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看護師に役立つ、理学療法の知識について解説します!

運動器[理学療法]
理学療法は、整形外科疾患の患者を治療していく際、薬物療法、手術療法とならび、大切な治療方法の1つである。患者が痛み、しびれを訴えて整形外科を受診した時には、適切な薬物による痛みのコントロールに加え、理学療法を組み合わせることにより、予想以上の症状の改善をみる場合がある。
 また手術を行った際、患者の回復の程度に応じた運動療法を行うことにより、病態の回復、さらには社会生活へのスムーズな復帰が可能となる。そのため、リハビリ訓練のみでなく、病棟や家庭でも、訓練を積極的に繰り返して行う意識を持つ事が大切である。
①運動療法
 運動療法は患者自身が自力で患肢を動かす自動運動訓練、理学療法士が患肢を他動的に動かす他動運動訓練、さらに患者自身が他人や器具を利用して患肢を動かす自動介助運動訓練に分類できる。一般に自動運動訓練は比較的大きな筋力を要し、正常に近い運動を行う事が可能な場合が多い。逆に自動介助運動訓練は筋力が低下している部分を補うために、滑車や棒を用いて筋力を補ったり、チューブやタオル等を利用して抵抗をつけたりして行う。
 また、運動の目的により筋力訓練の内容は様々であり、患者の持つ疾患、年齢、基礎体力、合併症、目標とするゴールによって、その適応が異なってくる。
 これらの中にはトレーニングジム設置を利用するものから重錘(じゅうすい)のみで可能なものまである。
 大切な事は患者のリハビリの過程で、どのような種類の運動療法や物理療法を組み合わせると患者の機能回復を最大限に得られるかを考え、患者の状態に応じた訓練を積極的に取り入れる事である。
○ 運動療法の種類
患者の疾患や年齢に合わせた運動療法の種類を示す。
①小児の先天性運動疾患:装具療法を併用した歩行訓練、関節可動域訓練
②若年者の外傷、スポーツ障害:筋力保持訓練、機能回復訓練、松葉杖等を使用した移動訓練
③スポーツ選手のスポーツ障害・オーバーユーズ:筋力維持訓練、スポーツ復帰に向けての技能回復訓練
④高齢者の慢性疾患に伴う筋力低下・体幹バランス不良の改善:筋力増強訓練、バランス訓練
⑤高齢者の転倒外傷後の安静、療養中:健側筋力訓練、拘縮予防訓練、体力増強訓練
⑥整形外科の一般的な術後の訓練:関節可動域訓練、機能回復訓練
⑦脊髄損傷患者:体位変換訓練、移動訓練、日常動作訓練
 運動療法を行う際には、患者の機能障害の程度、改善度により、漸次(ぜんじ)内容を変更していく必要がある。ある程度目標が達成できた患者は次のステップに移る訓練が必要であり、また、初回に処方した訓練内容が到達困難である場合にはその達成できない原因を明らかとし、障害となっている問題を克服するための訓練を計画し直す必要がある。
 また患者自身の全身状態の悪化により、訓練を変更しなければ成らない場合もあるため、患者の状態をよく理解しながら、最適な訓練内容を選択しなければならない。

○ 筋力訓練
障害となる筋肉を自動的、他動的、自動介助で動かす事により、筋力を維持・増強させる訓練である。対象となる筋群は疾患によって異なるが、代表的なものに大腿四頭筋、腸腰筋、膝屈筋群、上腕二頭筋、上腕三頭筋、手関節伸筋群、手関節屈筋群などがあげられる。障害の原因と考えられる筋群を重点的に訓練しながら、さらに拮抗筋群とのバランスを改善することにより、スムーズな運動が可能となる。
①大腿四頭筋セッティング
 大腿四頭筋セッティングは、ベッド上でも簡単に行える等尺性自動運度である。術後などにベッド上安静中の患者でも横たわったまま行える訓練であり、早期リハビリとして開始できる。膝関節を伸展した状態で5〜6秒間、大腿部に力を入れた後、10〜20秒間力を抜く。これを10〜12回繰り返すことを1セットとして1日4〜5セット行う。
②大腿四頭筋訓練
 大腿四頭筋訓練は大腿四頭筋セッティングと同様、ベッドサイドで簡単位行う事のできる自動運動であり、重錘を利用することにより、負荷の調整も可能である。年齢、筋力に応じ1kg程度より開始する。ベッドの脇に腰かけて行う
③腸腰筋訓練
 腸腰筋は脊柱と下肢を連結する大きな筋群であるが、体幹部にあたるため外見上は気づきにくい。しかし、歩行バランス・体感バランスを安定させる重要な筋群であり、高齢者の歩行能力の改善に大きな寄与する。
④下肢筋力訓練
 エアロバイクやウォーキングマシーンを用いて下肢の筋力を総合的に訓練する。比較的基礎体力があり、心疾患など合併症のない患者の適応となる。
⑤上腕筋力訓練
 上腕二頭筋や上腕三頭筋などの上肢の筋力訓練は若年者やスポーツ選手たちが仕事やスポーツ復帰を目指す場合に主に行われる。障害の程度により負荷を変え徐々に増やしていく。

○ 関節可動域訓練
外傷や骨折などにより、患肢を一定期間安静に保たなければならない場合、関節拘縮をきたし、関節可動域が制限されることがある。そのような場合には、予防的に関節を自動、自動介助、他動的に動かして可動域訓練を行い、スムーズな関節運動ができるようにする。
①自動運動訓練・他動運動訓練
 障害や原因となった疾患により、自動・他動運動訓練を選択する。一般的に拘縮をきたした関節可動域を改善する際には、他動訓練が行われるが骨折の術後早期の拘縮予防訓練には自動介助運動訓練も行われる。
 その際、障害されている感染をほっとパックなどで温めておくと関節が柔らかくなりスムーズな運動が可能となる。
②CPMによる可動域訓練
 最近ではCPM(持続的他動訓練)を行うことによって関節拘縮を予防し、可動域訓練の一助とすることができる。
 これにより、手術翌日より関節可動域訓練を開始することが可能となったが、CPMを用いた訓練は関節の可動域内でのみ可能であり、CPM訓練のみで可動域を改善させることはできない。
○ 歩行訓練
歩行訓練は障害の程度に応じて、平行棒、歩行器、松葉杖、一本杖などを用いて行う。その際、患肢を完全荷重とするのか、部分荷重か全荷重かをはっきりさせておく必要がある。
 また平地での歩行が可能となれば、階段昇降や屋外歩行訓練を継続して行う。
○ 起立訓練
長期のベッド上安静により、全身、とくに下肢の筋力低下が著しい場合や、麻痺、起立性低血圧等がある場合には起立動作から訓練を開始する必要がある。
 ベッドサイドで端座位の訓練後、引き続いて行う場合と訓練で斜面台を用いて行う場合とがある。いずれの場合も患者の不安が強い事が多く、訓練を開始する際には必ず傍らで介助し、転倒に十分注意しながら行う。訓練の際には動きやすいズボンなどを着用して行うよう心がける。
○ 体位変換訓練
 中枢神経系の疾患で麻痺を伴う場合、ベッド上安静期間が長期にわたり、筋力の低下が著しい場合や急性腰痛症などで著しい腰痛を伴う場合にはベッド上での体位変換の訓練が必要である。
 脳梗塞などで麻痺を生じた患者は訓練当初は麻痺した患肢をどうしていいか分からない事が多い。その際は手すりを持つ位置やタイミングをアドバイスすることによってスムーズな運動が可能となる。
 急性腰椎症の患者などには体幹と下肢のバランスを利用して、臥位より側臥位、端座位に移行する方法を指導する。これは全身の筋力の低下した患者や高齢者にも応用できる。

○ 廃用予防訓練
最近では医療の発達に伴い、高度の意識障害のある患者でも集中治療室での管理によって長期に生命を維持できる環境が整備されてきている。このような患者に対し、主に関節拘縮や四肢の浮腫を予防するために、集中治療室で可動域訓練を行うことがある。
 訓練の際には軟部組織の損傷や循環動態の影響に注意する。また、意識障害のない患者でも長期の患者でも長期に臥床安静が必要な患者には、高度筋萎縮が生じないように、ベッド上で筋力訓練を行うこともある。
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看護研究科 小日方 さくら

Author:看護研究科 小日方 さくら
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