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みなさん、こんにちわ。 看護研究科の大日方さくら(
@lemonkango)です。
今回は、周手術期でも産婦人科実習でも何の実習でも出逢う疾患の1つである下肢静脈瘤患者の看護計画について解説したいと思います。
前編は下肢静脈瘤の疾患の概要の説明をさせて頂きます。
下部に下肢静脈瘤患者の標準看護計画についてご紹介したいと思います。
事前学習などに役立てられるように工夫しますが、下肢静脈瘤のここのところを知りたいよーーって内容がありましたら、コメント欄に記載して頂ければ随時解説したいと思います!
それではスタート!
1.下肢静脈瘤とは
静脈、特に表在皮静脈が迂曲、拡張した状態、通常は一次性静脈瘤を指すが、深部静脈閉塞の結果それに従って側副血行として拡張した、いわゆる二次性静脈瘤および先天性血管奇形や動静脈瘻の一症状として静脈拡張を示すものもある。
大伏在静脈に圧倒的に多い立位、筋肉疲労が誘因となるが、女性に多く、妊娠を契機として起こることが多い。 2.下肢静脈瘤患者のアセスメントの視点
30~40才の女性に好発し、立位により大腿下部~下腿に多数の怒張、疼痛が出現し、また屈曲した静脈瘤を触知するため、美容上気になり受診する例が多い。血液のうっ滞が起こり血栓性静脈炎を起こしやすい。慢性化すると、皮膚の色素沈着や難治性潰瘍を形成する。 下肢静脈瘤患者の症状 ・下肢重量感
・疼痛(立位時緊満感)
・浮腫
・夜間痙攣
・色素沈着
・難治性潰瘍
3.下肢静脈瘤患者の検査
〈
術前〉
・全身一般状態の把握
・病歴の聴取(家族歴、既往歴における血液疾患等の有無、妊娠、深部静脈血栓の有無等)
・胸部X-p撮影
・心電図
・血液一般検査
・血液型
・出血時間、凝固時間、プロトロンビン時間、抗プロトロンビン時間、等
・肝機能検査
・尿一般検査
・Trendelenburgテスト
・Perthesテスト
・下肢静脈造影
・その他の機能検査
時々、病院では下肢静脈瘤の検査の為に患者さんを絶食にさせることがありますが、エビデンスは全くなく絶食にする理由は全くありませんので注意が必要です。
なぜ、下肢静脈瘤患者さんの検査前の絶食を行われていたのかというと、数十年前まで絶食にしていただけの理由です。
古い知識を使用せず患者さんの負担にならないようにしましょうね! 4.下肢静脈瘤の患者の治療マ
下肢静脈瘤の手術は、一次性のものに行なう。二次性のものには禁忌 1.保存的に弾性ストッキング・包帯を着用、安静、患肢挙上
2.ストリッピング、不全交通枝結紮・切除術
3.静脈瘤硬化療法
下肢静脈瘤の術後の経過と管理
術後の一般的な検査は、他の疾患と変わらず必要に応じて血液一般検査、肝機能検査、胸部X-p撮影、心電図等を行なう。
患肢に対しては術直後よりBraun架台や枕等による患肢の高挙、圧迫包帯の着用、抗生物質の投与を行ない、包帯交換は第2ないしは第3病日に行なう。歩行は第1病日より可能となる
1.精神的サポート 創跡、創部皮下出血、浮腫によりボディイメージの障害をきたす可能性がある。いずれも術後一時的なものであることを説明しておく必要がある。
2.疼痛の管理 十分な除痛によりADLの拡大を図る
3.創の処置 術前より皮膚の低栄養状態をきたしている場合や炎症部位の皮膚切開の場合は、創治癒の遅延や感染を起こしやすい。
体動によるガーゼ除去や、排尿時のガーゼ汚染に注意する。
4.静脈還流の促進 下肢全体の組織損傷が多く、リンパ還流が障害され、うっ血を生じやすい。術後1ヵ月以上は圧迫が必要である。
下肢静脈瘤の術後合併症
1.出血 ストリッピング直後の不適正な圧迫か、圧迫時間の不足によって起こる皮下出血であり、血腫を形成するので創を縫合閉鎖する前に重ねたガーゼを転がすようにして血腫を創外に誘導しておく。多少の皮下出血は手術の性質上やむをえないが、3~4週間後に吸収される。
2.浮腫 下肢全体の組織損傷が多くリンパ還流が障害されるため、深部静脈の還流を促し、うっ血を最小限にとどめる必要がある。
3.創感染および創のし開 一般の静脈瘤の手術ではほとんど見られないが、炎症部位に皮膚切開を加えた場合や潰瘍例などで時に見られる。これらの経験から、皮膚切開はすべてマットレス縫合をしておくようにしているが、なお創のし開が起これば、二期治癒を待つ。日数を要するが動脈血行不全がないかぎり必ず治癒するものである。
4.神経損傷 ストリッピングの手術の際、表在静脈を損傷し知覚障害を呈することがある。とくに小伏在静脈の外側に腓腹神経があり注意を要する。一般には数か月から1年位で改善するものである。
5.静脈瘤の再発 初めての手術で静脈瘤をとり残したり、新たに発生する静脈瘤もあり、症状が強く美容的にも希望があれば追加手術を行なう。
6.肺塞栓の発生 深部静脈血栓症と異なり、ほとんど経験されない。呼吸困難、胸痛、呼吸促迫が術後に出現したら一応疑う必要があるが、ほとんどみられない。 5.下肢静脈瘤の患者の看護計画
下肢静脈瘤の看護では周手術期の分野も入ってきます。 そのため、下肢静脈瘤の周手術期の標準看護計画についても紹介したいと思います!
下記リンクでは周手術期の標準看護計画について解説しています! ぜひご参考にしてください! 下肢静脈瘤の患者の看護計画(術前)
Ⅰ.下肢静脈瘤患者のアセスメントの視点(術前)
硬膜外麻酔で手術が行なわれるため、全身状態の評価が必要である。
厳重に年令制限はないが、原則として70歳以下を対象としている。
手術適応時は、既往歴や機能の低下には十分注意する
Ⅱ.下肢静脈瘤患者の問題リスト(術前)
#1.疾患や手術に対する不安
[要因]
・疾患そのものへの恐れ
・手術そのものへの恐れ
・検査や治療に対する情報不足
・入院という慣れない環境
・社会的役割が果たせない
・手術後や退院後に対する予期的不安
#2.疾患による苦痛
[要因]
・下肢の痛みや美容的変化
・症状からくる精神的苦痛
#3.長時間の立位や座位による下肢のうっ血
[要因]
・下肢の静脈還流の障害
Ⅲ.下肢静脈瘤患者の看護目標(術前)
1. 疾患、手術に対する不安が軽減され手術に向けて精神的準備ができる
2. 患肢の安楽な体位が取れる
Ⅳ.下肢静脈瘤患者の看護問題(術前)
#1.疾患や手術に対する不安
&手術の必要性がわかり納得できたことを言葉で表現できる
患者の思いや不安を言葉で表現できる
疾患に対する不安を言葉で表現できる
術前・術後の自分の状態がイメージでき、対処方法を言葉で表現できる
$手術当日まで
O-1.入院への適応状況
2.疾患、術前検査、手術に関する患者の情報量とその理解度
3.表情、言語、態度の表出状況と不安の程度の関係
4.食欲、食事摂取状況
5.身体症状の有無と程度
6.サポートシステムの状況
7.睡眠状況
8.対処行動と対処能力
T-1.検査の必要性、方法を分かりやすく説明して協力を得る
2.手術について、医師から十分説明を受けることができるように配慮する
3.術前オリエンテーションを不安なく受けられるように援助する
4.家族の支援が受けられるように必要時参加を求める
5.不安を表出できるように以下のケアをする
1)患者や家族の訴えをよく聴き、受容的態度で接する
2)不安が表出できるよう患者や家族との信頼関係を作る
3)疾患に対する不安は、医師から十分説明が受けられるようにする
4)静かで休息の取れる環境を作る
E-1.患者が術後の状態を具体的にイメージできるように説明する。特に尿バルーンの挿入や、安静の必要性を認識できるように働き掛ける
2.医師の説明で、理解不足の内容があれば追加説明をしてもらい、納得して手術が受けられるようにする
3.不安な状態を表出できるよう考慮し、不明なところは質問するよう促す
#2.疾患による苦痛
&身体的・精神的苦痛を最小限にとどめられる
$手術当日まで
O-1.静脈瘤の痛み
2.下肢疲労感の有無
T-1.仰臥位時は、下肢挙上とする。この時、膝か動脈の圧迫や股関節屈曲を避ける
E-1.長時間の立位や椅子に腰を掛けることを避ける
2.座位時、長時間足を組まない
3.締め付ける下着を付けない
#3.長時間の立位や座位による下肢のうっ血
&下肢の安静により静脈還流を助け、破裂や閉塞を起こさない
$手術前日まで
O-1.下肢の変色
2.皮膚、毛細血管の有無
3.下肢疲労感の有無
4.静脈瘤の痛み
5.下肢の腫脹
T-1.静脈をうっ血させるような体位を避ける
E-1.長時間同一位置に脚を置かない
2.神経や血管を圧迫するので、座るときは足を組まない
3.静脈還流を良くするため、保温に気をつける
4.下肢倦怠感のある場合は臥床し、下肢挙上する
下肢静脈瘤患者の看護計画(術後)
Ⅰ.下肢静脈瘤患者のアセスメントの視点(術後)
下肢静脈瘤手術後の早期の合併症としては、出血、神経損傷、浮腫があり注意する。
適切な処置によって予防、軽減ができるため、出血の有無、歩行による下肢の倦怠感、腫脹の程度などの観察が必要となる。患肢に対して術直後より、血液の還流をよくし、うっ血を防ぐため、家族を含め日常生活指導が必要である。
Ⅱ.下肢静脈瘤患者の問題リスト
(術後) #1.術後出血
[要因]
・不適切な圧迫
・圧迫時間の不足
#2.神経損傷
[要因]
・手術の際、表在神経を損傷したことによる知覚障害
#3.患肢の浮腫
[要因]
・組織損傷によるリンパ還流の障害
#4.静脈瘤の再発
[要因]
・表在静脈と深部静脈の交通
・静脈弁の不全
#5.創治癒の遅延や感染
[要因]
・術前より皮膚の低栄養状態
・炎症部位の皮膚切開
Ⅲ.下肢静脈瘤患者の看護目標(術後)
1. 手術からくる苦痛の緩和とともに、患者が現在の状態を理解でき、術後合併症を起こさない
2. 弾性ストッキングの着用目的を正しく理解できる 3. 心身ともに自立し、退院に向けて準備できる
Ⅳ.下肢静脈瘤患者の看護問題(術後)
#1.術後出血
&血腫の形成を予防できる
$術後3~4週間まで
O-1.内出血、血腫形成の観察
2.ガーゼ汚染の量
3.四肢冷感の有無
4.血液データ(Hb、Ht、プロトロンビン時間)
T-1.医師に報告する
2.安静度を確認する
E-1.創部皮下出血形成により、ボディイメージの障害をきたす場合、術後一時的なものであることを説明する。
#2.神経損傷
&神経障害からの改善
$数か月から1年
O-1.知覚の有無
2.歩行時障害の有無
T-1.下肢挙上による腓骨神経麻痺に注意する
2.転倒などの危険がないように歩行する
E-1.一般には数か月から1年くらいで改善することを説明し、患者の不安を軽減させる
#3.患肢の浮腫
&患肢の安静と浮腫の予防
$術後1ヵ月以上 O-1.患肢の浮腫の状態
2.歩行による下肢の倦怠感、腫脹の有無
3.疼痛、しびれ感
T-1.患肢をブラウン架台、または、ギャッジベッドにより挙上して血管内圧を減少し、うっ血を少なくする
2.臥床時は下肢挙上
3.歩行は筋肉の運動により、血液の還流をよくし、浮腫を軽減させるが、長時間の立位は避ける
4.弾力包帯の使用;同じ強さで末梢から中枢に向けて巻く。その後、鼠径部まで巻き余分がある場合、下方へは巻かない
5.体動、歩行により包帯がずれることがあるので、その際は巻きなおす
6.創の抜糸後は弾性ストッキングを着用する。その際、患肢のサイズにあったものを購入する
7.定期的に患肢の周囲測定をする
8.医師の指示によりエアマッサージ施行
E-1.うっ血予防のため、下肢挙上の説明
2.弾力包帯の必要性を説明
3.弾力ストッキングは一般的に3ヵ月程着用する必要性を説明
4.患肢の腫脹は一般的に3ヵ月くらいで消失するが、1~数か月かかることもあることを説明
#4.静脈瘤の再発
&日常生活を理解することから下肢静脈瘤の再発を予防することができる
$退院まで O-1.下肢変色、下肢疲労感、疼痛、重圧感、腫脹
T-1.静脈をうっ血させるような体位を避ける
E-1.刺激感染を防ぐため、下肢を清潔にしておく
2.創傷、過度の圧迫などを下肢に与えない
1)締め付ける衣類は付けない
2)長時間の立位、座位、正座は避ける
3)神経や血管を圧迫するので、座るときは足を組まない
4)静脈還流を良くするため、保温に努める
5)下肢倦怠感のある場合は臥床し、下肢挙上
3.仕事は体力の回復にあわせて徐々に慣らしていくが、静脈還流促進に心がける
4.下肢の倦怠感が著名であったり、腫脹が軽減しないなどの症状があれば受診する
#5.創治癒の遅延や感染
&創部の清潔保持ができ、血流の改善を図ることにより、縫合不全を起こさない
$術後3~10日まで O-1.疼痛、腫脹、発赤、ガーゼ汚染の色と量
T-1.ガーゼ交換は無菌的操作で行なう
2.抗生物質の指示がある場合は正確に投与する
3.下肢の腫脹がある時は皮膚が弱いため外傷を予防する
4.入浴は抜糸後2~3日で許可する
E-1.体動によるガーゼ除去や、排尿時のガーゼ汚染に注意する
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