膵臓がんの看護計画や解剖生理など解説しますよ〜

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    By看護研究科 小日向 さくら

    みなさん、こんにちわ。 看護研究科の大日方さくらです(@lemonkango)です。

    実習などで比較的、出会う疾患の一つでもある膵臓がんの看護計画について解説したいと思います!
    なかなか、内分泌系の疾患は難しい・・・と困惑される看護学生さんが多いと思いますが、膵臓がんと膵臓の機能を一緒に覚えると国試対策にもなりますので、しっかりと覚えておくことをおすすめします!
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    それでは、膵臓がんの看護計画や解剖生理など解説しますね!



     

    1.膵臓とは

    膵臓は後腹膜にあって、上腹部のみぞおちと臍の中間あたりから左上方にかけて存在しています。よく看護学生さんに膵臓の位置を聞くと、肝臓を指す方がいらっしゃるのでしっかりと位置は確認しましょうね汗


    膵臓は細長い臓器で、頭部、体部、尾部に分けられます。

    頭部では幅5cm、厚さ2cmぐらいで、尾部に向かって細くなり、長さは15cm前後。

    隣接する主な臓器として、頭部では十二指腸、胆管、門脈、下大静脈、体部では脾動静脈、胃、大動脈、尾部では脾臓、腎臓、大腸があります。 この部分はよく国試に出題されますのでしっかりと覚えておきましょう!

    したがって、手術など外科的な処置をする際には、これらの諸臓器、脈管との関連なくして膵臓の処理ができないことが大きな特徴となります。  

    膵臓は血流、神経分布が豊富で、食物を消化する消化酵素であるアミラーゼ、リパーゼ、トリプシノーゲンを含んだ膵液を分泌する外分泌機能と、血糖の調節に必要なインスリン、グルカゴンなどのホルモンを分泌する内分泌機能を併せ持っています。

    内分泌機能は膵臓内に点在するランゲルハンス島が担っている。膵液は膵管を通って十二指腸に分泌されます。


    膵臓がん1 



    1-1.膵(臓)がんとは

    単に膵がんという場合は、膵管から発生し、充実性の腫瘤を形成して浸潤、転移を起こしやすい膵管がん(通常型膵がん)を指します。

    膵臓のがんの90~95%を占めており、消化器のがんのなかでも治りにくいがん(難治がん)の代表として知られていますね。

    膵がんの発生率は胃がんや大腸がんに比べ1/3~5程度にもかかわらず、国内におけるがんによる死亡原因の第5位を示しています。

    難治がんである原因は、膵臓がんには特異的な初発症状がなく、膵臓がんと診断された時には大半が高度に進行しており、既にがんが膵臓の周囲の重要臓器に拡がっていたり、肝臓などの他臓器にがんが転移していて、7割から8割の方は外科手術の適応にならないこと、また、たとえ切除可能であっても早期に再発を生じることが多いことが挙げられます。そのため症状が出た際は、もう手遅れなんてことも・・・


    膵臓のがんには他に、膵臓には嚢胞を形成するがん、粘液分泌が盛んながん、ランゲルハンス島から生じたがんなど、比較的予後の良いものもあります!

    2.膵臓がんの疫学

    膵がんは危険因子として、肉食、喫煙、排気ガス、化学物質などが挙げられますが、統計学的に明らかに関係が証明されている因子はないとされています。 今後、国があげて行っているAIによる疾患・症状の統計学習で膵臓がんの原因因子が明らかになるかもしれませんね! 医療系ニュースはしっかりと見ておきましょう! 時に国試に出題されることもあります!


    日本では、男性にやや多く、他のがんと同様に50歳以上になるとその発生頻度は増加しています。

    膵がんは病巣占拠部位より、膵頭部がん、膵体尾部がん、膵全体がんに分けられるが、膵頭部がんは膵体尾部がんより2,3倍多く、膵全体癌は最も少ない。
    発生部位によって症状が変わってくるので、すべて同じというわけではない。

    最も多く見られる膵頭部がんでは、左上腹部痛や背中の左側の痛み、下痢、体重減少、黄疸といった症状が見られます。
    膵体部がんや膵尾部の場合には兆候が出るまでに時間がかかる傾向があり、進行すると腹水がたまることや、背中の痛み、食欲不振が見られるようになります。

    膵臓癌の治療を行う場合にも、部位は関係しており、手術を行う場合に切除する範囲が変わります。一般に膵頭部に対しては、胆管、胆嚢、十二指腸、空調の一部をともに切除する方法か、これに胃の一部を追加する方法が取られます。

    膵体部がんや膵尾部に対しては、膵尾側切除や膵全摘術を行われることが多いです。  

    どの部位に該当するかによって、同じように膵臓癌だと思っていても、多少の違いが出てきますので、どの部位なら生存率が高いということはなく、難治がんとしての性質は共通して持っています。

    3.膵臓がんの症状

    症状は腹痛と黄疸が多く、次いで食思不振、腰背部痛、全身倦怠感、体重減少などで、特徴的な症状が乏しいのが、診断の遅れにつながっています。 

    膵がんではその病巣占拠部位により、臨床症状が異なります

    膵がんの60%は頭部にできるが、膵頭部には胆管が通っているため、膵頭部のがんでは胆管が狭くなって胆汁の流れが悪くなり、黄疸が生じやすいのが特徴にあります。

    この他、膵頭部がんでは、上腹部痛、背部痛、食思不振、全身倦怠感、心窩部不快感、腹部膨満、体重減少など一般的な消化器症状と同様な症状が表れます。

    がんが進んでくると、腹水、消化管出血がみられることがあります。  

    膵体部や尾部のがんでは、膵頭部がんと比べその場所から胆管に影響が及びにくいので黄疸も出現しにくく、その発見はさらに遅くなることが多く、診断された時点では、手術不能と言う場合が多くある。症状としては、上腹部痛や腰背部痛が多いですが、体重減少、腹部膨満、便秘、下痢、糖尿病の悪化など不定な症状が多く、たまたま別の病気でCTや超音波検査をされた場合に見つかることも多くないとされています。がんが進むと腹部腫瘤や腹水がみられることもあります。 なお、慢性膵炎の症状も膵がんとよく似ており、慢性膵炎の場合も、膵がんの検査を行う注意が必要です。
    📌ポイント

    末期症状

                                          
    膵臓がんは、血管やリンパの流れに乗って、遠隔転移しやすいがんである。他の臓器に転移すると「ステージⅣ」、つまり末期の段階になる。 血流から、肝臓がもっとも転移しやすい臓器である。

    しかし肝臓はかなり病巣が大きくならないと症状が現れにくいという特徴がある。
    黄疸や痛みといった症状が出てくるころには、がんがかなり広がっている状態になる。 他には、骨や肺、脳などにも転移する。骨に転移した場合は、何もしていないのに骨が急に折れる「病的骨折」や、激しい痛みなどがみられる。

    肺では、すぐに息が上がるようになる、しつこい咳が出る、などの症状が特徴的である。 脳は、転移した部位によってさまざまな症状が考えられるが、ろれつがまわらない、吐き気がする、運動障害が起こる、などの症状がある。
    📌ポイント

    腹水貯留

                                            
    はじめに腹水とは・・・
    お腹の中は、内臓が背骨を中心に後ろ側にくっついており、その表面を腹膜(ふくまく)という膜がおおっている。

    その腹膜は、上下左右の端で折り返して、お腹の壁の裏側(へその裏側)をおおっていて、全体として袋の形をしている。
    この中には、病気がなくても数十ミリリットルの腹水が常にあり、お腹の中で腸が動く時に潤滑油の働きをしている。腹水は腹膜から少しずつ出てきて、再び腹膜から吸収され、通常は一定の量を保っている。

    ところが何らかの原因で、できる腹水よりも吸収される腹水の方が少なくなると、次第に腹水の量が増えてくる(黄色で示してあるのが腹水)。腹水が多くなると、お腹の中の内臓や上にある肺を圧迫して、苦しい症状が出てくる。「お腹が張る」「みぞおちが苦しい」「息が苦しい」などの症状が現れることがある。
    📌ポイント

    <なぜ貯まるのか>

    できる腹水より吸収される腹水が少ないと腹水が貯まってくる。その理由はいくつかあるが、吸収が少ない場合と、できる量が多い場合、流れが妨げられている場合がある。

    1)吸収が少ない場合  吸収が少なくなる原因で一番多いのは、血液の中のタンパク質が少ないことである。血液の中には「アルブミン」というタンパク質があり、血管の中に水分を保ったり、水分を血管の中に引き込む働きをしている。アルブミンが少なくなると、一度血管の外に出た水分(腹水やむくみなど)を血管に引き戻す力が足りなくなり、腹水が少しずつ増えてくる。  アルブミンを作っているのは肝臓。そのため、肝臓の力が弱くなると、腹水が増えやすくなる。

    2)できる量が多い場合  できる量が多くなるのは、腹膜の状態に異常が起きている場合が多い。細菌などの炎症があるとか、ただれているとか、腹膜に病気が広がっているなどの場合である。

    3)流れが妨げられている場合  腹水は腹膜から吸収されて、血管やリンパ管を通って血液の水分に戻る。この排水の仕組みのどこかで流れが妨げられると、腹膜に異常がなくても吸収できなくなる。流れが妨げられる原因には、肝臓のあたりの血管に原因がある場合、心臓に原因がある場合、リンパ管に原因がある場合などがある。

    📌ポイント

    腹水の治療

    腹水の治療は、原因や症状によりさまざま。  
    原因が取り除ける場合(細菌の感染など)には、原因の治療を行う。そうでない場合は、腹水で苦しくならないように、いくつかの治療がおこなわれる。  もっとも多く治療に使われるのは、利尿剤。利尿剤は、尿を多くする薬。血液の中の水分を尿に出すことで血液のアルブミンなどを濃くして、腹水の水分がより多く血管の中に戻ってくるように働く。  利尿剤を使っても腹水が増えてくる場合には、腹壁を刺して直接腹水を抜く(腹腔穿刺)治療をする。 

    腹水を大量に抜いたあとは、腹水が抜けたことで血管から腹水側に水分が移動しやすくなる。急激に移動すると、血管の中の水分が足りなくなり脱水状態になる。これを防ぐためには、抜く腹水の量1リットルあたり6~10グラムのアルブミンを点滴で補充することが有効といわれている。  

    腹水の貯まる原因ががんの場合には、腹腔内に抗がん入れる治療が、腹水を減らすのに効果があることがある。1回の治療で貯まらなくなる人は多くないが、数回繰り返すと貯まらなくなることが多いと報告されている。
    📌ポイント

    膵臓がんと腹水の関連

    すい臓がんが進行すると、腹腔内に「腹水」がたまることがある。 おなかが張って苦しくなる、食欲低下や呼吸困難がみられる、などが主な症状である。患者さんの体力などを考慮しながら、腹水を抜く処置が行われる。

    すい臓がんが悪化すると、「癌性腹膜炎」を起こすことがある。腹腔内に、がん細胞が散らばるようにして広がり、腹膜が炎症を起こした状態である。 膵臓を含めた消化器系の臓器や、婦人科系の臓器のがんが末期になるころに、よくみられる症状である。 癌性腹膜炎になると、腹水がたまりやすくなる。炎症を起こしたところから、体液が漏れてしまうためである。

    腹腔(おなかの臓器と臓器の間)には、つねに20~50ミリリットルほどの水がたまっているが、この量が異常に多くなると臓器を圧迫して、はたらきを悪くしてしまう。

    腹水がたまると、おなかがぽっこりと膨れ、息苦しくなることによって自覚できる。胃が圧迫されて食欲が落ちることもある。 膵臓がんで腹水がたまる状態になると、やはり一般的には末期といえる。高齢者に多いがんのため、腹水を抜く処置をして苦痛を軽減しながら、緩和ケアへ移行する患者さんが多くみられる。

    4.膵臓がんの検査・診断

    膵がんの検査は、血液検査、画像検査、内視鏡検査、組織検査に分けられる。
    ・血液検査では膵酵素(アミラーゼ、エラスターゼ1など)の上昇、腫瘍マーカー(CEA、 CA19-9、DUPAN-2など)の上昇、胆道酵素(ALP、γGTPなど)の上昇、耐糖能異常(血糖、HbA1cなどの上昇、インスリンの低下)が膵がんを疑う参考になる。

    ・腫瘍マーカーはがん自体から血液中に放出されるCEA、CA19-9、DUPAN-2を測定するもので、早期の小膵癌ではあまり高値とはならないことが多いため、腫瘍マーカーでの早期発見には限界があるとされている。

    ・膵酵素(アミラーゼ、エラスターゼ1など)の上昇や耐糖能異常(血糖、HbA1cなどの上昇、インスリンの低下)はがんに附随する膵炎によるものであり、胆道酵素(ALP、γGTPなど)の上昇はがんによる胆管の圧迫によるものと考えられる。しかしながら、これらの検査は、必ずしも膵がんに特徴的なものではない。

    ・画像検査では腹部エコー、MRIで膵に腫瘍が見つかることが多く、診断上重要である。特に、腹部エコーは簡便で、非侵襲であるため、膵病変のスクリーニング検査として有用である。 ・最近では、PET検査も膵がんの発見のために行われるようになっており、慢性膵炎との鑑別に利用される場合もある。

    これらの画像検査は、ある程度の大きさ(だいたい直径1cm以上)がないと腫瘍かどうか明らかにならないために、本当の意味(完全に治る可能性がある)の早期がんを見つけることはできない。早期膵がんを見つけるためには、膵管の拡張や小嚢胞と言った間接的な所見を慎重に調べなければいけないといわれている。

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    なお、黄疸(閉塞性黄疸)をきたしている場合、診断と黄疸の治療を兼ねて体の外から肝臓を内の胆管を穿刺する経皮経肝胆管造影と胆汁ドレナージ(PTCD)が行われることもあるが、次に説明する内視鏡検査によっても胆管や膵管の造影やドレナージが可能であり、そちらを行う場合もある。

    この他、お腹の中の血管を造影する血管造影検査も行われる場合もあるが、最近では、CT検査でその画像を加工することによって、血管の走行やがんの広がりがはっきり判るようになり、侵襲的で得られる情報もそれほど多くない血管造影はほとんど行われなくなっている。 内視鏡検査には、十二指腸内視鏡を用いて、直視下に十二指腸乳頭開口部より細いチューブを挿入し、造影剤を注入することにより胆管、膵管を造影する内視鏡的逆行性胆管膵管造影法(ERCP)やチューブではなく細い経の内視鏡を直接膵管に挿入する膵管鏡、内視鏡先端に超音波振動子を装着し、内視鏡直視下に胃や十二指腸の管腔内より超音波検査を行い、膵の情報を得ようとする超音波内視鏡などがある。

    これらは、主として腫瘍の性質や広がりをみる精密検査として行われる。また、ERCPの際に膵液や胆汁を採取して細胞診断を行い、がんであることの確定診断を行う。  

    組織検査には腹部に針を刺して腫瘍組織の一部を採る針生検、先に述べた内視鏡を使って膵管から組織を採取する方法などがある。針生検はがん細胞を採取時に腹部の中にがん細胞を飛び散らす可能性があるとして、国内ではあまり一般的ではないが、がんの確定診断を行うためには重要な検査である。  

    前述の症状とこれらの検査所見を総合して膵がんの診断が行われる。  

    膵に腫瘍があること、その腫瘍ががん以外の原因によるものではないことをまず確定する。 つぎに腫瘍の大きさと、周辺臓器への浸潤やリンパ節、肝臓、肺などへの転移の有無を調べる。 これによって次に述べる進行度を決定し、治療方針決定する。

    5.膵臓がんの進行度・病期と治療成績

    進行度は腫瘍の大きさと、周辺臓器への浸潤、転移の有無によって決められ、ステージIからIVbに分けられている。  

    膵がんの約8割はステージIVの最も進んだ状態で見つかり、胃がんや大腸がんでは治癒が期待できるステージIの状態で診断されるのは1.7%です(日本膵臓学会膵癌登録20年総括)。

    しかしながら、膵がんでは、ステージIの状態で診断されてもその治療成績は不良である。 日本膵臓病学会の膵癌登録過去20年間の膵がんの症例の治療成績(5年生存率)をステージ別に示すと、ステージI:57%、ステージII:44%、ステージIII:24%、ステージIVa:11%、ステージIVb:3%となっています。 がんが膵管上皮に限局している場合(stage0)は、5年生存率はほぼ100%期待できますが、このような状態でみつかるのは、たまたま膵の嚢胞などを手術した際に、見つかるという場合がほとんどで、最初から膵管上皮に限局した早期膵がんを発見することは容易なことではない。

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    6.膵臓がんの治療

    膵臓がんの基本的な治療は、他の胃がんや大腸がんといった消化器がんと同様に、周囲の正常と思われる組織を含めたがん病巣の外科的切除である。

    しかしながら、膵臓がんと診断された7割から8割は診断時に既に切除手術の対象とならないほど進行しており、その場合は、症状改善を目指した手術や処置とともに抗がん剤による治療や放射線による治療、またはその両者が行われる。
    📌ポイント

    手術

    膵がんの外科的切除が適応となる条件として、

    1) 肝臓や肺などの膵臓以外の臓器にがんが転移していない場合。

    2) お腹の中(腹膜播種)にがんが広がっていない場合。

    3) 重要な臓器を栄養する大きな血管にがんが広がっていない場合。

    膵臓は後腹膜に位置し、重要な血管に近接していると言う特徴がある。
    胃がんや大腸がんと異なり簡単にその臓器だけを摘出できる部位ではない。 重要な血管として、腹部大動脈、腸を栄養する上腸間膜動脈や肝臓などを栄養する腹腔動脈、総肝動脈、固有肝動脈が挙げられる。

    しかし、腸で吸収された栄養分を肝臓へ運ぶ血管である門脈へがんが広がる場合は、その部位を切除して血管をつなぎ合わせる事が可能ならば、手術の適応となる。先に述べた1)~3)のどれか一つでも満たされない場合は、たとえ目に見える範囲で外科的にがんが摘出できても手術後直ぐにがんが再発するために、大きな負担をかける手術の価値が無いと考えられ、手術の適応が無いと判断される。 膵臓がんの切除法は、他のがんの場合と同じように基本的にはがんの部分だけ摘出するのではなく、がんが広がっている可能性のある周辺の臓器やリンパ節を一緒に摘出する必要がある。切除範囲は、がんの存在する部位によって異なり、がんが膵頭部にある場合は、膵頭十二指腸切除術が、体部や尾部に存在する場合は体尾部切除が行われる。

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    通常の膵癌に対する膵頭十二指腸切除の場合は、リンパ節の摘出も同時に行うため、手術時間は6~10時間かかる。

    体尾部切除の場合は、3~4時間程度の手術時間である。 術後の合併症として、早期のものとして膵空腸吻合部の縫合不全などの消化管縫合不全、膵断胆からの膵液漏が、長期的なものとして、糖尿病や消化吸収障害がある。 がんによって胆道が狭窄して黄疸が生じている場合は、黄疸を解消するため胆管空腸吻合術や胆嚢空腸吻合術が行われる。なお、手術をせずに内視鏡的、あるいは経皮経肝的に閉塞した胆道にチューブを留置する場合もある。

    がんが十二指腸に拡がり十二時腸を閉塞して食物の通過障害が生じている場合は、胃空腸吻合などの手術が行われる事がある。 また、根治的な手術が可能と判断し開腹しても、肝転移や腹膜播種などの手術前に判定できなかったがんの拡がりが見つかった場合は、切除は行わず、姑息的手術や術中放射線照射、背部痛に対して神経ブロックを行うことがある。
    📌ポイント

    化学療法

    化学療法とは、抗がん剤を使った治療のことをいう。根治的な手術が不可能な場合や手術の後に再発が認められた場合は、抗がん剤による治療が行われる。
    📌ポイント

    放射線療法

    手術が不可能でがんが局所のみに広がっている場合は、放射線療法が行われことがある。従来は入院を必要としたが、最近では外来通院で行えるようになっている。 膵臓がんが存在する部位に対して体外から通常一日一回の少量の放射線照射を行い、総照射量として45~60Gyの照射を4~6週間かけて行う。一回の照射にかかる時間は僅か数分である。

    なお、一度に多くの放射線照射を行いより高い治療効果を得るために、手術で開腹して直接放射線照射を行う術中照射と言う方法を行うこともある。現在のところ、体外から照射を行う方法と術中照射のどちらが治療効果が高いかは、はっきりしていない。また、放射線療法のみで延命効果が得られとする確立された報告はないが、背部痛などの症状を和らげる効果に優れているといことは認められている。  

    放射線療法は、あくまでも局所の治療なので、切除不能がんや再発がんなど、既に膵臓以外にがんが広がっている場合には、あまり効果が無いと考えられている。したがって、最近では、抗がん剤と放射線療法を組み合わせた治療(放射線化学療法)が行われる。

    放射線療法の副作用として、体外から照射する場合は、どうしても膵臓がんの周囲にある胃や腸にも放射線が照射されますので、それによる炎症や潰瘍出血などが生じる事がある。術中照射の場合は、開腹して直接がん部のみに照射するので正常組織には影響は少ないと言われている。

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    📌ポイント

    TS-1について

                                       
    効果発現および副作用発現のメカニズムが解明されており、広くがん治療に使われている抗悪性腫瘍剤5-FU。ティーエスワンはこの5-FUのプロドラッグであるテガフール(FT)に2つのモジュレーター、ギメラシル(CDHP)とオテラシルカリウム(Oxo)を配合することにより、5-FUの効果を高め、副作用を軽減することを目的として開発された経口抗悪性腫瘍剤である。


    副作用

    ティーエスワンは胃癌をはじめ、結腸・直腸癌、頭頸部癌、非小細胞肺癌、手術不能又は再発乳癌、膵癌、胆道癌に効能を有し、その有効性及び利便性から広く使用されているフッ化ピリミジン系の抗悪性腫瘍剤である。 ティーエスワンの承認時までの臨床試験における副作用発現率は単独投与で89.3%(671/751例)、非小細胞肺癌におけるシスプラチン併用投与では100%(55/55 例)であり、ほぼ全例に何らかの副作用が発現している。 そのため、ティーエスワン投与の継続性を高めるためには、いかに副作用をコントロールするかが重要となる。
    📌ポイント

    悪心・嘔吐

    ティーエスワンによる悪心・嘔吐は投与開始早期から発現することが多く、患者にとって最もつらい副作用の一つである。 処置としては、メトクロプラミド、ドンペリドンなどの制吐剤を投与する。ティーエスワンでは悪心・嘔吐に対する予防投与が行われることはほとんどないが、状況に応じてデキサメタゾン、メトクロプラミド、ドンペリドンなどを併用投与することも必要である。

    また、患者にこれらの薬剤を処方して持たせ、発現したら直ぐに服用させ遷延化しないようにするなどの早期対応が重要である。なお、嘔吐時には脱水に注意することも必要である。

    📌ポイント

    下痢

    ティーエスワンによる下痢は投与開始1~4週目に発現が多く、激しい下痢の場合に脱水症状まで至ったとの報告がある。 下痢が発現した場合には重篤化しないよう減量・休薬を考慮するとともに止瀉剤を投与するなどの対応が必要である。

    また、脱水、電解質異常、低栄養にも注意する必要がある。

    📌ポイント

    口内炎

    ティーエスワンによる口内炎は投与開始2~3週目に多く発現している。

    口内炎が発現すると、疼痛ばかりでなく、それに伴う食事摂取の意欲低下や、治療継続の意欲低下などのQOLの低下につながる。また、二次感染のリスクが高まり、症例によっては重篤な推移を示す場合もある。 投与開始時から定期的に口腔内異常の有無を必ず確認し、異常が認められた場合にはティーエスワンの休薬・減量を実施するとともに、疼痛軽減、炎症対策、感染予防のために、含嗽や軟膏の使用などの適切な処置を行う。

    📌ポイント

    食欲不振

    ティーエスワンによる食欲不振は投与開始後1~2週目の投与早期から発現する。 一般に食欲不振は他の副作用に随伴して起こることが多く、悪心・嘔吐、下痢、便秘、腹部膨満感などの消化器症状によるもののほか、味覚・嗅覚異常、全身倦怠感、精神的な原因によることも考えられる。 食欲不振が発現した場合には遷延化させないために、それぞれの原因に対して早期から対策を講じる必要がある。また、食事そのものについても工夫が必要で、食べやすい食事を用意するのはもちろん、気分の良いときに食べることが出来るように、いつでも食べられる用意をしておくなどの工夫も重要である。

    📌ポイント

    味覚異常

    ティーエスワンによる味覚変化、味覚異常、味覚減退、味覚消失などの味覚障害の報告が増加している。しかし、その発現機序が明らかでないため、治療法は確立されていない。ティーエスワンの休薬あるいは投与中止によりほとんどの症例では回復・軽快している。

    📌ポイント

    色素沈着

    ティーエスワン投与後2~3週目頃より顔面、爪、手、足などに色素沈着が発現することがある。現在のところ治療法は確立しておらず、ティーエスワン投与中は症状が軽快することはないが、投与中止により多くの症例でやがて軽快している。

    📌ポイント

    発疹

    ティーエスワンによる発疹は、投与開始直後より見られ、2週目で発現が多く見られる。その殆どは投与中止や対症治療により改善している。

    投与方法

    胃癌、結腸・直腸癌、頭頸部癌、手術不能又は再発乳癌、膵癌、胆道癌の場合 朝食後および夕食後の1日2回、28日間連日経口投与し、その後14日間休薬する。 これを1クールとして投与を繰り返す。

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    7.膵臓がんの看護計画

    膵臓がんの看護問題についてご紹介します! 本来、インターネットなどで膵臓がんの看護計画を調べられた看護学生さんはそのまま丸写しして提出しても指導者さんや、教員から返されます。

    なぜかというと、看護学生さんが行える看護問題にしなければいけないのと、個別性をより重視されるからです。 急性疼痛のリスクをあげて、看護計画にオピオイド投与する・・・なんて書かないでくださいね汗

    まだ、その判断は看護学生さんには出来ない事柄になります。 では以下に看護学生さん向きに看護問題についてご紹介します!

    #1 癌性疼痛、腹部膨満・浮腫・倦怠感に伴う体動困難・活動耐性能低下、および薬物の有害事象や肝・腎機能障害によるせん妄(予測的問題)に関連した転倒・転落のリスク

    #2 癌性疼痛・麻薬・腹部膨満・浮腫に伴う体動困難に関連したセルフケア不足

    #3 麻薬使用(および抗がん剤使用)による食欲不振に伴う低栄養状態、血液凝固能低下による出血傾向、浮腫による免疫能低下や皮膚の脆弱性に伴う易感染状態および長期臥床・体動困難に関連した褥瘡のリスク

    #4 癌の肺転移による肺機能低下、貧血による酸素供給不足、腹水貯留による呼吸運動低下、麻薬による呼吸抑制に関連した呼吸困難(予測的問題)

    #1 看護目標
     体動による疼痛の増強がなく、安楽な体位でセルフケアの不足を補うことができる。


    期待される結果
     ・全身の皮膚が清潔になる。 ・爽快感を感じる。 ・体動による疼痛の増強がない。


    具体的援助計画
     観察項目(O-P)
    1.皮膚・粘膜状態

    ①皮膚の乾燥・湿潤

    ②発赤や褥瘡の有無

    ③陰部・肛門部の皮膚の発赤やただれの有無

    2.疼痛

    ①腰痛の有無・増強の有無

    3.自力体動
    ①自力で行えることはないか。

    ②促しや介助によって自力でできることはないか。

    援助計画(T-P)

    ①安楽な体位(ベッド上座位や端座位、または臥位など)で実施する。

    ②ふらつきがある、疼痛が強いときは介助者2名で行う。

    ③浮腫のある皮膚は強くこすらない。

    ④手順(臥位で行う場合)

    ・空腹時、食後は避ける。
    ・室温は24±2度、風が当たらないように室内環境を整える。
    ・カーテンをし、プライバシーに配慮する。
    ・清潔援助を行うことを説明する。 ・上半身を脱衣する。
    ・両上肢を拭く。末梢から中枢に向かって拭く。
    ・右側臥位にし、背部を拭く。 ・左側臥位にし、背部を拭く。
    ・上衣を着る。 ・ズボンを脱衣する。
    ・臀部の下に防水シーツを敷き、石鹸をつけ泡立て陰部を洗浄する。
    ・右側臥位して、肛門部を石鹸で洗う。黄のタオルで水気を取る。
    ・陰部洗浄をしている間にもう1名で下肢を拭く。
    ・下肢を着衣する。

    衣類のしわを伸ばし、体位を整える。 (ベッド端座位で実施する場合)
    ①端座位になるよう促す。

    上体が倒れないようにふらつきがあるときは背部や下肢を支える。
    ②顔面を拭くように促す。拭き残しは介助する。

    ③上衣のボタンを外すよう促す。

    ④上衣の袖を脱ぐよう促す。

    ⑤肌着を脱ぐよう促す。

    ⑥背部に蒸しタオルを当てる。背部を拭く。

    ⑦胸部・腹部、腋窩・両上肢を拭く。

    ⑧肌着・上衣を着るよう促す。

    ⑨上衣のボタンをかけるよう促す。

    ⑩ベッド上臥位へ促す。

    ⑪ズボン・下着の脱衣を介助する。腰部を浮かすよう促す。

    ⑫両下肢を拭く。

    ⑬陰部・肛門部を拭く。

    ⑭下着・ズボンを着衣する。腰部を浮かすよう促す。

    ⑮上下の寝衣を整える。

    教育計画(E-P)

    ①疼痛の増強、悪心が出現したときは直ちに報告するよう指導する。

    ②冷感があるときは、「寒い」と報告するよう指導する。



    一部ではありますが、ご紹介しました! 反響があり次第、追加で執筆したいと思います!
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