看護学生さんが考える【統合失調症の看護計画】│関連図も合わせて解説するよ!

    author photo

    By看護研究科 小日向 さくら

    みなさん、こんにちわ。 看護研究科の大日方さくら(@lemonkango)です。

    今回のテーマは看護学生さんが考える【統合失調症の看護計画】です!

    この記事では【統合失調症のセルフケア理論】を用いた看護計画について解説したいと思います。

    精神看護実習では主に急性期・慢性期と2つの領域のどっちかを実習されるかと思います。

    急性期病棟・療養病棟では患者さんに対する看護も変化してきます。

    もし、精神科療養病棟に実習に行かれる方はこちらの記事もご参照してください!



    実習場所として、救急病棟、急性期病棟、療養病棟(閉鎖・開放)のどちらかになるかと思います。

    (※ 各実習病棟の特殊性についてもしっかりと学習をしておく必要があります)

    さて、今般、統合失調症単体の疾患をお持ちの方は少なくなっている事が言われています。

    ですが、療養病棟などでは長期療養されている患者さんを受け持つ事になり、実際、ほとんどが統合失調症の患っている患者さんばかりになります。

    成人看護などとはまた違う、思考の展開を行い患者さんの「強み」「ストレングス」などを考えながらアセスメントしていく事が重要となります。

    実際、患者さんを受け持った場合、学生さんがよく「分からなくなる」場面は、どのように接したら良いのか、どんな援助が必要になるのか

    日常生活ではほとんどの方がADLの自立されている方がほとんどであります。他の実習では日常生活援助を通して学びなどを学生さんに求めていきますが、精神看護領域ではまた違った視点で患者さんを観察して気づきや倫理、精神科の実際を学ぶ機会となります。

    精神科領域の学生さんが最低限、学ばなければいけないこと、実習場面を想定したアセスメントのヒントや各疾患の詳細などって授業で実際に教えてもらえますか? 

    評価表は渡されるけど、実際問題、抽象的な内容でどんな評価されるか分からない。って悩む経験があるかと思います汗

    母性や小児と同じ特殊な領域なだけに学生さんははじめて精神疾患を患っている患者さんを受け持つため、右も左も分からない、 アセスメントできない

    という事がないよう 実習の単位を落とさないようにしっかりと学習を積み重ねていく事が重要となります。
    吹き出し イラスト6

    看護学生さんが考える【統合失調症の看護計画】│関連図も合わせて解説するよ!







    1.【統合失調症】の原因と症状について解説します!



    下記でも紹介しましが、現時点で様々な仮説がありますが、これと言って革新的な治療方法・明確な診断基準は【ありません】下記の項目で詳しく解説したいと思います。

    1-1.はじめに、【統合失調症】の原因について解説します



    はじめに言っておきます。 現在、統合失調症の明確な原因であると言われてる事は「無い」です。

    「無い」と言い切る理由として、進学・就職・独立・結婚などの人生の進路における変化が、発症の契機となることが多いと言われているからです。

    ただ、それらは発症のきっかけではあっても、原因ではないと考えられています。

    というのは、こうした人生の転機はほかの人には起こらないような特別な出来事ではなく、同じような経験をする大部分の人は発症に至らないからです。

    一般的に言われている環境要因として考えられている事は・・・

    双生児や養子について調査をすると、発症に素因と環境がどの程度関係しているかについて研究結果が発表されました。

    たとえば、一卵性双生児は遺伝的には同じ素因をもっているはずですが、2人とも統合失調症を発症するのは約50%とされていますので、遺伝の影響はあるものの、遺伝だけで決まるわけではないことがわかります。

    様々な研究結果を総合すると、統合失調症の原因には素因と環境の両方が関係しており、素因の影響が約3分の2、環境の影響が約3分の1とされています。素因の影響がずいぶん大きいと感じるかもしれませんが、この値は高血圧や糖尿病に近いものですので、頻度の多い慢性的な病気に共通する値のようです。

    子どもは親から遺伝と環境の両方の影響を受けますが、それでも統合失調症の母親から生まれた子どものうち同じ病気を発症するのは約10%にすぎません。 2017年理化学研究所より統合失調症の新たな遺伝的メカニズムについての研究結果について発表がありました。

    長い研究論文の説明は省略しますが、要約しますと【ヒト疾患関連ゲノム領域ではsQTL SNPが有意に多い】 ただし、【精神神経疾患を含む多因子疾患の遺伝的メカニズムの解明につながると期待されます】と締めくくっています。 ということは、明確な原因は不明であるが、関連性はあるのでは?と中途半端な結論に至っている事がお分かりかと思います。
    引用 - 理化学研究所│統合失調症の新たな遺伝的メカニズムを解明 -遺伝子産物の「切り出し」に影響するDNA多型のビッグデータ解析から-│2017年2月27日   厚生労働省│知ることからはじめよう-みんなのメンタルヘルス│統合失調症 


    <国試にも出題された統合失調症の症状│シュナイダーの1級症状


    シュナイダーは統合失調症特有の症状を1級症状は下記にまとめました。

    ①思考化声            
                             ⑤思考奪取
    ②対話形式の幻聴         
                             ⑥思考伝番
    ③自分の小津王に口出しをする幻聴 
                             ⑦妄想知覚
    ④身体への被影響体験       
                             ⑧差為体験(させられ体験)

    国試に時に出題されますので頭の片隅に覚えておくことも良いかと思います。


    ただ、この分類も重箱の隅を突っつくような問題になります。 

    正答率もかなり低いものとなっていますので覚えても覚えなくても大丈夫かと思います。




    統合失調症│疾病の成り立ちについて


    統合失調症の罹病危険率は0.7%前後といわれ、時代、見族で大きな差違はなく、ほぼ一定であるとされています。

    統合失調症の好発年齢は男性が15〜24歳、女性は25〜34歳で、男女比は1;1で男女比はみられないとされています。

    思春期から35歳までに発症することが多いですが、40歳以降の発症もありえる。

    ここまでが、一般的に教科書で記述されている内容になりますが、この文章をお読みになって気づいた方はいらっしゃるかと思いますが、好発年齢を定義しているくせに、40歳以降の発症もあり得るとされています。 矛盾してますね。

    病型では破瓜(はか)型、緊張型、妄想型、単純型(多くの場合破瓜型に含む)に分類されています。

    統合失調症│破瓜型


    発症年齢は15〜25歳でいわゆる思春期であるとされています。

    症状は意欲低下や感情の平坦化が主であるとされており、目立たず、不登校、ひきこもりなどが問題化することが多いとされています。
    この文章だと、日本中にいる思春期の方たちは全員、統合失調症になってしまいます。


    統合失調症│緊張型


    発症年齢は20歳前後。急激な発病で激しい精神運動興奮あるいは昏迷状態を呈し、時には両者を交互に繰り返すこともあります。

    興奮状態はかなり激しく、大声を出し、物を壊したり、暴力を振るったり、自分を傷つけるなどの行動をとられます。

    また緊張状態の症状として拒絶、硬直、カタレプシーなどを呈するとされます。
    救急・急性期病棟で保護室−隔離処遇される方の殆どがこの項目に該当します。
    統合失調症│妄想型


    発病年齢は30歳代が多いですが、40歳代に発症することもあります。

    幻覚・妄想が主な症状で、特に幻聴、妄想に囚われた言動を示す事が非常に多いです。

    幻聴は命令や脅されている内容であったり、妄想は被害的、誇大的、身体に関するもの、嫉妬に関するものが多いです。

    統合失調症│単純型


    破瓜型に含まれる場合が多いですが、幻覚や妄想などの陰性症状がほとんどなく、陰性症状を呈しながら、社会適応が困難な状態になっていく場合が多いです。野宿生活者などとして生活している場合も多く、近所の住民が警察や保健所通報で応急入院される場合があります。

    :現在はこちらの分類はあまり用いられていません。

    統合失調症の病期│統合失調症の看護を行う上で患者さんがどの病期にいるかで看護計画が変わってきます。

    統合失調症の病期の分類は急性期 消耗期 回復期 慢性期に区分されています。
    細かい詳細は省きますが主に


    【統合失調症│急性期】:刺激を避け精神的・身体的の消耗を抑える

    【統合失調症│消耗期】:急性期から精神的・身体的に消耗した体力を補う時期

    【統合失調症│回復期】:徐々に思考などが回復していく

    【統合失調症│慢性期】:症状は安定している となります


    1-2.統合失調症│陽性症状



    陽性症状とは簡単に分かりやすく説明すると【実際には存在しない対象を知覚することで、感覚・知覚の障害】をまとめて陽性症状と区分されています。
    その、感覚・知覚の障害として・・・

    ①幻覚

    ②妄想

    ③まとまりのない会話

    ④ひどくまとまりのないまたは緊張病性の行動

    ⑤陽性症状のうち

    2つまたはそれ以上が各々1ヶ月の期間ほとんどいつも存在すると言われています。

    ただ、やはり個人差があります。 症状の程度や年齢・男女差などの個人差が顕著であるとされています。




    では、陽性症状について詳しく解説していきます!

    陽性症状│幻覚


    幻覚とは【実際には存在しない対象を知覚】することで、【感覚・知覚の障害】であることは上記でも説明しました。

    幻覚の種類として【幻聴、幻視、現味、幻臭、体感幻覚】があります。

    統合失調症では特に【幻聴】の症状の訴えが最も多いとされ、次に【体感幻覚】の訴えが多いとされています。

     
    統合失調症│幻覚の種類


    【幻聴(げんちょう)】: 周囲の人には聞こえない音声が聞こえる症状です。 声として聞こえるものを「幻声(げんせい)」と言い、単純な音が聞こえるものを「幻音(げんおん)」とも言います。

    幻聴は、自分の体の外から聞こえるということも、自分の体の中から聞こえるということもあります。耳で聞こえるとは限らず、「頭の中に聞こえる」と表現されることもあります。

    幻聴はしばしば被害的にとらえられることがあります。ここで観察のポイントとして非常に難しい事は【幻聴なのか、被害妄想なのか?】 患者さんの主観的な訴えを看護学生さんは「どっちなの?」と思われるかと思います。 大丈夫です。 精神科で働く看護師でさえ「よくわからない」と思わられる内容の1つとなります。

    【幻視(げんし)】: 「その場にないはずものが見える」という、誰もがまず思い浮かべる「幻覚」症状です。

    単純な色や光が見えることも、動物や人物など具体的なものが見えることもあります。

    例えば若い患者さんに多い訴えの1つとして「私は霊が見える」などの訴えですね。

    【幻味(げんみ)】; 口の中に何もなくとも、ある味覚を感じる現象です。 実際に味わっているものと違った味になるのを錯味(これは錯覚です)といいますが、幻味は錯味と一緒に起こることがあります。
    人によっては、幻味(錯味)を被害的に解釈し「毒を盛られた」(被毒妄想とも区分されることがあります)と考えることもあります。
    さらに、口腔内の違和感を訴え患者さんも多いとされています。口腔内の違和感から口腔内の痛みと錯覚していく事もあります。


    【幻嗅(げんきゅう)】: 嗅覚として体験される幻覚です。
    場合によっては幻嗅と幻味は同時に生ずることがあります。
    人によってはやはり被害的にとらえ、「毒ガスにやられた」(被害妄想)と感じることがあります。


    【幻触(げんしょく)】; しびれる、くすぐったいと言った単純なものから、誰かになでられる、さすられるとか、虫がはいずり回ると言った、妄想的な解釈を伴った感じ方もあります。

    さらに、足や腰が痺れると言った身体的訴えが多くなり、時に医師から痛み止めの薬を処方されたり頓服として指示があったりしますが、整形領域で異常所見が無いと診断を受けたとしても、神経系の疾患(例えば脊柱管狭窄症など)の異常もあるのでは?と様々な病院で精密検査を受けますが、やはり異常所見は無いとされ経過観察するようにと指示を受ける場合があります。幻触なのか、身体的疾患なのかの判別は非常に困難な一面の1つとされます。

    【体感幻覚(たいかんげんかく)】: 幻触と、それ以外の皮膚感覚(温痛覚、湿覚)等についての幻覚について言いますが、その他にも、「脳がくさってしまい空っぽになっている。下半身に電気がかかってくる。お腹の中で虫が動き回っている。全身に針がさっている。」「耳から虫が出てくる」などの妄想的な訴えについてもこういうことがあります。

    統合失調症│妄想


    精神科実習で看護学生さんが考える妄想の看護計画についてはこちらをご参照ください!

    被毒妄想についての看護計画を紹介していますが、一般的な【統合失調症│妄想】全般に適応できるように解説しています!

    一般的に【妄想】と言っても精神科医療では2種類に区分されています。

    【一次妄想】と【二次妄想】になります!

    一般的に統合失調症の妄想とは、現実にありえないことを強く確信し、看護学生さんや看護師、医師などが「それは妄想です」と言っても患者さんは【妄想】と思わず訂正不能で医療者の説明が入らない状態です。
    統合失調症:妄想│一次妄想とは


    一次妄想とは、妄想をもつ契機が心理的に了解不能なものを言います。

    一次妄想とは、妄想をもつ契機が心理的に了解不能なものを言います。 引用 - Wikipedia


    この、教科書通りの言葉だと意味がわかりませんね笑

    前述したとおり、訂正不能な妄想だと考えになります。 

    下記では一次妄想の種類について解説します!

    はじめに一次妄想は主に3つに区分されています。

    【妄想気分】: 猛然とした不安感を感じる

    【妄想着想】: 突然「自分は天皇の子どもだ」というような妄想を確信する。血統妄想、恋愛

    【妄想知覚】: 知覚したことに対して、全く根拠なく意味付けする。


    さらに一次妄想には細かく区分されています。 

    一般的に妄想に対する観察項目はこちらの単語を用いる事が非常に多いので、下記の内容を覚えるようにしましょう!

    統合失調症:一次妄想│妄想の分類


    【被害妄想】: 迫害【被害妄想】:周囲の人が自分をばかにしたり、いじめていると思い込む

    【関係妄想】:テレビで放映されたりネットに書かれていることを自分のことだと思い込む

    【注察妄想】:「道路を歩くと皆がチラチラと自分を見る」

    【追跡妄想】:誰かに後を付けられている。「警察が自分を尾行している」

    【被毒妄想】:食事、水に毒が入っている

    【嫉妬妄想】:配偶者が自分以外の人と関係している

    【憑依妄想】:動物や霊が乗り移る

    【物理的被害妄想】:電波や光などで攻撃されている。

    【誇大妄想】: 宗教妄想:神、あるいは救世主である。
    自分には特別なパワーが備わっていると信じ込む など、患者さんによって多種多少な訴えをします。

    【血統妄想】:高貴な血筋の生まれである

    【発明妄想】:重大な発明をした

    【恋愛妄想】:他者が自分と結婚したがっている。

    【微小妄想】; 貧困妄想:露頭に迷うほど貧乏である

    【罪業妄想】:罪を犯してしまった

    【心気妄想】:不治の病に罹っている

    【虚無妄想】:自分の身体がなくなった。世界が消滅した

    などがあります。  



    妄想の内容は多岐に渡り、患者さんの生育歴や生活歴、家族との関わりによって様々な訴えをします。

    陽性症状の一番困るのが・・・【思考滅裂】にあります。一次妄想で困るのが、医療スタッフが病棟ルールや規則について、(他患者に対する過干渉や妄想的な訴え、訴えの支離滅裂で何を言っているのか全く分からない、訴えが多すぎて対応が困難と言った事が書愚困難患者さんによく見られる

    思考の全体にまとまりがなく、関連製のない内容が結びついたり、話の内容に統一性がなくなる。軽度の場合は話す内容のまとまりがない連合弛緩、重度の場合は無関係な単語を並べるだけになる言葉のサラダがみられる。


    心理学的に了解できる二次妄想(妄想的観念)に分けられ、一次妄想はその出現の形式から表のように分けられる。

    統合失調症:二次妄想│妄想の分類


    患者さんの家庭環境や生育歴、今までの生活歴、現病歴などによって二次妄想(「私の病気は不治の病なのだ」「皆の不幸は私のせいなのだ」など)と区別されています。

    しかし、一次妄想と考えられる妄想にも患者さんなりの理由が存在している場合も多くあります。

    真の無意味で根拠のない妄想はまれであるとされており、訂正不能か訂正可能かで一次妄想と二次妄想を区別するという定義もありますが・・・

    患者さんが【統合失調症】であると病識がしっかりとあり、「私の病気は不治の病なのだ」(実際に統合失調症は前述したとおり、原因が明確ではなく、対症療法をメインとされている事から、妄想も、抑うつ気分から悲観的妄想が出現していれば理解可能であるとされています。

    豆知識として・・・ 妄想知覚などは統合失調症でよくみられる現象であると前述で説明した通りです。

    さらに二次妄想はうつ病でよく見られる現象であるとされています。

    うつ病の詳しく看護計画や解説について紹介されている記事がありますのでご参照ください
    <関連リンク>


    心気妄想、微小妄想などが有名であるとされており。「なんとなく胃が痛い、病院にいって検査しても異常がない、心療内科の受診を勧められ、それでうつ病と診断される」こういったエピソードが心気妄想には多いとされています。




    1)統合失調症│陽性症状


    看護学生さんがよく混乱するのが、【陽性症状】と【陰性症状】がわかりづらいと感じる方看護学生さんが多いと思います。

    陽性症状は前述した通り、分かりやすく【幻覚や妄想】と簡単に理解した方が分かりやすいですね!

    陰性症状とはなにを指すのか下記にて説明していきたいと思います!

    陰性症状は一言で簡単に説明すると【感情表現が乏しくなったり、意欲が低下する】ことを指します。

    主に急性期・長期入院されている長期入院によって【病棟で患者さんを管理】されている点と施設病(療養病棟で一年以上、まれに30年以上入院されている患者さんに生じとされています。専門用語として【ホスピタリズム:施設病】と専門用語があります。

    精神科療養病棟で実習される看護学生さんは・・



    をご参照ください!

    3)統合失調症−陰性症状│感情鈍麻・平坦化


    感情の動きが減少し、喜怒哀楽の表現が減っている状態です。

    周囲に対して無関心、無表情となっていますが、決して周囲で起きていることを理解していないわけではなく、周囲からの言葉、態度は伝わっています。 

    陰性症状│意欲・自発性の欠如


    無気力になり、自らすすんで何かを行うことができなくなっています。

    さらに、看護学生、看護師が退院支援として援助プランを考えて患者さんに実行してもらおうには、根気よく持続することができない状態です。

    物事への関心や興味も薄くなり、結果として、周りの事に興味や関心を示さなくなります。

    陰性症状│人との関わりが減り、自閉的になる


    思考力が低下し、会話量が低下します。 看護師・看護学生さんが困るのが、本人の想いや考えが全く分からない状態で援助計画に反映できない点ですね。

    話しかけても、短くそっけない内容の途切れ途切れの返事になったり、全く答えない場合もあります。

    2.統合失調症と心理社会的反応



    統合失調症を発症することによって、急性期に顕著に現れる幻覚、妄想などの陰性症状は周囲とのコミュニケーションをとることが非常に難しくなります

    精神運動興奮状態では、他人を傷つけたり、自分自身を傷つける危険性も高くなることから、両者の安全性を確保することが必要となります。 患者さん−スタッフの安全を守るためにはどのような精神科の援助が必要になるかと言いますと・・・

    【身体拘束】 【隔離】になります。 

    この医療ケアは精神指定医が指示を出します。医師免許のみの医師では身体拘束や隔離に対する指示は時間制限が法的に設けられています。

    また【慢性期】に特徴的となる【感情鈍麻、意欲・自発性の低下など】の【陰性症状】は社会参加する機会を減少させ、ホスピタリズム、あるいは自宅での引きこもり状態を招きます。精神科患者さんの社会問題化されている長期入院の理由の1つとして言えるでしょう。

    3.統合失調症の診断・検査



    正直に統合失調症の診断・検査について始めに一言だけ添えます。  原因が分からない疾患の1つで診断1つ、医師の裁量によって統合失調症と診断されたり、双極性障害と診断されたり、パーソナリティ障害と診断されたりと変化します。 一応、教科書通りの説明を加えますが、国試でも統合失調症の診断・検査項目はほとんど出題されませんので無視して頂いて良いかと思います。

    1)診断  統合失調症の診断基準は以下のようにDSM−Ⅳ−TRでは定義しており、統合失調症の診断に用いられます。

    DSM−Ⅳ−TR 画像

    【統合失調症の診断基準(DSM-5)】


    A. 以下のうち2つ以上、各々が1ヶ月間(または治療が成功した際はより短い期間)ほとんどいつも存在する。これらのうち少なくともひとつは(1)か(2)か(3)である。

    (1)妄想

    (2)幻覚

    (3)解体した会話(例:頻繁な脱線または滅裂)

    (4)ひどくまとまりのない、または緊張病性の行動

    (5)陰性症状(情動表出の減少、意欲欠如)

    B. 障害の始まり以降の期間の大部分で、仕事、対人関係、自己管理などの面で1つ以上の機能のレベルが病前に獲得していた水準より著しく低下している(または、小児期や青年期の発症の場合、期待される対人的、学業的、職業的水準にまで達しない)。

    C. 障害の持続的な徴候が少なくとも6ヶ月間存在する。この6ヶ月の期間には、基準Aを満たす各症状(すなわち、活動期の症状)は少なくとも1ヶ月(または治療が成功した際はより短い期間)存在しなければならないが、前駆期または残遺期の症状の存在する期間を含んでもよい。これらの前駆期または残 遺期の期間では、障害の徴候は陰性症状のみか、もしくは基準Aにあげられた症状の2つまたはそれ以上が弱められた形(例:風変わりな信念、異常な知覚体 験)で表されることがある。

    D. 統合失調感情障害と、精神病性の特徴を伴ううつ病または双極性障害が以下のいずれかの理由で除外されていること (1)活動期の症状と同時に、うつ病・躁病エピソードが発症していない (2)活動期の症状中に気分のエピソードが発症していた場合、その持続期間の合計は、疾病の活動期および残遺期の持続期間の合計の半分に満たない。

    E. その障害は、物質(例:乱用薬物、医薬品)または他の医学的疾患の生理学的作用によるものではない。

    F. 自閉スペクトラム症や小児期発症のコミュニケーション症の病歴があれば、統合失調症の追加診断は、顕著な幻覚や妄想が、その他の統合失調症の診断の必須症状に加え、少なくとも1ヶ月(または治療が成功した際はより短い期間)存在する場合にのみ与えられる。

    2)検査 <検査については炭酸リチウムやバルブロ酸ナトリウムなど血中濃度に関連するもの、抗精神薬により口渇が生じ、多飲水、水中毒となる患者さんがおり、血算や生化などの項目と多岐にわたります>詳しくは後日紹介します。

    MRI、CTを用いた検査においては、統合失調症の側脳室、第3脳室の拡大が指摘されている。

    SPECT検査では前頭葉の血流量の低下を認めたという報告がなされているが、まだ定着はしていない。

    4.統合失調症の治療



    統合失調症│薬物療法
    精神薬 画像

    はじめに精神科のお薬では抗精神薬と向精神薬の2種類の言葉が教科書や参考書に出てくるかと思います。

    そもそも、この違いは何なのか?について解説します!

    【向精神薬】とは・・・ 精神に作用する全ての薬剤を指します。眠剤・安定剤 デパスなどが該当する部分であり依存性があるものになります。

    【抗精神薬】とは・・・ ほとんどが統合失調症のお薬に分類されます。抗精神薬は向精神薬の中でもドーパミンブロックするものを指します。 さらに、抗精神薬では定型抗精神薬と非定型抗精神薬の2種類に分類されています。 この2種類の違いについては下記にて紹介したいと思います。

    精神科実習に行かれる看護学生さんは薬剤の名前を見ても何でこの薬が処方されているのか、どんな効果があるのか、副作用の観察ってなんだろう?など疑問をもつ、持ってもらいたいと指導者や教員から思われるかと思います。

    精神薬は沢山種類がありますので、代表的で、精神科で使用頻度が高いものについて解説したいと思います!

    精神科で代表的な向精神薬の種類

    ◯抗精神薬

    ◯抗うつ薬

    ◯気分安定剤

    ◯抗不安薬

    ◯睡眠薬

    ◯抗てんかん薬


    になります。

    上記の言葉の通り、何にターゲットして処方されているのかお分かりだと思います。

    この中で、看護学生さんの理解が進まないのは、抗精神薬の定型抗精神薬と非定型抗精神薬の違いについてだと思います!

    【定型抗精神薬】はドパミンのみに作用する【第一世代】の薬です。

    【非定型抗精神薬】はドパミンだけではなくて、セロトニンなどほかの脳内物質にも働きかける【第二世代】の薬です。

    非定型抗精神薬は定型抗精神病薬に比べて、ドパミンの抑制作用が緩やかです。

    またドパミン神経に対して抑制的に働くセロトニン神経系を抑えることで、ドパミン神経を抑制しすぎないように働くことができ、統合失調症などの治療がやりやすくなりました。

    上記の説明で分かることは、第1世代の定型抗精神薬は第2世代の非定型抗精神薬より副作用が強いということです。 第2世代の薬は第1世代の薬より副作用が弱いということです。

    なぜ、第1世代、第2世代と呼ばれているのかと言うと、開発された時代によります。 第1世代は昔からある薬剤であり、第2世代は2000年前後で開発された薬剤になります。 この違いは、患者さんに非常に重要な情報であり、患者さんの予後にも非常に影響が高いものになります。

    定型抗精神薬(第一世代)の代表的な薬剤と特徴について解説します!


    主な商品名: コントミン(ウィンタミン)、ヒルナミン(レボトミン)、PZC、ハロペリドール(セレネース)、ドグマチール、ゾデピン(ロドピン) 注:カッコ内に入っている商品名はジェネリック商品となります。精神科病院の出来高病棟以外は包括医療と分類されています。そのため、なるべく薬価が安い商品を購入して患者さんに処方されています。

    主な特徴:

    副作用として【錐体外路】症状が強い
    注:錐体路、錐体外路の単語は国試でも運動器の分野で出題されます。 
    錐体路を簡単に説明すると、【随意運動】を司るものです。

    錐体外路を簡単に説明すると【不随意運動】になります(解剖学的に錐体外路は実在しないとされていますが・・・諸説あり)

    陽性症状に効果が高いが、陰性症状には効果が効きにくい。

    になります。

    非定型抗精神薬(第2世代)の代表的な薬剤と特徴について解説します!


    主な商品名:

    オランザピン(ジプレキサ)、セロクエル、リスペリドン(リスパダール)、ルーラン、ロナセン、クロザピン(クロザリル)、パリペリドン(インヴェガ)、エビリファイ 注:カッコ内に入っている商品名はジェネリック商品となります。精神科病院の出来高病棟以外は包括医療と分類されています。そのため、なるべく薬価が安い商品を購入して患者さんに処方されています。

    主な特徴:

    第1世代では、陰性症状には効果を発揮しませんが、第2世代の非定型抗精神薬では陽性症状・陰性症状ともに効果があるとされています。

    副作用として、錐体外路症状は少ないとされていますが、体重増加、耐糖能異常(血糖が上がります)を生じます。

    注:以上で抗精神薬の説明を終えますが、精神科の薬で一番覚えておいてほしいのが【錐体外路症状】【抗コリン作用】の単語になります。

    入院患者さんの殆どが薬物療法を受けています。そのため、日々の副作用の観察が非常に重要となります。

    国試にも出題される抗精神薬の代表的な副作用について解説します!


    ◯悪性症候群 

    主な副作用の症状

    高熱(38℃以上、解熱剤は全く効きません)、筋強剛、意識障害(せん妄、錯乱、傾眠、昏睡(亜昏睡)、自律神経症状(これでもかと言うぐらいの発汗、急激な血圧上昇、頻脈)

    発見、治療が遅れれば死に繋がります。  悪性症候群に対する治療は【ダントリウム】というお薬になります。

    この【ダントリウム】のというお薬、アンプルの商品で生食などで希釈し末梢点滴で投与する方法とカプセルを経口投与する方法があります。

    【ダントリウム】も厄介な薬剤の1つで、抗がん剤同様、末梢点滴で投与されている場合、血管から漏れ出したらその周囲が皮膚壊死を起こします。 ですので、細心の注意・観察をしなければならないのと、悪性症候群になってしまった患者さんは寝たきりで意識レベルが低下し自己抜去リスクが少ないですが、錯乱状態で患者さんが点滴を自己抜去してしまう場合があります。 

    さらに、悪性症候群に陥ってしまった患者さんは今まで投与されていた薬剤を全て中止となります。精神症状が悪化しますので、医療・看護が非常に難しい場面になります。

    錐体外路症状【EPS】 主な副作用の症状
    急性ジストニア(異常な筋肉の緊張)、アカシジア(落ち着いてじっとしていられない、足の裏がムズムズする)、遅発性ジスキネジア(舌や顔の筋が不随意に動く)、パーキンソン症状(筋肉がかたくなってこわばり、関節の曲げのばしがしにくくなったり、動作がゆっくりになったり、身体のバランスがとりにくくなったり、何もしていない時に手や足、時には首がふるえたりなど)

    EPSの対処療法として抗コリン薬が処方されます


    主な商品名
    アキネトン(ビペリデン)、アーテン(トリヘキシフェニジル)ピレチア/ヒベルナ(プロメタジン)

    EPSの対処療法で処方された薬剤でも抗コリン薬は副作用が強いです。

    副作用止めによる副作用【便秘・口渇・尿閉・せん妄】など)が生じます。抗コリン作用によって、副作用は臨床上よく見られます。 時に、4つ上げた副作用の対処は大変重要となります。

    便秘⇒下剤対応
    口渇⇒多飲水、水中毒になってしまい結果、隔離や水中毒の対応に追われます。

    水中毒について別の記事で紹介しています。ご参照ください!



    尿閉⇒ 1日水分量1500ml程度飲んでいるのに全く尿が出ない患者さんがいます。陰性症状によって訴えが少なく、たまたま排便の確認で腹部の観察をしたら、下腹部が膨れ上がっており胃下垂なの?と疑問に思い聴診器で音を聴いても腸蠕動音が全く聴こえず、これはおかしいと思い導尿してみたら1,000ml以上の尿が出てくるなどあります。現場の看護師さん大変ですね汗

    精神科医療の最終手段│電気けいれん療法(ECT)


    電気けいれん療法(ECT) 画像

    急性期における薬物療法の効果が得られない場合、希死念慮が強く早急な対応が求められる場合、あるいは身体合併症などにより薬物療法が行えない場合は、電気けいれん療法を行う場合があります。(現在、昔ながらの電気けいれん療法はめったに行われません)

    本人あるいは家族の同意のもと、麻酔科医が麻酔を施し、手術室において無けいれん性電気けいれん療法を行う修正型電気けいれん療法が近年開発されています。

    看護学生さんや看護師さんは絶対に患者さんの前で電気けいれん療法の単語を使う事はやめましょう。画像でも上記の画像でも紹介していますが、昔ながらの電気けいれん療法は木箱の中に入っています。その上に更にダンボールなどで隠しています。ESTか電気けいれん療法などの単語がテプラなどで書かれていますが、病棟に持ち込む、他病棟に移動させる場合は【その単語が絶対に患者さんに見えないように対処してください。】 

    余談ですが電気けいれん療法と修正型電気けいれん療法の違いについてご紹介します

    修正型電気けいれん療法とは、全身麻酔と筋肉のけいれんを起こさなくする薬を使用して電気けいれん療法を行うことを言います。麻酔により患者様が眠っている間に治療をしますので痛みを感じることはありません。また、筋肉のけいれんを起こさせなくする薬を使用しますので、全身のけいれんが起こらず骨折や脱臼に代表される合併症を予防できます。当院では全例に修正型電気けいれん療法を行なっています。 引用 - 国立研究開発 国立精神・神経医療研究センター病院 精神科 Q&A


    精神科病院実習で受け持ち患者さんの診察の様子を見学する際に医師が行う精神療法について紹介します!


    精神療法とは治療者と患者の間に生まれる人間関係によって、患者の心身の問題に好ましい変化がもたらされるような治療である。薬物療法などの治療効果をあげるためにも、精神療法が重要です。

    また、対人関係のスキル向上のための集団精神療法、患者の家族に対して家族療法などを必要に応じて行なわれています。

    看護師、作業療法士、臨床心理士などが行う生活療法とリハビリテーション


    精神症状の改善や安定化に伴って、薬物療法、精神療法に合わせて生活療法、リハビリテーションを行い、社会復帰への段階へと治療を進めていきます。

    具体的な方法の1つとして社会生活技能訓練【SST】は日常生活の中で必要な対人関係構築をめざし、体験的に訓練を行う方法である。SST(は目標の設定が明確であり、ロールプレイ、モデリング、フィードバックなどの技法に用いられます。

    リハビリテーションは病状が安定しつつある状態から始め、病棟内のレクリエーションなどから作業療法プログラムへの参加、薬の必要性などを学ぶ服薬教室など様々な形で実施する。

    統合失調症│看護学生さんが考える援助とその根拠について


    精神科病院に入院されている患者さんやそもそも精神科病院自体の独特なルールなどで看護学生さんはどのような看護を受け持ち患者さんに提供しなければ良いのか分からなくなる事があるかと思います。

     観察のポイントや援助について解説したいと思います!

    統合失調症患者さんの観察ポイント


    統合失調症は急性期で陰性症状が活発な場合
    ①幻覚・妄想による言動の有無と程度

    ②自傷他害の危険性の有無と程度

    ③症状が日常生活へどのくらい影響しているかが大きな観察のポイントとなります。

      また、慢性期になり症状が安定してきた場合は上記の③が観察の上位になります。

      ④患者本人が幻覚・妄想をどの程度認識できるかということも重要です。

      上記の①、②についても慢性期に移行しても継続して観察していきましょう!

     
    統合失調症│看護学生さんが考える援助計画について解説します!


      統合失調症は様々な経過をたどる疾患です。
      大きくは急性期、消耗期、回復期の経過を辿るとされ、各段階に沿った看護が必要です。

    また、寛解しても再発することが少なくないため、退院後も継続した看護が必要です。 細かくは下記にてさらに紹介したいと思います。

    3.治療の第1段階と看護ケア

    幻覚・妄想が強い場合、あるいは精神運動興奮が激しい場合は、刺激の少ない物理的、人的環境を整えることが重要である。

    また、自傷他害の恐れがある場合は、安全の確保を第一に治療・看護ケアを行う。このような場合、具体的には保護室への隔離、身体的梗塞を精神保健福祉法に基いて実施する。

    看護師は、患者自身の安全、看護師自身の安全の両方に視点をおきながら看護にあたり、患者が安心して治療・看護を受けられるような環境づくり、信頼関係づくりを行う。どんなに激しい精神運動興奮状態にあっても患者は全く理解できないということはないため、少しでも理解が得られるように治療・看護にあたる際には常に説明を繰り返す。

      薬物療法により症状の鎮静、十分な休息の確保ができるように、確実な与薬が重要である。拒薬する場合には無理強いはせず、患者の思いを十分に受け止め、その必要性を出来る限り説明する。

    激しい拒薬の場合は、デポ剤や水薬による与薬の適応も考慮する。

    また薬の副作用の出現に注意し観察を行い、出現が認められた場合に医師に報告する。

    また幻覚・妄想などの症状によって低下しているセルフケア能力、特に清潔・栄養・睡眠・休息・排泄を補う援助をしていく。

    4.治療の第2段階と看護ケア

    幻覚・妄想が強い状態、あるいは精神運動興奮を激しい状態のいわゆる急性期の症状が治まると、統合失調症の病期は消耗期に入る。

    消耗期はそれまでに消費したエネルギーが大きかったことと薬の作用もあるため一度活力が落ちた状態である。

    この時期には症状の鎮静とともに処方される薬の量が減っていく事が多い。睡眠が十分に確保でき、徐々に活力が戻ってくると、少しずつ自分自身の病気が理解できるような働きかけを行なっていく。

    どのようなときに具合が悪くなるか、具合が悪くなる時の徴候はあるかなどの本人の病気への具体的な認識を高めていくと同時に、その対処方法などを患者や家族と一緒に考えていくこと。

    また服薬の必要性の説明を行い、少しでも自分で服薬の管理が行えるように段階を踏んだ援助が必要になる。

     幻覚・妄想などの症状によって低下していたセルフケア能力も徐々に回復してくるので、看護師がすべてを援助するのではなく、できない部分を援助するようにしていく事が必要です。患者さんの持っている【強み】をさらに伸ばせるように看護学生さん、看護師は患者さんの行動を【見守る】事も非常に重要です!

    さらに病棟で行うレクリエーションや作業療法への参加を促し、少しでも対人関係をもつことができるよう働きかけをしていきましょう!

    5.統合失調症│回復期にある患者さんの看護援助



    統合失調症の患者は、多くの場合、消耗期を経て回復期に移行していきます。

    回復期には少しずつ周囲への関心がもてるようになると同時に行動の範囲が広がり、自分自身できることが増えてくるので、徐々に外出・外泊などをして患者本人も退院への準備をしていきましょう。

    幻覚・妄想が完全に消失している場合、していない場合の両方があるかと思いますが、いずれにしても【幻覚・妄想の内容が幻覚・妄想として患者自身が認識していけるように働きかける】事も重要です。 

    医学書院などでは幻覚・幻聴・妄想の内容は否定せず傾聴もせずと書かれています。【幻覚・妄想の内容が幻覚・妄想として患者自身が認識していけるように働きかける】事が今般の認知行動療法で証明されています。

     回復期が進むと、退院、社会復帰に向けて準備を行なっていきますが、十分な睡眠、休息を取り、焦らず無理はしないように心がけていくことが必要であることを認識してもらえるようにしましょう。

    また服薬の重要性を理解し、継続して服用することが何よりも再発予防に繋がることを認識してもらう事も重要ですが、病識がない患者さんには大変むずかしい場面の1つです。

    退院後に困ったことが起きた場合には、病院のスタッフにいつでも相談してよいことを保証し、安心を得ることが、退院後の患者、そして家族の生活を安定したものにしていきましょう。

    6.統合失調症│標準看護計画 統合失調症の看護計画について解説します!



    統合失調症 看護問題

    #1拒薬により薬物療法が効果的に行われない可能性がある

    #2向精神薬の副作用により悪性症候群を起こす可能性がある

    #3幻覚、妄想状態により、自称、他害などの危険行動を起こす可能性がある。

    #4看護師や他患者とのコミュニケーションが図れず、孤立する可能性がある。

    #5症状に作用されることで現実検討能力がなくなり、日常生活に支障を来す可能性がある。


    統合失調症 看護計画 │統合失調症 標準看護計画


    統合失調症 看護問題

    #1拒薬により薬物療法が効果的に行われない可能性がある

    看護目標(期待される結果)

    薬の必要性を理解することができ、正確に服薬できる

    統合失調症 観察項目【O-P】
    ①拒薬の原因を知る
    ・服薬時の態度や服薬に関する患者の訴え
    ・妄想体験の有無
    ・病識の有無
    ・患者や家族の薬に対する考え方
    ・医師との治療関係:服薬変更の説明の有無
    ・医師、看護師の信頼関係
    ・副作用の有無:アカシジア、尿閉、口角、眼球上転発作、便秘など 統合失調症 援助計画【T-P】
    ①服薬の説明と介助を行う


    ・根気強く服薬の必要性を説明:時間をかけて何度もすすめる

    ・患者のプライドを傷付けないように、患者に合った介助をする:口の中へ入れたり、手渡したりする

    ・上記の対応を行い、それでも拒薬した場合は医師に報告し指示を受ける

    ・患者の病気の苦しさを認めながら、今は苦痛を除去するために薬の力が必要であると説明する

    ・拒薬の原因を知り、薬を飲むことは安全であると保証する

    ・薬の副作用を説明する

    ②服薬確認を行う

    ・必ず看護師の前で内服してもらう

    ・隠し持ったりするため服薬後の行動に注意し、ゴミ箱、洗面所などを点検する

    ・舌の下に隠したり、コップの中に吐き出したりするため含嗽や歯磨きなどで吐いてないか確認する

    ③主治医との言語を統一する。:内服増量時、減量時、変更時

    ・錠剤、散剤、液剤、注射など患者の状態に応じ、医師に報告する

    ・同一作用でも種類の異なった薬を使用したり、常在の数を減らしたりする。

    ④副作用への対応と副作用による苦痛を受容する

    ・薬の変更、増減量

    ・抗副作用剤の併用

    ・副作用出現時の対応

    *アカシジア、眼球上転発作:塩酸ビペリデン、塩酸プロメタジンの与薬

    *尿閉、排尿困難:臭化ジスチグミンの与薬や導尿、圧迫排尿、流水音

    *口渇:飲水、唾液腺ホルモン剤の与薬

    *ふらつき、血圧低下:昇圧剤などの与薬、離床時、歩行時の転倒防止

    *便秘:食事、日常生活の指導、各種下剤の与薬

    ⑤信頼関係を築き、力ずくでの与薬は原則として避ける:服薬に対する不満を持っていても「この人のいうことなら」という信頼関係を築いていると力ずくでの与薬を避けることができる

    ⑥主治医の指示により薬物血中濃度を測定する

    統合失調症 教育計画【E-P】

    ①主治医の協力を経て、患者に合った服薬の必要性を説明する:拒薬のつど時間と手間をかけて繰り返し説明する。

    ②副作用の説明を行い、内服を促す。副作用が出現しても必要がないことを説明する。

    ③薬物療法に対する理解が十分得られない家族に対し、入院時、面会時、外泊時、退院時などの機会を利用して説明する。

    ④入院中より退院後の自己管理につながる内服管理の方法を意識して指導する。

    ⑤必要に応じ、薬剤師より服薬指導を実施する

    統合失調症 看護問題

    #2向精神薬の副作用により悪性症候群を起こす可能性がある

    看護目標(期待される結果)

    ●悪性症候群を早期発見でき治療を開始することができる。

    統合失調症 観察項目【O-P】

    ①薬物との因果関係を疑って十分な観察をする

    ・抗精神病薬を注射した場合:マイナートランキライザー

    ・急激な処方の変更:抗パーキンソン剤の減量

    ・精神症状の悪化:精神運動興奮、拒薬、拒食、全身の衰弱、不眠

    ②患者の全身状態の観察

    ・発熱

    ・精神症状:無言、昏迷、カタレプシー

    ・神経症状:筋強剛、筋攣縮:特に顔面、舌、咀嚼筋、球麻痺様症状:嚥下困難、喘鳴

    ・自律神経症状:頻脈、発汗、唾液過分泌、血圧低下、流延

    ・意識障害

    ・錐体外路症状:アカシジア、パーキンソニズム、ジストニア

    ・血液データ:CPK、CRP,K

    統合失調症 援助計画【T-P】

    ①上記症状を発見したら医師に報告する

    ②発熱があればクーリングしたり対症療法を実施したりする。

    ③バイタルサインチェックを4検もしくは6検で行い、異常の早期発見に努める

    ④必要時モニターの管理をする

    統合失調症 教育計画【E-P】

    ①不調部位や症状を具体的に伝えるよう指導する

    ②内服を確実に行えるよう指導する

    ③安静保持するように指導する

    統合失調症 看護問題

    #3幻覚、妄想状態により、自称、他害などの危険行動を起こす可能性がある。

    看護目標(期待される結果)

    ●症状を言語化でき、安全に日常生活を送ることができる

    統合失調症 観察項目【O-P】

    ①幻覚、妄想の訴えの内容と程度

    ②表情、意思の疎通性

    ③危険行動の前・中・後の言動や行動:奇異や行動や徴候の出現に注意して観察する

    ④危険行動の内容、程度

    ⑤他患者への影響

    ⑥不安、焦燥感の程度や日常生活での障害度

    ⑦食事摂取状況:食事量、食事時間

    ⑧栄養状態

    ⑨服薬の状況

    ⑩ADL状況

    ⑪睡眠状況

    ⑫周囲の安全確認:危険物の有無

    統合失調症 援助計画【T-P】

    ①期待の表明や規律、制限などは一貫性を保って行う

    ②自称に対しては危険物を周囲に置かないようにし、傷がある場合は消毒、処置をする

    ③暴力に対しては制止すると共に、絶対に暴力を振るってはいけないという強固な態度で接する

    ④必要に応じ医師に報告すると共に、医師の指示を受けて保護室を使用する

    ⑤患者が看護師に対して自分を受け止めてくれる、安心できる人だと思えるように受容的な態度で接し安心感を与える。

    ⑥看護師はゆっくりとした気持ちで患者の訴えに耳を傾けて十分話を聴く。

    ⑦妄想、幻覚の内容を否定したり肯定しない:否定は不信を抱き、肯定は確信を与える。

    ⑧話題を変えながら現実に向ける

    ⑨不安、焦燥感が強い場合、医師の指示で抗不安薬、向精神薬などの与薬をし、服薬確認をする

    ⑩休養、睡眠を確保する

    ⑪実行できない約束はしない

    ⑫必要に応じてセルフケアの介助を行う

    ⑬ケアを行う際にはまずその手順を説明し、患者が看護師にだまされていると思わないようにする

    ⑭症状は一時的なものであり、服薬をきちんとすれば必ずよくなっていくことを伝え、安心感を与える。

    ⑮落ち着いた態度で根気よく接し、看護師は患者の興奮に巻き込まれない

    ⑯危険物があれば患者の身の回りより排除し、安全な場所へ誘導する

    ⑰危険性が予測される場合は観察を十分に行い、特に夜間、多忙時は注意する。

    ⑱看護師感の伝達を密に行う

    ⑲医師の指示で鎮静剤を使用し、その後の観察を行う:必要時はモニター装着

    統合失調症 教育計画【E-P】

    ①患者に危険行動を起こす前に言葉で表現するよう説明する。

    ②正しいことは認め、内容によっては現実にあり得ないことをよく説明する。

    ③保護室を利用する場合は、安全な環境を提供する必要があることを説明する。

    統合失調症 看護問題

    #4看護師や他患者とのコミュニケーションが図れず、孤立する可能性がある。

    看護目標(期待される結果)

    ●患者が周囲に感心を持ち、感情を言語的または非言語的に表現できるようになる

    統合失調症 観察項目【O-P】

    ①日中の過ごし方

    ②他患者との接し方、態度

    ③医師、看護師との接し方

    ④看護師から働きかけた場合の反応

    ⑤レクリエーションの参加状態

    ⑥ADLの状況

    ⑦幻聴などの症状の程度や頻度

    ⑧家族の関わりや協力態勢 統合失調症 援助計画【T-P】

    ①看護師側から回避せず患者の反応を観察しながら働きかける

    ②段階を経てレクリエーションの参加を促す

    ③患者の訴えには耳を傾け、十分話を聴く

    ④会話が続かなくても一緒にいる時間を持つ

    ⑤ゆったりとした態度で接する

    ⑥ADLの誘導、必要に応じて介助する

    ⑦短時間でも他の人と過ごせるように援助する

    ⑧刺激を与えるためラジオなどを用いる。

    ⑨長時間、患者を部屋で1人にしない

    統合失調症 教育計画【E-P】

    ①スタッフや周囲の人々は、安心してよい存在であることを説明する

    ②非言語的表現から言語的表現へ変えるよう指導する

    統合失調症 看護問題

    #5症状に作用されることで現実検討能力がなくなり、日常生活に支障を来す可能性がある。

    看護目標(期待される結果)

    ●患者は妄想に左右されず、日常生活を送ることができる

    統合失調症 観察項目【O-P】

    ①幻覚、妄想の訴えの内容と程度

    ②日中の過ごし方

    ・食事摂取状況

    ・水分摂取状況

    ・睡眠状況

    ・整容状況:洗面や更衣はできているか

    ・入浴状況

    ③現実の問題の処理の仕方

    ④薬剤の副作用の有無

    ・抗コリン作用

    ・パーキンソン症候群

    ・悪性症候群

    ⑤状態の変化:耳を塞ぐ、臥床しがちなど姿勢の変化

    統合失調症 援助計画【T-P】

    ①妄想の内容は問題にせず、現実を巡っての関わりを持つ

    ②患者が妄想を疑い始めたら、看護師もそれを疑っていると示し、見たままの状況を話す

    ③感情を表現できるようになれば徐々に妄想を必要としなくなるので、感情表現を指示する

    ④直接的で具体的な分かりやすい言葉で会話し単純で完結な話題にする

    ⑤達成感が得られるような安易で現実的なレクリエーションや作業を共にする

    ⑥食事摂取状況を把握し、必要ならば援助する

    ⑦1日の水分量を把握し不足していれば、摂取できるように援助する

    ⑧夜間睡眠の確保ができていないようであれば、医師の指示に従い睡眠剤を与薬する

    ⑨整容更衣ができていなければ声掛けを行う

    ⑩日中の状況を観察し、不自然であれば声掛けをする

    統合失調症 教育計画【E-P】

    ①幻覚や妄想が起こった時や、それが活動を妨げる時には看護師に伝えるように説明する

    吹き出し イラスト6

    学生さんが受け持つ事が少ないと思われる病期が急性期にある統合失調症 患者さんの看護計画│統合失調症 標準看護計画について紹介します!





    #1知覚、思考、行動、自我機能などの障害により自己あるいは他者への暴力のリスクがある
    看護診断 対自己暴力リスク状態
    危険因子:精神保護上の問題、情動的な問題
    看護診断 対他者暴力リスク状態
    危険因子:精神病的な症状や徴候、認知障害、ボデイランゲージ
    看護目標
    長期:症状をコントロールすることで暴力が回避できる
    短期:看護師の援助により暴力を回避できる
    OP
    ・幻覚妄想の内容と患者への影響の程度、感情や行動の状態とコントロール状況、自我機能の状態
    ・短時間ごとに暴力のリスクのチェックを行う
    TP
    ・暴力の危険性が高いと判断した場合、主治医に報告し隔離拘束を検討する
    ・患者を刺激しないように環境を調整する。他者との接触、テレビの音から遠ざける。部屋を移すなど
    ・興奮している患者には落ち着いた態度で接し、必要なこと以外は無理に話をしないようにする。また1対1で接するよりも複数で接するようにする
    ・看護師間で対応を統一するように話し合っておく
    ・興奮が激しい場合など、臨時薬の投与について主治医と相談する
    EP
    ・あらかじめ患者に、患者の行動の許容範囲とそれを超えた場合の対処方法について説明しておく


    #2病識の欠如などにより、自ら適切な服薬、症状管理ができない
    看護診断 ノンコンプライアンス
    関連因子:病識の欠如、治療の副作用
    診断指標:指示に沿っていないことを示す行動、改善しない、症状悪化の徴候
    看護目標
    長期:自から適切な服薬、症状管理ができる
    短期:看護師の確認の元、適切な服薬・症状管理ができる
    OP
    ・服薬管理状況
    ・症状管理状況
    ・病識の程度
    ・抗精神病薬の効果・副作用
    TP
    ・服薬管理について、できている点は肯定的にフイードバックし、できていない点はその理由について患者から話を聞き、どうしたらできるかを患者とともに考える
    ・服薬管理がしやすいように、患者とチェックシートなどを作成し定期的に患者と確認してみる
    ・看護師が観察して薬の効果と考えられる点は患者にフイードバックする
    ・薬の副作用の出現が疑われるときは、早急に主治医に報告し対処する
    ・どのような時どう対処してきたか、どういう方法が効果的だったかなど、患者から話を聞き整理し効果的だった方法についてフイードバックする
    ・症状が悪化する時のサインや対処法について、患者と話し合う機会を持ちいろいろな対処法を患者と一緒に考えておく
    ・看護師が観察したことで、患者の症状への対処に役立ちそうなことをフイードバックする
    EP
    ・服薬管理の必要性と具体的な方法、薬の効果、副作用について患者が理解できるように説明する
    ・疾患とその症状、対処の仕方について患者が理解できるように説明する


    #3知覚、思考、行動、自我機能などの障害によりセルフケアが困難になっている
    看護診断 摂食、入浴、更衣、排泄セルフケア不足
    関連因子:知覚障害、思考障害、行動障害、自我機能などの障害
    診断指標:セルフケア行動
    看護目標
    長期:症状とうまく付き合いながらセルフケアが行える
    短期:看護師の援助によりセルフケアが行える
    OP
    ・食事摂取状況、入浴状況、更衣状況、排泄状況
    ・幻覚妄想などの症状によるセルフケアへの影響の程度
    TP
    ・患者のその時点でのセルフケア能力に応じて働きかける。全く行えない場合は看護師が全代償し回復に伴い患者自身で行えるように徐々にかかわりを変化させる
    ・患者のセルフケア行動に対して、急がさず時間をかけてかかわる
    ・幻覚妄想などの影響が強く、セルフケア行動が進まない場合、「今は食事の時間です」など現実に戻すようにする
    ・幻覚妄想などにより患者が不安や恐怖を感じている場合は、その場に付き添うようにする
    ・患者とともにセルフケアに関する長期的な目標を見据えたうえで、段階的で達成可能な目標を設定しプランを立てる
    ・達成できた点は肯定的にフイードバックし、達成できなかった点はその要因について患者と話あう
    ・排泄に関して薬の副作用で便秘などが見られる場合は、頓用薬の処方について主治医に相談する
    EP
    ・症状とうまく付き合いながら、患者自身でセルフケアを維持する必要があることを伝える


    #4知覚、思考、行動、自我機能などの障害により活動の休息のバランスが崩れている
    看護診断 睡眠パターン混乱
    関連因子:周囲の温度、湿度、騒音、照明
    診断指標:入眠困難の訴え、眼が覚めているという訴え、正常な睡眠パターンの変化
    看護目標
    長期:自ら適切な活動、休息がとれる
    短期:看護師の援助により適切な活動、休息がとれる
    OP
    ・睡眠状態
    ・幻覚妄想などの症状による睡眠状態への影響の程度
    TP
    ・患者が入眠できる環境を整える
    ・昼間の活動、休息時間と睡眠状況について、患者とチェックシートなどを用いてモニタリングし適切な活動・休息パターンを見つける
    ・睡眠を妨げる要因と、要因への対処について患者と話し合う
    ・睡眠に対して、患者がうまく対処できた場合は肯定的なフイードバックを行う
    ・睡眠状況を見ながら睡眠薬の調整について主治医に相談する
    EP
    ・適切な活動、休息をとれるようになることが再発予防につながることを説明する
    ・睡眠薬の適切な用い方について説明する


    #5知覚障害、思考障害がある
    看護診断 思考過程混乱
    関連因子:生物学的要因、遺伝的要因、環境的要因、心理社会的要因など
    診断指標:厳格、妄想、不適切な思考
    看護目標
    長期:知覚障害、思考障害に適切に対処しながら生活できる
    短期:看護師の援助により現実に戻れる
    OP
    ・知覚障害、思考障害の出現状況、内容、程度
    TP
    ・看護師は幻覚妄想体験が患者にとって事実であることを受け入れ、患者の体験内容が現実にそぐわないことを無理に納得させようとしない
    ・患者と話すときは簡潔明瞭具体的な話し方を心がける
    ・幻覚妄想により患者が体験する感情に焦点を当て共感的にかかわる「~があると、とてもつらいですね」など
    ・患者が幻覚妄想体験よりも現実的な事柄に目を向けられるように働きかける
    ・患者と一緒に、現実的な体験をする機会を多く持つ
    ・幻覚妄想体験が事実かどうかを、患者と一緒に確かめる
    ・幻覚妄想体験について看護師が知覚したことなどを患者に伝える
    ・患者が幻覚妄想について疑いを持っている場合は、その点について患者から話を聞き、看護師自身が知覚したことをフイードバックする
    ・患者が幻覚妄想の存在を認めている場合、それらにどのように対処しながら生活していくかを患者と話し合う
    ・患者が幻覚妄想にうまく対処できている点は肯定的なフイードバッグを行い、うまく対処できていない点は患者と話し合い試行錯誤しながら対処法を見つける
    ・幻覚妄想状態を把握すると同時に、薬物の調整について主治医と相談する
    EP
    ・知覚障害、思考障害、特に幻覚・妄想について正しく知識、対処の仕方などに関する教育を行う



    #6自我機能の障害により自己同一感の獲得が困難である
    看護診断 自己同一性混乱
    関連因子:精神科疾患
    診断指標:内発的刺激と外部からの刺激を区別できない
    看護目標
    長期:自己と外界が区別できる
    短期:看護師の援助により自我境界を意識できる
    OP
    ・自己と外界の区別、させられ体験、攻撃的あるいは退行的な行動、不適切な感情表現、失見当識の有無と程度
    TP
    ・自己あるいは他者への暴力のリスクが高い場合「看護問題#1」を参照
    ・逸脱行動が見られるときは、周囲の状況を見ながら必要であれば、患者を別の場所に移したり、周囲の患者に対しても適宜介入する
    ・必要に応じて、人物、場所、時間、外界の状況などの見当付けを行う
    ・患者が不安や恐怖を感じているときは、自我を脅かされると感じない程度に、一緒にいる時間を作り、安心感を得られるようにする
    ・攻撃的、衝動的な行動に対しては最小限の範囲で隔離拘束を行う
    ・その他「看護問題#5」を参照
    EP
    ・知覚障害、思考障害、特に幻覚・妄想について正しく知識、対処の仕方などに関する教育を行う
    ・あらかじめ患者に、患者の行動の許容範囲とそれを超えた場合の対処方法について説明しておく


    参考資料:疾患別看護過程
    病期・病態・重症度からみた 疾患別看護過程 +病態関連図 第3版

    #7知覚、思考、行動、自我機能などの障害によりコミュニケーションが困難である
    看護診断 言語的コミュニケーション混乱
    関連因子:心理的障壁、知覚の変調、自己概念の変調、情動の状態
    診断指標:通常のコミュニケーションのパターンを理解維持するのが困難、思考途絶、反響言語、不適切な返答
    看護目標
    長期:円滑な対人関係を形成、維持するコミュニケーション能力を持つことができる
    短期:看護師の援助により伝えたい内容が伝えられる
    OP
    ・コミュニケーションの状態
    TP
    ・患者の話が理解できなかったり、一貫性がなくてもその背後にある不安や恐怖などの感情に焦点を当ててかかわるようにする
    ・言い換え、明確化などのコミュニケーション技法を用いて患者の話を整理する
    ・会話以外のコミュニケーション方法もとってみる
    ・患者の話がよく理解できるときは、肯定的なフイードバックを行う
    ・他患者との間で、患者の伝えたいことがうまく伝わらないときは橋渡しをする
    ・SST(社会生活技能訓練)への参加を促す
    ・その他「看護問題#5」を参照
    EP
    ・適切なコミュニケーション方法について患者に教える



    #8症状による影響または地域のサポート体制が充実していないことなどから、社会的に孤立しがちである
    看護診断 社会的孤立
    関連因子:精神状態の変調、不十分な地域のサポート体制
    診断指標:ハンデイキャップの徴候、疾患、他者との交流がほとんどない、引きこもり、拒絶されているという感情を表出する
    看護目標
    長期:地域のサポートを得ながら、社会生活を維持することができる
    短期:病院内などの限定された人々との間で相互交流が持てる
    OP
    ・症状の程度
    ・対人関係の状態
    ・職場、学校など患者の社会生活上での活動状況
    ・患者を取り巻く地域サポート体制の状態
    TP
    ・患者がひきこもる理由について尋ね理解を示す
    ・幻覚妄想に関係している場合には「看護問題#5」を参照
    ・症状の程度に応じて、他患者との交流場面、活動場面に患者が入れるように働きかける
    ・患者の興味のありそうな活動について患者と話し合い、それを日々の活動として取り入れるように提案する
    ・患者が関心を示す事柄を話題に取り上げ、そこから始められそうな活動を患者と探求する
    ・患者と共通する事柄に興味・関心を持つ他患者がいれば一緒に活動できるように働きかける
    ・他患者あるいは他者との交流を通して体験する感情や思いに焦点を当てて話を聞く
    ・活動範囲を広げるために患者と週単位での活動記録表などを作成する
    ・活動範囲を広げる場合は、小さなこと、簡単なことから始め、徐々に難しいことに挑戦するように勧める
    ・患者が活動できたことについては肯定的にフイードバッグする
    ・うまく行動できなかったことについては、患者とできなかった要因を調べ今後どうしたらできるかなどを話し合う
    ・行動するかどうか迷っている患者には思い切って行動してうまくいくこともあると伝え、一歩を踏み出すように後押しする
    ・新たな活動に対して患者が不安や心配を持っている場合、事前に不安や心配への対処法を患者と一緒に考え実行に移す
    ・患者と取り巻くサポート体制について、どんなサポートがあるか、今後どんなサポートが必要で、どう作っていくかなどを患者と話し合う
    EP
    ・地域で安定した生活を送るには、社会で孤立せず他者との適切な関係を維持することが大切であることを伝える
    ・地域のサポート体制の実際、その役割についての知識を提供する


    #9ストレスに適切に対処できない
    看護診断 非効果的コーピング
    関連因子:脅威を評価するパターン、緊張を和らげるパターンの混乱、コーピング能力に対する自信のレベルが不適切
    診断指標:自己のストレス対処の仕方について振り返りができる
    看護目標
    長期:ストレスに対して効果的に対処できる
    短期:自己のストレス対処の仕方について振り返りができる
    OP
    ・ストレスとその対処法について把握する
    TP
    ・どんなストレスを抱えているか、それに対してどう対処しているか、患者から話を聞きうまく対処できていない場合は、その要因について患者とともに探り、効果的な方法を考える
    ・患者が実行できた効果的な対処法について、肯定的なフイードバックをする
    ・患者の取る対処法のうち、看護師から見て非効果的と考えられる対処法を患者に示し、患者と一緒に検討してみる
    ・非効果的な対処法に代わる別の対処法について多様な角度から患者と探ってみる
    ・ストレスにうまく対処できない場合、感情や思いを表出するように促す
    EP
    ・リラクゼーション、ヨガなどの効果的とされるストレス対処法について患者に教える


    参考資料の疾患別看護過程は楽天から購入できます→ 病期・病態・重症度からみた 疾患別看護過程 +病態関連図 第3版

    #10高感情表出家族である
    看護診断 家族コーピング無力化
    関連因子:非常に不安定な家族関係、疾患に対する知識不足、理解不足
    診断指標:攻撃、興奮、敵意、患者の疾患徴候に取り乱す、他の家族構成員との投げやりな関係
    看護目標
    長期:家族が低い感情表出レベルで患者に接することができる
    短期:家族が適切な患者への対応方法、技術を理解することができる
    OP
    ・患者と家族との関係性、家族の患者への接し方と患者の反応の観察
    TP
    ・家族の感情、思いの表出を促し理解を示す
    ・患者とどのように接しているか、接し方について困っていることがないかを尋ね相談に乗る
    ・患者の入院時、外泊時、退院時、外来受診時など、家族との接点を見つけ生活状況や困りごとなどを聞いていく
    ・家族が患者に対応できていることに対して肯定的にフイードバックする
    ・家族がうまく対応できない点については、家族と一緒にその要因を探り別の方法を見つける
    ・家族の相談内容によっては精神保健福祉士などの他職種につなぐ
    EP
    ・家族の接し方により患者の再発率が低下すること、また患者への適切な対応方法、技術、地域のサポート体制について考える
    ・総合失調症に関する知識を提供する
    ・家族を対象とする心理教育、家族会などを紹介する
    統合失調症に関連する【睡眠パターン混乱の要因】【非効果的コーピング】の看護計画、【統合失調症の関連図】についてもこちらのサイトで記載予定です! ご期待ください!
    関連記事
    Share

    Comments 0

    Leave a reply