術前オリエンテーションの目的

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    By看護研究科 小日向 さくら

    みなさん、こんにちわ。 看護研究科の大日方さくらです(@lemonkango)です。

    周手術期看護では術前オリエンテーションを行い、患者さんへの不安の除去や術後リハビリの良好な遂行を促すため行われます。



    今回は、学生さんが術前オリエンテーションを見学・実施する過程において、どのような術前オリエンテーションがあるのか、内容について紹介したいと思います。
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    術前オリエンテーションの目的についてご紹介したいと思います!

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    成人看護1 急性期・周手術期 








    周手術期の患者さんを受け持つ場合、展開が早く、術前、術中、術後の看護のアセスメントを素早く行う事が必要になります。

    しかし、学生さんは事細かく一つ一つアセスメントした内容を記録していかなければなりません。

    この参考書は一つ一つの観察項目や根拠、アセスメントの内容について記載されているので、そのままアセスメントや記録に内容を変更せず添付することができます。 周手術はとにかく展開が早く記録が間に合いません。 教員や指導者さんに指摘される前に記録を仕上げていくためにもこの一冊を購入して準備しましょう。看護師

    1.術前オリエンテーションの概要

    患者・家族が術前から術後にわたる一連の経過を理解し、手術に向けて身体的・心理的・社会的な準備状態を整えるための支持的・教育的ケアである。

    患者が手術を受ける意思を表明すると、外来看護師、病棟看護師、手術室看護師、ICU看護師、手術医、麻酔医などが協働して手術オリエンテーションを行う。看護師にとって手術オリエンテーションは患者・家族への情報提供のみならず、情報収集や信頼関係構築のための重要な機会でもある。

    学生さんが術前オリエンテーションの見学する際は、患者さんの表情や言動(非言語的・言語的な客観的・主観的情報を収集し術前と術後の看護に結びつけアセスメントすることが求められます。 しっかりと「術前オリエンテーションを見学させてください」と指導者さんや受け持ち看護師に相談するようにしましょう。

    術前オリエンテーション見学の際、学生の行動目標の一例
    📌ポイント

    術前オリエンテーションは手術を受ける患者・家族に対して必要な正しい情報・手術の経過・予定を伝えることにより、手術に対する心構えや準備・術後回復のための事前の準備、不安の軽減のために行われる。

    2.術前オリエンテーションの目的

    全身麻酔での手術を予定している患者さんを対象に、主に療養経過や手術に関する情報を提供するオリエンテーションであるが、その目的の一つとして術後の合併症予防にある。

    術後は疼痛によって腹式呼吸が抑制されるため、深呼吸が困難になり、末梢気道が閉塞、肺胞が虚脱して無気肺や肺炎を引き起こす可能性がある。

    その予防のために術前に呼吸訓練や痰の出し方などを説明し、理解してもらうようにする。特に肺などの呼吸器の手術、食道手術の場合はそのリスクが高くなるため、入院する前から予防的リハビリを行う事は重要となる。 また、情報提供を行う事で不安を軽減することもオリエンテーションの大きな目的となる。

    3.ニーズに即したタイミング、方法、内容の吟味

    患者・家族は、手術を受ける意思を表明したとはいえ、迷いや気持ちの揺れを体験していることが少なくない。手術に対する不安や恐怖感に加えて、症状に伴う苦痛を抱えている場合もある。

    患者・家族の関心や心理状態、病態、また術前検査や処置のスケジュールを考慮しながら、手術オリエンテーションのタイミングや方法、内容の詳細を吟味する。手術オリエンテーションは、個別ケアと集合教育とを併用して行うことも可能である。






    4.手術に臨む心構えの獲得の促進

    患者は、術前から術後にわたる周手術期の経過をイメージすることによって、先の見通しをもって、手術を乗り切るための自分なりの心構えを獲得することができる。

    パンフレットやクリティカル・パス、ビデオなどの視聴覚教材を患者に手渡し、説明に先立って目を通して疑問や知りたいことを考えておくよう依頼する。それらの教材に基いて、さらに医療器具の現物などを活用しながら、可能であれば患者と家族が同席する場で、手術に関する情報を提供する。

    リラックスできる雰囲気をつくるように努めながら、対話を通して、患者・家族の不安や心配事を引き出し、それらへの患者・家族なりの対処法を理解し、対処法の有効性を高める。

    特に、術後疼痛に関しては、痛みは我慢する必要はないこと、痛みを医療者に伝えることの重要性、痛みの伝え方(ペインスケールの活用)、また、痛みが生じた場合の対処法について情報を提供し、術後の協力を依頼しておく。周手術期のイメージが豊かになるにつれて気持ちの揺れを体験したりている患者・家族には、気持ちの揺れを認め、ねぎらいつつ、手術を乗り切るための気持ちのよりどころや自信を持てるように支える。

    手術に伴う機能的・形態的変化への予期悲観、また手術に臨む心構えを獲得することは、術後の適応の助けとなり得る。

    5.実施に際しての2つのポイント

    (1)理解度を確認しながら、わかりやすく説明を
     

    患者が理解しやすいように、わかりやすい説明を心がけると同時に、理解度を確認しながら進める事が大切である。また、患者の中には、告知されて間もないことから精神状態が不安定になっている患者もいる。説明を理解できているのか、手術に臨める状態にあるのかを観察しながら説明を行う。

    患者が高齢の場合、理解度の確認は特に重要となるが、患者が家族と一緒であれば、患者とともに家族にも質問の有無を問い、理解状況を確認する。また、説明の途中でも「大丈夫ですか?」などと声をかけ、表情や動作から不安な様子が感じとれる場合には注意を払う。

    (2)患者の精神状態、生活環境などの情報はスタッフで共有する。
     

    妙に落ち着きが無かったり、他の患者への配慮を欠き、過剰に質問をしたりする場合、さらに呼吸筋器具に触ろうともしなかったりする場合、それは不安の徴候とも考えられる。こうした徴候がみられたら、疾患や手術を受け入れられないでいる可能性もあるため「眠れていますか?」「手術が決まってから不安を感じているのですか?」などと声をかけてみるのも良い。

    独居でサポートの得られない患者や不安をキャッチした患者についての情報は医師や病棟スタッフに共有していく。

    術後回復促進に向けた取組
    (1)禁煙、禁酒
      喫煙は、ニコチンによる交感神経機能亢進、また、一酸化炭素ヘモグロビン生成による赤血球の酸素運搬能力の低下を引き起こし、呼吸機能だけでなく、全身の悪影響を及ぼす。緊急手術において、喫煙者は術後の呼吸器合併症も創部感染症も非喫煙者に比べて高い。術後合併症予防のためには早い段階での禁煙が必要である。

    禁煙は、術後合併症予防のための優先課題であることを強調して、直ちに禁煙するよう忠告し、禁煙動機を高める。「できれば禁煙したほうが良いですね」「喫煙本数を減らしましょう」という曖昧なメッセージでは禁煙動機の低下につながり得る。禁煙を妨げる要因について聞き、タバコを吸いたくなった時の対処法、家族や友人からのサポートの活用、禁煙支援プログラムや補助教材、ニコチン代替療法の活用について助言し、禁煙を支援する。禁煙の継続に対しては肯定的フィードバックを行う。

    さらに術前の飲酒量調整、アルコール乱用者の術前の4週間から1ヶ月間程度の禁酒も推奨される。

    (2)口腔ケア
      口腔内には800種類以上、数千億個以上の常在菌が存在し、身体の中で最も常在菌が多い。口腔内常在菌が一定以上に増加すると、う歯や歯周病、呼吸器感染症、全身疾患の原因になる場合がある。特に、全身麻酔では気管創刊時に口腔内常在菌が気管や肺に押し込まれる可能性があり、また、口腔癌周術などでは術野が細菌に曝露されるという状況となる。従って、術後肺炎や術後感染症を予防するためには術前からの口腔ケアが重要である。

    術前に歯科に受診し、全身感染症や術後合併症の原因となり得る歯科疾患の検査・治療、歯科専門スタッフによる歯面清掃、ブラッシングに関するセルフケア教育を実施する必要性を検討する。

    (3)深呼吸法
      全身麻酔下での術後には、術前の最大換気量は40〜60%に減少し、酸素消費量は20%増加する。術後は創痛や臥床などにより肺の拡張が抑制され、換気量が低下し、呼吸器合併症が生じやすく、呼吸状態は循環にも影響を及ぼす。胸部、頸部、肩の筋肉を使用する胸式呼吸より、横隔膜を使用する腹式呼吸の方が効率が良い。  術前から腹式呼吸による深呼吸法を訓練し、麻酔覚醒直後から実施を促す。術後呼吸器合併症のリスクが高い場合には、インセンティブスパイロメトリー(最大吸気持続時間を改善するための呼吸練習機)の適応を検討し実施する。

    (4)痰喀出法
      術後は、気管挿管の刺激や麻酔薬による気道分泌物の増加、麻酔薬や痛み、臥床による呼吸筋機能と咳嗽反射の低下によって、気道分泌物の排出と気道浄化が効果的に行われなくなる。

    咳嗽(がいそう)(ハフィング)と含嗽(がんそう)による喀出排出法を訓練し麻酔覚醒直後からの実施を促す。術後呼吸器合併症のリスクが高い場合には、吸入療法による気道分泌物の排出と気道の拡張の適応を検討し実施する。

    (5)身体の動かし方
       ベッド上での下肢の運動や体位変換。早期離床は、術後合併症の予防に効果的である。  術前から疼痛が少ない身体の動かし方の工夫をしておくことで、術後の患者の苦痛を軽減でき、患者の協力を得やすい。
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