の程度の把握

E-2.以下についてパンフレットなどを用いてわかりやすく説明する

     ・腎臓の働き

     ・腎不全

     ・患者の病態

     ・検査データの見方、読み方



♯3.透析療法に対する不安

   〔要因〕・透析に対するイメージ



  &透析の必要性を理解できる

   納得して、透析を受けることができる

  $透析開始するまで



O-1.透析に対して抱いている不安の状態

  2.疾患の理解、症状の受容、病気の認識の程度の把握

  3.患者の年齢、職業、性格、家族、家庭の経済状態などの把握

  4.医師からの説明の内容



T-1.不安の傾聴

  2.疑問点があれば、その都度対処する

  3.社会資源の情報を提供する



E-1.透析の必要性を説明する(医師から説明してもらう)

  2.血液透析、腹膜透析それぞれの利点、不利点を説明する

  3.透析室にて実際の透析の様子を見学する機会をつくる

  4.実際に透析を受けている人と話をする機会をつくる

  5.患者にとって家族の理解と励ましが必要であることを家族に説明し、協力を得る

  6.場合により、職種・職務内容の変更が必要であることを指導する



♯4.シャント造設に対する不安(血液透析の場合)

   〔要因〕・シャント造設後のボディイメージの変化

       ・シャント管理が必要



  &シャント造設を受け入れることができる

  $シャント造設するまで



O-1.シャント造設に対する思い

  2.血管の状態



T-1.不安の傾聴

  2.採血や血圧測定はシャント造設しないほう(利き腕でないほう)で行う



E-1.シャント造設の必要性を説明する



  &シャントの管理方法を身につけることができる

  $退院まで



O-1.シャント音の確認

  2.手背の静脈怒張、浮腫、熱感、発赤、疼痛の有無



T-1.抜糸するまでシャント造設部を毎日消毒する



E-1.以下について指導する

     ・シャント音を毎日確認する

     ・シャント音が急に聞こえなくなったときは、医師に連絡する

     ・シャント造設部を清潔に保ち、感染を防ぐ

     ・シャント肢に傷をつくらない

     ・シャントの上を腕時計やリストバンドなどで圧迫しない

     ・シャント肢に重い物をぶらさげたりしない

     ・シャント造設部を叩いたりしない

     ・シャント肢の運動を行い、血管を発達させる

     ・温熱、寒冷刺激をさける



♯5.CAPD導入に対する不安(腹膜透析の場合)

   〔要因〕・カテーテル挿入後のボディイメージの変化

       ・正しい知識、確実な手技が必要



  &CAPDに対する正しい知識、確実な手技を身につけることができる

  $退院前日



O-1.患者の年齢、職業、性格の把握

  2.患者に自己管理能力があるかどうか

  3.患者自身の強い意志、動機があるか

  4.家族の協力があるか

  5.社会環境(職場、学校など)の受け入れがあるか



T-1.不安の傾聴



E-2.以下について指導する

     ・CAPDの原理と特徴

     ・CAPD実施時の必要物品、手技、方法(清潔操作)

     ・カテーテルケア(消毒)

     ・除水量を記録する

     ・毎日体重、血圧測定する

     ・CAPDの合併症とその予防方法

     ・緊急時の対処方法

     ・定期的に外来受診する



♯6.透析療法に伴う合併症による苦痛が起こる可能性

   〔要因〕・不均衡症候群の出現(血液透析の場合)

       ・腹膜炎症状の出現(腹膜透析の場合)



  &透析療法に伴う合併症が予防できる

   苦痛が軽減できる



 〈血液透析の場合〉

  $退院まで



O-1.バイタルサイン-特に血圧

  2.除水量

  3.不均衡症候群の出現の有無:頭痛、嘔気、嘔吐、全身脱力感、痙攣、意識障害など

  4.出血、血管痛、掻痒感の有無



T-1.症状出現時は直ちに医師に報告し指示を得て、対処する

  2.緊急薬品の準備

  3.安楽な体位の工夫

  4.症状の緩和



E-1.透析により起こりうる症状(不均衡症候群など)、また症状出現時の対処方法を説明する



 〈腹膜透析の場合〉

  $退院まで



O-1.バイタルサイン

  2.除水量

  3.排液の色、性状:混濁、フィブリンの有無

  4.腹膜炎症状の有無:排液の混濁、腹痛、発熱、吐気、嘔吐、下痢

  5.カテーテル挿入部:発赤、腫脹、疼痛、浸出液の有無

  6.検査結果の把握:排液検査、血液生化学、血算、赤沈、CRP、腹膜平衡試験



T-1.症状の緩和

  2.医師の指示による適切な与薬

  3.清潔操作で行う

  4.カテーテル挿入部を1日1回消毒する



E-1.CAPDを適切に施行できるよう指導する

  2.異常時は直ちに受診するよう指導する



♯7.退院後の自己管理が困難

   〔要因〕・日常生活上の制限が多い(活動制限、食事制限、水分制限など)



  &病態にあった日常生活を送ることができる

  &-1.活動制限を守ることができる

  $退院まで



O-1.患者の年齢、職業、性格、家族、家庭の経済状態などの把握

  2.入院前の生活状況の把握



E-1.活動制限の必要性を説明する

  2.職業が肉体労働などの場合、職種・職務内容の変更が必要であることを指導する



  &-2.食事療法の必要性を理解し、実施できる

  $退院まで



O-1.病院食の摂取状況

  2.間食の有無

  3.患者の嗜好を知る

  4.食事療法の必要性を理解できているか



E-1.食事療法の必要性を説明する

  2.病院食の内容・量を記録し、参考にしてもらう

  3.腎臓病の食品交換表を購入し、使用法を指導する

  4.腎臓病教室の参加を促す

  5.栄養士より個人栄養指導を受ける



  &-3.薬の効果や副作用を知り、適切に内服できる

  $退院まで



O-1.薬が適切に内服できているか

  2.薬の必要性を理解できているか



T-1.薬を適切に内服させる



E-1.薬の効果、副作用について説明する



  &-4.水分制限を守ることができる

  $退院まで



O-1.飲水量チェック

  2.口渇の有無

  3.水分制限の必要性を理解できているか



T-1.水分制限が守れない場合、口渇に対し、含嗽や氷片をふくむなどで対処する

  2.水分制限が守れない場合、決められた時刻に決められた量を飲むなど工夫をする

  3.制限内で患者の嗜好を取り入れる

E-1.水分制限の必要性を説明する

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プロフィール

看護研究科 小日方 さくら

Author:看護研究科 小日方 さくら
某看護大学を卒業して大学病院で8年勤務。 その後フリーのライターとして活動しています! 看護学生さんに役立つ情報をいっぱい記載してます! ぜひ見に来てくださいね♡

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インスタ 看護Ataria 大日向 さくら

東京で学校の臨時講師をしたり時々コロナ関係で病棟でも働いています! 大学卒業後はあっちへフラフラ、こっちへフラフラしてます(お恥ずかしい) 私も看護学生時代、「なんて非効率で古くさいのだろう。もっと効率よく学習しmする方法があるのでは?と思い至りこのサイトを立ち上げました(๑•̀ㅁ•́ฅ✧ 少しでも看護学生さんのお役に立てるよう分かりやすい記事を投稿していきます!

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