脊柱管狭窄症 看護 

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    By看護研究科 小日向 さくら

    脊柱管狭窄症 看護 


    ●入院~手術前日まで

    (1)術前状態の把握

    入院時の神経症状、疼痛部位、ADLの状態を把握する。とくに手術前の神経症状を把握しておくことは、経過を観察するうえで重要である。入院時の歩行状態が不安定なときは、必要に応じて歩行器や車椅子を利用しての移動をすすめる。

    (2)既往歴の確認

    心疾患、高血圧、糖尿病などは必ず既往を確認し、異常があれば手術前にコントロールすることも必要となる。内服薬ではとくに抗凝固薬、抗血小板薬は医師に報告する。手術中の出血量増大のおそれがあるため、手術前に服薬を中止する必要があるからである。手術後は排液ドレーンからの出血が落ち着くのをめどに、医師に確認のうえ再開する。



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    (3)疼痛の緩和

    術前から痛みが強い例では、痛みを我慢させず鎮痛薬の投与を行い、その効果を確認する。効果がない場合は、ほかの薬剤や神経ブロックも検討する。

    (4)検査・手術の説明

    入院後は多くの説明が行われるため、患者は混乱することがある。「説明したこと=患者が理解したこと」とは限らないので繰り返し説明し、かつ最終的な理解度を確認する。

    (5)手術前の訓練

    予定手術内容に応じた体位変換、寝起きの方法、端座位から立位への練習をしておく。とくに固定術は、繰り返しの回旋や捻転によって内固定金属の緩みや移植骨脱転のおそれもあるので、十分に注意する。

    (6)コルセットの準備

    手術後に使用するコルセットの準備をしておく。施設あるいは手術内容によって異なるが、軟性コルセットまたは硬性コルセットを作成する。極力、手術前に着脱の練習を完了しておく。





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    ●手術日

    (1)手術前の観察

    バイタルサインを中心に手術前の状態を確実にチェックする。発熱や血圧の上昇などの異常時は、医師に報告し対処する。

    (2)手術後の観察

    ①麻酔覚醒状態とバイタルサインを経時的に観察する。手術・麻酔記録から手術中の血圧、出血量を把握しておく。麻酔の方法や麻酔薬の種類によっては呼吸抑制、悪心、腸蠕動運動の異常もありうるので、使用薬剤や麻酔内容も把握しておく。

    ②神経症状の観察:足趾や足関節の背屈、底屈、膝伸展など下肢運動機能を観察する。知覚は両下肢全体のほか、会陰部や肛門周囲も観察する。これらを、手術前の神経症状と比較することが大切である。術後に神経症状の悪化がみられる場合は、すみやかに医師に報告する。

    まれに、血腫による疼痛、神経麻痺を起こすことがあるので、注意深く観察しなければならない。

    (3)疼痛の緩和

    ①疼痛の有無、部位:創部中心の痛みは指示に従い、座薬や注射によって緩和を図る。仰臥位でいる場合は膝下に枕を入れ、膝、股関節軽度屈曲位をとると腰椎の負担が軽くなり、疼痛が軽減することが多い。また、積極的な体位変換も有効な場合がある。

    ②体位変換:体位変換を行い、同一体位による苦痛を取り除く。このとき、手術部位への負担となる回旋、捻転は極力避け、棒状体位変換を心がける。その際、点滴チューブ、尿道留置カテーテル、排液ドレーンなどに牽引や圧迫がかからないように注意する。麻酔覚醒が不十分なときは腓骨神経麻痺や橈骨神経麻痺を起こしやすいので、四肢の姿勢の観察も怠ってはならない。

    (4)全身合併症の予防

    体液バランスに注意する。特に高齢者では過剰な輸液で容易に循環器、呼吸器合併症を引き起こすので、手術中の体液のバランスも考慮した上で輸液管理を行う。また、手術後は低酸素血しょうを起こしやすいので、酸素投与を行う。麻酔覚醒前の不穏時などは酸素マスクや経鼻カニューレの固定に注意し、酸素吸入が確実に行われるようにする。

    (5)深部静脈血栓症の予防

    手術室入室から弾性ストッキングを着用する。手術終了後は足関節の自動運動を行う。自動運動が行えないときは他動的に行い、下肢静脈の還流を促し、静脈血のうっ滞を防止する。弾性ストッキングは歩行が確立するまで装着する。

    飲水・補液を行い、脱水にならないように留意する必要がある。



    ●手術翌日~術後1週間目まで

    (1)ADLの拡大

    麻酔薬の影響や手術の侵襲を考慮し、患者の状態にあわせて拡大していく。患者の状態にもよるが、当院では手術の内容に関わらず、原則的に手術翌日からコルセットを装着して離床を開始している。車椅子では腰椎への負担が増すため、歩行器で歩行するほうが苦痛が少ない場合が多い。最初は看護師が付き添い、トイレに行くことから始める。

    排液ドレーンの固定状態に注意を払う。ドレーン用の袋に入れて、肩から下げると動きやすい。行動が拡大してきた後の神経症状に変化がないかを観察する。また、周術期のストレスや薬剤の影響で胃・十二指腸潰瘍を併発することがあるので、食事の摂取状態や消化器症状についても注意が必要である。とくに、腹痛、便の性状に注目する。

    (2)創感染への注意

    排液ドレーンは抜去までの期間、量、性状を観察する。普通、除圧術のみが行われた場合は24時間、固定術併用では2~3日間留置している。抜去の目安として、性状は濃赤色の血性が、淡黄色の漿液性になってくるのを確認している。まれに、漿液性が100mlを超えて続くことがあり、その場合は硬膜・くも膜損傷による髄液漏出の可能性がある。その状態でドレーンを抜去すると筋層下に髄液が貯留し、さらに創が哆開するなど感染の要因となりうるので、十分に注意を払う。髄液漏出の副作用予防のため、飲水の励行や補液で対処する。創部に発赤や熱感がないかどうか観察する。発熱、血沈、CRPの推移などから感染徴候に注意する。

    (3)コルセットの自己着脱

    創痛が緩和してきたら、コルセットの自己着脱や自力体位変換も可能となる。術前訓練をもとに再指導する。



    ●術後1週目以降

    (1)術後1週目以降

    ①リハビリが開始となる。体幹筋力が脊柱の支持性に重要であることを説明し、腹筋、背筋、下肢筋力訓練をコルセット装着下で行う。リハビリ開始後、神経症状に変化があったときは医師に報告し、リハビリを継続するか否か検討する。リハビリ開始時期と内容は、年齢や手術方法を考慮して行う。

    ②コルセットのサイズが身体にあっているか、装着部位は正しいかどうかを確認する。上前腸骨棘部には大腿外側皮神経が通過しているため、不適切なコルセット装着では大腿外側皮神経障害をおこすことがある。コルセットの前下縁は、上前腸骨棘のやや頭側までの位置で装着されるべきである。

    ③術後7~10日目に行われる抜糸後には、シャワー浴が開始となる。固定術の場合、コルセットを除去し立位で行う。体幹の過度な前後屈や回旋をしないようにし、自分で洗うことができない部分は介助する。ある程度自由な運動が許容される除圧術の場合は、いすに座ったままで行える。異常が無ければ2回目以降、浴槽内入浴も可能である。
    (2)術後2週目以降

    ①除圧術の場合は術後10日~2週で退院としている。退院前には創部、コルセットをチェックする。退院指導を行い、職場復帰の時期、コルセットの装着期間について説明する。

    ②固定術の場合は術後2~3週で退院可能となる患者が多い。退院に向けて入浴の練習を行う。コルセットを除去し、いすに座り身体を洗うことができ、浴槽に入ることも可能である。体幹の過度な動きを避けて行う。創部、コルセットのチェックを行う。コルセットのサイズが合わなければ、退院前に修正する。
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