腰部脊柱管狭窄症 〜基本的な看護と関連図について〜

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    By看護研究科 小日向 さくら

    みなさん、こんにちわ。 看護研究科の大日方さくらです(@lemonkango)です。

    整形外科や急性期の実習に入る学生さんにとって一番遭遇しやすい疾患のナンバー10にランクインしている代表疾患ですね。

    意外と参考文献や病態関連図がないことでも学生さんが苦戦する疾患となります。 

    この疾患を理解していると腰椎椎間板ヘルニアにも理解や看護の応用もできるようなります! しっかりと理解を深めたいですね!
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    腰部脊柱管狭窄症 〜基本的な看護と関連図について解説しますね!



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    成人看護1 急性期・周手術期








    周手術期の患者さんを受け持つ場合、展開が早く、術前、術中、術後の看護のアセスメントを素早く行う事が必要になります。

    しかし、学生さんは事細かく一つ一つアセスメントした内容を記録していかなければなりません。

    この参考書は一つ一つの観察項目や根拠、アセスメントの内容について記載されているので、そのままアセスメントや記録に内容を変更せず添付することができます。

    周手術はとにかく展開が早く記録が間に合いません。 教員や指導者さんに指摘される前に記録を仕上げていくためにもこの一冊を購入して準備しましょう。




    脊椎の疾患だと神経系の事も頭に入れて看護を行わなければいけません。

    しかし、神経は「とにかく複雑」ということです。

    こちらの本は学生さんでも理解しやすいように実際の画像などが載っていて非常に見やすい一冊になります。

    ぜひ、一読しておく事をおすすめします。



    脊柱管狭窄症

    1.腰部脊柱管狭窄症の病態生理ってなに?

    腰椎脊柱管狭窄症では腰痛、下肢痛を主訴として外来を受診する患者さんが多いです。

    保存的治療が無効であったり、神経障害やADL制限が高度であったりする場合、手術適応になります

    ①概念
    腰部脊柱管狭窄症とは、脊柱管、神経根管、椎間孔が狭小化し、馬尾や神経根の障害が出現しているもので、腰痛、下肢痛、間欠跛行などの症状を呈する。脊柱管要素(椎間関節、椎間板、靭帯)は、加齢変性により肥大や膨隆が起こることから、多くは中年期以降(一般には中年期(45歳)移行に多いです。


    ②分類
      腰部脊柱管狭窄症を原因別に分類した国際分類があります(看護にとって意味がないので載せません) 臨床で遭遇することが多い脊柱管狭窄症は、加齢現象から生じる変性性のものになります。

    つまり、椎間板の変性から椎間板腔の狭小化、脊柱管側への膨隆、椎間関節の退行変性による肥厚、後方の黄色靭帯のたるみ、肥厚などによって、中心性狭窄または外側部狭窄を生じて発症します。

    症候別分類として馬尾形・神経根型・混合型があります。

    2.腰椎脊柱管狭窄症の症状ってなに?

    ◯腰痛 ふつう激しい腰痛はなく運動時の腰部の鈍痛体幹後屈時の疼痛がみられることが多いです。 ◯下肢症状神経根性疼痛 下肢に放散する痛みが生じます。馬尾傷害に伴い、立位・歩行時に両下肢から会陰部にかけての痺れや冷感、灼熱感、ひきつれ(つっぱり感)、締め付けなどがあります。 ◯間欠跛行 腰部脊柱管狭窄症による間欠跛行は腰椎の伸展、立位や歩行負荷によって症状が出現し、腰椎の前屈や屈み込み、座位で症状が軽減・消失します。 難しいように書いてありますが、簡単にいうと普通に歩いている段階で痛みが増強して座り込んでしまうってことです。入院前にこの症状が現れている事がほとんどなので実習で受け持ちになったときは、手術前と後で症状の度合いの観察のため、何メートル程度で症状が現れるのかしっかりと情報収集していく事が大事です。  

    3.腰部脊柱管狭窄症の検査って何やるの?

    ①単純X線検査

    ②MRI検査

    ③脊髄腔造影(ミエログラフィー) 神経根造影:下肢痛があり、責任病巣が不明の場合、神経根を造影し痛みの原因となっている神経根を診断する場合に行う。 ④神経電気機能診断 などがあります。 ここで重要な検査はミエログラフィーになります。


    ミエログラフィーについてはこちらをご参照ください

    4.いよいよ手術だぞ! 準備は良いかな?

    手術適応となる基準は大まかに 高度な麻痺がある 保存療法の効果がなく症状が持続したり悪化している 日常生活に著しい不便を感じる 膀胱直腸障害が生じている 社会生活やスポーツ活動の制限を解消したい場合があげられます。

    ◯手術の種類について  
      ここから重要です 

    術前・術後の患者さんを受け持つ場合、術式については理解し、どのような侵襲があり、予後について、観察など影響がどのように生じるのか理解しておく必要があります。

    腰椎後方除圧術  

    不安定性のない腰部脊柱管狭窄症に対して、障害レベルの後方要素を部分切除する。

    拡大開窓術(両側、片側進入両側除圧、棘突起縦割式など)

    広範囲椎弓切除術

    腰椎後方除圧固定術 術前の椎間板不安定性がある病態や除圧操作による椎間不安定性が出現する可能性がある場合、除圧操作に加えて固定術を行う。

    ⇒すべりや腰椎不安定性を有している場合に、除圧術と併用して行う。椎間の上の椎体と下の椎体を癒合させることを目的としている。

    後側方腰椎固定術(PLF) 後方から椎間関節、横突起を展開して骨移植をする。
    最も一般的な方法である

    腰椎前方親友椎体間固定術(ALIF) 前方から椎体間を掻爬して骨移植する方法である。

    ⑥後方経路腰椎椎体間固定術(PLIF) 椎弓根スクリューを併用して、後方から脊柱管除圧と除圧部からの椎体間固定術を行う方法である。

    経椎間孔的腰椎椎体間固定術(TLIF) 椎間関節を切除して椎間孔部から後方椎体間固定術を行う方法である。

    神経除圧術

    術前評価で腰痛があまり強くなく、画像で脊椎間の大きな動きや側弯変形、すべり(不安定性)などがない場合は、神経除圧術が単独で行われる。神経圧迫の原因となっている椎間関節内側部や黄色靭帯、椎弓の一部分を切除する。椎弓切除術、内側椎間関節切除術、拡大開窓(かいそう)術などと呼ばれ、基本的に侵襲は少ない。


    脊椎固定術
    術前から不安定性がある場合や、神経除圧操作で脊椎を安定させている支持組織(とくに椎間関節)の大部分を切除する必要があった場合は、除圧と一緒に行われる。最も一般的なのは、椎弓外縁から横突起間に骨移植(普通自家腸骨を利用)する後側方固定術であるが、後方から椎体間に骨などを移植する後方進入椎体間固定術も最近は行われている。固定術の際、脊椎のすべりや側弯など異常姿勢の矯正、術後の装具の簡略化、早期離床開始やリハビリ、また確実に骨癒合を得ることなどを目的として内固定金属(インストゥルメンテーション)が同時に使用されることが多い。

    予後
    間欠性跛行は手術でよく改善し、多くの患者は歩行困難が解消される。一方、安静時のしびれは神経組織自体の死滅に起因することが多く、術後も残ることが多い症状の一つである。したがって、全体としては手術による改善率は60〜70%前後である。手術を行っても時間が経てば次第に症状が悪化したり、手術を行った椎間以外で脊柱管狭窄症が発生することもある。

    看護 入院〜退院までの看護ポイント
     


    入院〜手術前日まで 1.術前状態の把握

    入院時の神経症状、疼痛部位、ADLの状態を把握する。特に手術前の神経症状を把握しておく事は経過を観察する上で重要である。入院時の歩行状態が不安定な時は、必要に応じて歩行器や車椅子を利用しての移動を勧める。

    既往歴の確認

    心疾患、高血圧、糖尿病などは必ず既往を確認し、異常があれば手術前にコントロールすることも必要となる。内服薬では特に抗凝固薬、抗血小板薬は医師に報告する。手術中の出血量増大の恐れがあるため、手術前に服薬を中止する必要があるからである。手術後は排液ドレーンからの出血が落ち着くのをめどに医師に確認のうえ再開する。

    周手術期管理
    腰椎手術術後は通常のバイタルサインの確認も大切であるが、術後ドレーン廃液量、下肢神経症状の確認も大切となる。


    ドレーンの管理
    経時的な廃液量の推移とともに廃液の性状も記録する。廃液量も減少し、廃液の性状が血性から淡血性になることがドレーン抜去の目安になる。また、髄液が濾出していないかどうかも確認する。髄液は、最初は血液に混じって淡血性のようにみえるが徐々に透明になる。

    神経症状の管理
    術後に麻痺が出現する可能性があり、その対応は急を要する。術後に麻痺が出現する可能性が高いものは硬膜外血腫である。手術創内の出血がドレーンから吸引されずに貯留し、神経を圧迫して麻痺が出現するためである。激しい疼痛のみのこともあるが、麻痺を呈する場合もある。

    緊急で血腫除去手術を行わないと麻痺が残ることがあるため、定期的に患者の足が動くか確認する必要がある。血腫を疑った際は医師に報告する。 ※ 看護ケアの注意点:髄液が濾出すると、低髄液圧症に陥り患者は頭痛や嘔気を訴え始める。髄液漏を疑った際は、必ず医師に報告する。

    ※ 看護ケアの注意点:術後の麻痺の有無を知るためには、術前にどの程度の麻痺があったかのかを把握しておく必要がある。

    患者指導

    除圧術のみの場合は、腰椎椎間板ヘルニアと同じである。少なくともコルセット装着を医師に指示されている気管は、腰椎にかかる負担を減らすよう説明する。固定術を受けた場合は1〜2ヶ月はコルセットを装着してもらう。

    疼痛の緩和
    術前から痛みが強い例では、痛みを我慢せずに鎮痛薬の投与を行い、その効果を確認する。効果がない場合は、他の薬剤や神経ブロックも検討する。

    検査・手術の説明
    入院後は多くの説明が行われるため、患者は混乱することがある。「説明したこと=患者が理解したこと」とは限らないので繰り返し説明し、かつ最終的な理解度を確認する。

    手術前の訓練
    予定手術内容に応じた体位変換、寝起きの方法、端座位から立位への練習をしておく。  とくに固定術は繰り返しの回旋や捻転によって内固定金属の緩みや移植骨脱転の恐れもあるので十分に注意する。

    コルセットの準備
    手術後に使用するコルセットの準備をしておく。施設あるいは手術内容によって異なるが、軟性コルセットまたは硬性コルセットを作製する。極力、手術前に着脱の練習を完了させておく。

    手術日 │手術前の観察
    バイタルサインを中心に手術前の状態を確実にチェックする。熱発や血圧上昇などの異常時は医師に報告し対処する。

    手術後の観察
    ①麻酔覚醒状態とバイタルサインを経時的に観察する。手術・麻酔記録から手術中の血圧、出血量を把握しておく。
    麻酔の方法や麻酔薬の種類によっては呼吸抑制、悪心、腸蠕動運動の異常もありうるので、使用薬剤や麻酔内容も確認しておく。

    ②神経症状の観察  足趾や足関節の背屈、底屈、膝伸展など下肢運動機能を観察する。知覚は両下肢全体のほか、会陰部や肛門周囲も観察する。

    これらを、手術前の神経症状と比較することが大事である。術後に神経症状の悪化がみられる場合はすみやかに医師に報告する。  まれに血腫による疼痛、神経麻痺を起こすことがあるので、注意深く観察しなければならない。

    疼痛の緩和
    A〉疼痛の有無、部位  創部中心の痛みは指示に従い、座薬や注射によって緩和を図る。仰臥位でいる場合は膝下に枕を入れ、膝、股関節軽度屈曲位を取ると腰椎の負担が軽くなり、疼痛が軽減することが多い。

    また、積極的な体位変換も有効な場合がある。 B)体位変換  体位変換を行い、同一体位による苦痛を取り除く。このとき手術部位への負担となる回旋、捻転は極力避け、棒状体位変換を心がける。

    その際、点滴チューブ、Baカテーテル、排液ドレーンなどに牽引や圧迫がかからないように注意する。

    麻酔覚醒が不十分なときは腓骨神経麻痺や橈骨神経麻痺を起こしやすいので四肢の姿位の観察も怠ってはならない。

    全身合併症の予防
    体液バランスに注意する。特に高齢者では過剰な輸液で容易に循環器、呼吸器合併症を起こすので、手術中の体液バランスも考慮した上で絵、輸液管理を行う。また、手術後は低酸素血症を起こしやすいので、酸素投与を行う。麻酔覚醒前の不穏時などは酸素マスクや経鼻カヌラの固定に注意し、酸素吸入が確実に行われるようにする。

    深部静脈血栓症の予防
    手術室入室から弾性ストッキングを着用する。手術終了後は足関節の自動運動を行う。自動運動が行えない時は他動的に行い、下肢静脈の還流を促し、静脈血のうっ滞を予防する。弾性ストッキングは歩行が確立するまで装着する。  飲水・補液を行い、脱水にならないように留意する必要がある。

    手術翌日〜術後1週間目まで


     ADLの拡大
    麻酔薬の影響や手術の侵襲を考慮し、患者の状態にあわせて拡大していく。患者の状態にもよるが、手術の内容に関わらず、原則的に手術翌日からコルセットを装着して離床を開始する。

    車椅子では腰椎への負担が増すため、歩行器で歩行する方が苦痛が少ない場合が多い。

    最初は看護師が付き添い、トイレに行くことから始める。  排液ドレーンの固定状態に注意を払う。ドレーン用の袋に入れて方から下げると動きやすい。

    行動が拡大してきた後の神経症状に変化がないかを観察する。また、周術期のストレスや薬剤の影響で胃・十二指腸潰瘍を併発することがあるので、食事の摂取状態や消化器症状についても注意が必要である。特に腰痛、便の性状に注目する。

    創感染への注意
    排液ドレーンは抜去までの期間、量、性状を観察する。

    普通、除圧術のみが行われた場合は24時間、固定術併用では2〜3日間留置している。

    抜去の目安として、性状は濃赤色の血性が、薄黄色の漿液性になってくるのを観察している。

    まれに漿液性が100mlを超えて続くことが有り、その場合は硬膜・クモ膜損傷による髄液濾出の可能性がある。その状態でドレーンを抜去すると筋創下に髄液が駐留し、さらに層が哆開するなど感染の要因となりうるので、十分に注意を払う。髄液濾出の副作用予防のため、飲水の励行や補液で対処する。

    創部の発赤や熱感がないかどうか観察する。発熱、血沈、CRPの推移などから感染徴候に注意する。

    コルセットの自己着脱
    創痛が緩和してきたら、コルセットの事故着脱や自力体位変換も可能となる。術前訓練をもとに再始動する。


    術後1週間以降




    術後1週間以降
    ①リハビリが開始となる。体幹筋力が脊柱の支持性に重要であることを説明し、腹筋、背筋、下肢筋力訓練をコルセット装着下で行う。
    リハビリ開始後、神経症状に変化があったときは医師に報告し、リハビリを継続するか否かを検討する。
    リハビリ開始時期と内容は、年齢や手術方法を考慮して行う。

    ②コルセットのサイズが身体に合っているか、装着部位は正しいかどうかを確認する。上前腸骨蕀部にはだいたい外側皮神経が通過しているため、不適切なコルセット装着ではだいたい外側皮神経障害を起こすことがある。
    コルセットの前下縁は、上前腸骨蕀のやや頭側までの位置で装着されるべきである。

    ③術後7〜10日目に行われる抜糸後には、シャワー浴が開始となる。固定術の場合、コルセットを抜去し立位で行う。
    体幹の過度な前後屈や回旋をしないようにし、自分で洗うことが出来ない部分は介助をする。
    ある程度自由な運動が許容される除圧術の場合は、椅子に座ったままで行える。異常がなければ2回目以降、浴槽内入浴も可能である。

    術後2週目以降
    ①除圧術の場合は術後10日〜2週で退院としている。
    退院前には創部、コルセットをチェックする。退院指導を行い、職場復帰の時期、コルセットの装着期間について説明する。

    固定術の場合は術後2〜3週で退院可能となる患者が多い。
    退院に向けて入浴の練習を行う。コルセットを除去し、椅子に座り身体を洗うことが出来、浴槽に入ることも可能である。
    体幹の過度な動きを避けて行う。 
    創部、コルセットのチェックを行う。コルセットのサイズが合わなければ退院前に修正する。


    退院指導
    除圧術  

    コルセットは術後1ヶ月間、就寝時以外装着する。以後は腰に負担がかかるときのみの装着で良い。
    術後1ヶ月でスポーツ、重労働も可能、病院で行なっていたリハビリを継続して行う。

    固定術  

    内固定金属の使用の有無や固定制によるが、基本的に骨癒合が得られるまでコルセットを装着する。
    骨癒合には個人差があるが、3〜6ヶ月かかる。手術後3週をめどに、就寝時は身体を拗じらなければ外して良い。
    手術後4週以降、家事や軽作業は可能、骨癒合が得られたら重労働、スポーツが可能、病院で行なっていたリハビリを継続して行う。
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