1. 病態生理
(1)本態性高血圧
① 高血圧の約80%を占める。
② 原因不明だが、遺伝する傾向が強い。
③ 環境因子までは塩分摂取、ストレスが影響する。
(2)症候性(二次性)高血圧
腎臓・副腎などに本来の病気があり、その結果、高血圧を来たした状態である。
① 腎血管性高血圧:腎実質病変、糸球体、腎炎、腎盂腎炎
②内分泌性高血圧:甲状腺機能低下、亢進症、高カルシウム血症、クッシング症候群
原発性アルドステロン症、褐色細胞腫
③心臓性高血圧:大動脈狭窄症、大動脈閉塞性不全
④中枢性高血圧:頭蓋内圧亢進、脳腫瘍、呼吸性アシドーシス
血圧は、心拍出量と末梢血管拡張によって規定されている。したがって、心拍出量、も
しくは末梢血管拡張の増加、いずれによっても血圧は上昇する。
高血圧症には、WHO(世界保健機構)/ISH(国際高血圧学会)ガイドライン委員
会で定められた基準があり、以下に示す。
①軽症高血圧:収縮期血圧140/159mmHg,拡張期血圧90/99㎜iHg
②中等症高血圧:収縮期血圧160/179mmHg,拡張期血圧100/109mmHg
③重症高血圧:収縮期血圧 ≧180mmHgx拡張期血圧 ≧llOmmHg
また、原因により本態性高血圧症と症候性高血圧症に分類されている。
2、主要症状
(1)本態性高血圧:特有の自覚症状がない。
(2)症候性(二次性)高血圧
① 脳神経症状:頭痛、めまい、しびれ、耳鳴り、不眠
② 心症状:動悸、息切れ、胸部圧迫感
③ 腎症状:浮腫、頻尿、夜間尿
4、 検査
・血圧測定
・血圧異常をきたす原因の精密検査
5、 診断・治療
1)診断
①既往歴
② 血圧測定(左右差、日内変動)
③ 胸部X線、心電図
④ 血液検査、生化学(Na, K, CI,総コレステロール、BUN,クレアチニン、
尿酸、中性脂肪、血糖)、ホルモン検査(レニン、アンギオテンシン、カテコール
アミン、アルドステロン、T3, T4, T 3 H)
⑤ 検尿(尿タンパク、尿糖)
⑥ 眼底検査
⑦ その他(負荷心電図、心エコー、クレアチニンクリアランス、頭部CT)
2)治療
(1)食事療法:標準体重の維持、塩分制限(7g以下)、植物油の使用
(2)薬物療法
① サイアザイド系降圧薬(フルイトラン)
体内のナトリウムを排出し、循環血液量を減少させる。
② 血管拡張薬
カルシウム拮抗薬(アダラート、アダラートL、ペルジピン、ヘルベッサー)
動脈を拡張させて血圧を低下させる。
② β遮断薬(アーチスト、テノーミン):心拍数の増加を抑制し、心拍出量を減少させる。
③ α遮断薬(エブランチル):末梢血管を拡張させ、心拍出量を減少させる。
⑤ アンギオテンシン交換酸素阻害薬(カプトリル、レニベース)
⑥ 末梢交換神経抑制(アポプロン)
(3)ライフスタイルの改善:運動、禁煙、アルコール制限、精神コントロール
6、 看護のポイント
① 家族歴、既往歴
② 血圧の変化:左右差、日内変動、薬物投与
③ 随伴症状の観察と有無:頭重感、頭痛、めまい、耳鳴り、肩凝り、手足のしびれ
不眠、心悸亢進、悪心、嘔吐、倦怠感、高血圧紅潮
原因・誘因となる疾患の検査データのチェック
④生活習慣と生理的因子の有無のチェック:体位、自己満足度、体温、呼吸、心身
のストレス、食事、排泄、運動・入浴
睡眠状態
⑤ 治療内容の効果と副作用のチェック
⑥ 血圧コントロールのために薬物療法と食事療法の必要性を十分説明する。
⑦ 随伴症状の観察を密に行い、異常の早期発見・苦痛の緩和に努める。
⑧ 朦々の検査に対する説明を十分に行い、不安なく検査が受けられるよう援助する。
⑨ 血圧に影響を及ぼす因子についての説明を十分に行い、ライフスタイルの改善の必
要性が理解できて、変化させるための援助を行う。
⑩ 自宅療養に向けて、食事療法、薬物療法、随伴症状の出現時の対応、血圧影響因子
などについての理解度を知り、血圧の自己測定・定期受診の方法や指導を行う。
<急性期>
・病態や基礎疾患、合併症の把握
・自覚症状の緩和と日常生活の援助
・不安等、メンタルフォロー
<慢性期>
・疾患、治療に対して患者の認識を高める
・自己管理に必要な知識と方法について指導する。
(日常生活の留意点など)
コメント