日常生活行動への援助【全身清拭】の援助計画について解説しますよ〜

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    By看護研究科 小日向 さくら

    みなさん、こんにちわ。 看護研究科の大日方さくら(@lemonkango)です。

    人間が日常生活を送る上で大切なことの一つに入浴やシャワー浴といった清潔保持があげられます。

    しかし、突発的な怪我や病気等により自分で清潔を保持することが難しくなることがあります。そのような時に入浴の代替えとして個人に合わせた方法で行えるのが清拭です。

    清拭には全身清拭・部分清拭の二つの選択肢があるので、その時々の状況に合わせてケアが行えます。また、足浴や手浴といった方法もありますのでしっかりアセスメントを行い、適切なケアを提供していきましょう。今回は「全身清拭」を解説したいと思います!
    吹き出し イラスト6

    日常生活行動への援助【全身清拭】の援助計画について特に実習で良く出会おうであろう、麻痺のある患者さんを想定した清拭の具体的な援助方法について解説しますよ〜





    清拭

    1.清拭とは



    清潔を保持することは人間の基本的生活の中でも大変重要な項目の一つです。清潔が維持できなければ感染の原因となるだけでなく、異常の発見の遅れにも繋がり、命にも関わるような事態を引き起こしかねません。

    特に麻痺や知覚鈍麻がある患者、高齢者においては羞恥心や基本的機能の衰えから異常の発見が遅れがちです。

    この為、日頃からのコミュニケーションも重要となってきます。ベッド上での生活を余儀なくされている患者さんが残存機能を維持しつつQOLの向上を目指した関わりができるよう個々に合わせたケアを心がけていきましょう。

    1-1.清拭の看護目的と目標



    清拭は何のために行うのでしょうか?

    清拭における上記に記述した効果以外には褥瘡の早期発見や他の皮膚トラブルにおける早期の対処が可能かつこれらの予防に繋がります。

    子供から高齢者まで、様々なADLの患者さんがいるため、それぞれの患者さんに合った対応をすることで清潔を保つことのほかに、リラックス効果や患者さんとの関係の構築、患者さんの思いや悩みを知る機会ともなり得るのです。

    しかしながら、全ての患者さんが清拭に対して前向きであるわけではありません。ケアに伴う疲労感、羞恥心、苦痛を最小限にできるような対応をしていかなくてはなりません。

    ケアをスムーズに進めていくためにも日頃から患者さんとの関わり方、それぞれに合ったアプローチの仕方を身につけておく必要があります。

    1-2.清拭の目的



    以下のようなことを心掛けて行いましょう。
    ・ケアに伴う苦痛や疲労感を最小限にする

    ・相手は心を持った人間であり、性別を問わず羞恥心があることを考慮し対応する(声がけ、要望を聞くなど)

    ・日々の清潔ケアにより患者さんのQOLが保てる

    ・皮膚トラブルの新たな発生・悪化を予防する

    ・異常の早期発見により適切な処置が行える

    ・一日をベッド上で過ごす患者さんの気分転換となり前向きな闘病生活への手助けとなる





    1-3.清拭の目標



    以下のようなことを心掛けて行いましょう。
    ・ケアに伴う苦痛や疲労感を最小限にする

    ・相手は心を持った人間であり、性別を問わず羞恥心があることを考慮し対応する(声がけ、要望を聞くなど)

    ・日々の清潔ケアにより患者さんのQOLが保てる

    ・皮膚トラブルの新たな発生・悪化を予防する

    ・異常の早期発見により適切な処置が行える

    ・一日をベッド上で過ごす患者さんの気分転換となり前向きな闘病生活への手助けとなる





    2.清拭の看護計画



    一人一人の患者さんに合った計画を立て、清拭を行う際の不安や精神的な苦痛を軽減しましょう。 観察項目(O-P)
    ・全身状態の観察

    ・皮膚の状態を知る

    ・発赤・発疹

    ・褥瘡の有無

    ・浮腫の有無

    ・乾燥・掻痒感

    ・創部の状態(オペ後、褥瘡等がある患者)

    ・出血の有無と程度

    ・腹部症状(腹満感、張り等)

    ・ドレーンやバルーンカテーテル、点滴等の刺入部及びその周囲の皮膚の状態

    ・患者さんの表情や訴え

    ・痛みの有無や程度

    ・ベッド上とその周囲の環境;皮膚トラブルの原因となるようなものが身体の下やベッド上に置かれていないか確認する。





    3.清拭の方法と手順



    清拭のやり方は各施設により多少違いはありますがここでは基本的な清拭の看護技術の手順と方法を紹介します。

    まずは清拭を行う前に患者さんのバイタルサインチェックをし、これから行うケアについて説明・同意を得ましょう。

    3-3.清拭の手順



    ①着衣を脱がしタオルケットやバスタオルで全身を覆います。寒気を感じさせないよう上半身、下半身と分けるといいでしょう。

    ②湯で絞ったタオルは患者さんに触れる前に自分の腕の内側に当てて暑すぎないか確認してから始めましょう。

    ③身体の上部から下部に向かって拭いていきます。

    顔→頸部→上肢・腋窩→胸部→腹部→下肢→後頭部・背部・腰部・臀部→陰部 ④寝衣を着せ整える;特に背部や脇、シーツやタオルのシワをしっかり伸ばす

    ⑤掛け物を戻す

    ⑥病床環境を整える

    ⑦物品を片付ける



    4.清拭時の注意点



    食事の前後1時間やリハビリなど体力が消耗しているような時間帯は避けます。その日の患者さんの体調により、部分清拭に切り替えることも必要です。また、浮腫があるまたは皮膚の弱い患者さんに対しては優しく圧をかけすぎないように拭きます。

    シワや皮膚が重なっている部分は発赤や褥瘡の原因となりやすいのでしっかり広げて拭き乾燥させるようにしましょう。必要に応じてパウダー等を使うと良いと思います。

    石鹸清拭の場合は、掻痒感や発赤の原因となりますので石鹸が残らないようしっかり拭きとり乾燥させましょう。

    不安や苦痛のある患者さんには適宜声を掛けながらケアを進めましょう。

    清拭1 清拭2 清拭3

    5.上記のまとめを細かく記述します!

    清拭の目的
    1) 皮膚の表面に付着している物質を除去して皮膚を清潔にする。

    2) 皮膚を清拭して摩擦することによって、末梢血管を刺激して血液循環を促進し、また筋の興奮性を高める。

    3) 爽快感によって明るい感情を引き出して、看病意欲を旺盛にする。

    4) 背部の状態を観察する

    5) 患者とのコミュニケーションの場とし、情報を得たり、信頼関係をつくる機会とする。



    必要物品
    ワゴンの上に乗せるもの 1) バケツ(湯入り・汚染入れ)(60〜70℃)      各2

    2) 洗面器台     各1

    3) 大ビッチャー(水)小ビッチャー

    4) バスタオル    各1

    5) フェイスタオル  各1

    6) ウォッシュクロス 各2

    7) タオルケット   各1

    8) 石けんと石けん入れ

    9) 温度計

    10) トレイ

    11) ワゴン

    12) 新聞紙

    13) ディスポ手袋

    14) ビニールエプロン

    15) 更衣に必要な服、和服ならタビも



    清拭援助を行うにあたり具体的方法とリスクの予測(留意点も含む)の援助計画を解説します。 はじめに 注意点:
    1. 一般状態を観察し、バイタルサインを行った結果、清拭ができる状態かアセスメントする。

    2. 室内環境は約24±2℃が適しており隙間風を避ける。気流も注意し冷房が入っている場合はOFFにすること。

    3. 患者の羞恥心を最小限にするため、実施中はカーテンで他の人から見えないようにする。

    4. 患者の体位は清拭の作業にさしつかえないかぎり安楽にし、安全をはかる

    6. 援助者の姿勢は無理な体位にならないように、また物品を置く位置や作業手順を考えて、不必要な動作をしないようにする。

    7. 拭いていないときは、奪われる気化熱と患者の羞恥心を最小限のものにするために患者の皮膚は必ずタオルケットやバスタオルで覆い、不必要な露出を避け、手早く作業する。

    8. 湯の温度は室温の影響とウォッシュクロスの操作のために低下するので動作は手早く行う(室温が24℃の時は一分間に1℃ずつ、またウォッシュクロスを濯ぐごとに1℃ずつ下がる。)

    9. 清拭部位の皮膚の適温を知り湯の温度を調節する。(清拭による部位別の湯の適温は皮膚温・着衣・入浴温度習慣による影響はあるが、室温24℃、湿度60%、ほぼ無風状態の時に45℃の湯で背部を清拭すると全員が冷感を訴える。)

    10. 湯に浸けたウォッシュクロスを援助者の前腕内側で確認すること。またあらかじめ45℃の熱さを確認しそれ以上の熱さになるようにする。

    11. 援助前に排泄の有無と時間を貰う了承を頂く。

    12. 患者には安全・安楽な方法で援助を行う。

    13. 援助者は無理な体位を取らないで身体に負担をなるべく小さくするため動きを最小限にすること



    実施方法
     



    準備
    1) ディスポエプロンを付ける、ディスポ手袋を付ける。 感染対策のため。(色々諸説はあるが省略。)

    2) バケツに湯を入れる。 湯の温度は援助者が湯の中に手を入れてタオルを濯ぐ事ができる最高温度(50〜52℃)と準備中の温度低下を考慮して60〜70℃とする。(VS測定を行うため。)

    3) 大ビッチャーに冷水を入れる 湯の温度調節に使用する その他も含めワゴンの上に乗せる。湯の入ったバケツは上に乗せると患者の元へ行く際に躓いて転倒した時に危険であり又、バケツが安定して上の台に置かれていたのとして患者のもとへ移動時は何があるか分からないので下の台に置く事。

    また、湯を使用するときに上の台に乗せて使いやすいようにする。湯を使い終わったら再度、下の台に乗せる事。

    実施
    1) 患者に説明し、納得が得られたら環境を整える。 室温を24℃±2℃にして窓を閉める。カーテンを閉める。

    プライバシーの配慮。羞恥心を与えない様にするためカーテンを引く。また、気温、湿度、気流の3つの因子に配慮を行い冷感など与えない様にする。

    実施前の準備として、排泄の意思を確かめ、必要があれば先にすませる。 援助者の立ち位置は患者の右側。
    『発熱して汗が多いので背中を拭きますがよろしいですか? 時間が20〜30分少々かかりますがお時間は大丈夫ですか? トイレは大丈夫ですか?』

    2)使用する物品を作業しやすいように床頭台の上に置く。↓

    物品の配置
     患者に床頭台とその周囲を借りる事の承諾を貰う。 『床頭台とベッド周囲をお借りしますね』

    湯の量は洗面器の2/3程度入れる。湯の量が多いほど温度の低下は遅いが、フェイスタオルを濯ぐ時溢れないようにする必要があるため。

    患者の前にベースンを近づけない事。 患者の顔に水滴が掛かる恐れがあるため床頭台(ベースンが乗っている)を患者の頭部から離れさせる事。

    3)タオルケットを掛けながら掛け物を足下へ扇子折りにする。

    タオルケットを毛布の上に掛ける。
    左片麻痺のため右手でタオルケットを持ってもらい毛布を足下まで下げる(冷感を生じさせないために行う。)

    4)更衣−着脱

    タオルケットを掛けたら、掛けたまま患者の和服を脱がす。

    和服の紐をほどき、手前側(右側)の前見頃を脇におろし、襟を持ち、折り返すようにしながら、肩の部分を抜く。(寝衣の右襟と右袖口を引っ張り、袖を抜くためのゆとりを十分持たせて右肩を脱がせる)

    健側なので自分で脱ぐ様に促す。患者の反対側に立ち軽く左側臥位にし、寝衣を体幹の下に差し入れる。

    仰臥位にする。

    平行移動を行う。

    枕の位置をずらす。両小指側の側面から差し込み、手指を広げ後頭部を支える。枕を静かに右側に移動させる。

    両手を組む。麻痺側を健側の手で支えてもらう。『右手で左手を支えてください。』

    患者の右膝を軽く曲げさせ、左足首を右足に乗せる。

    患者の頸部と腰部に前腕を差し入れ、反対側の肩、側胸部を軽く支える。

    援助者は下肢を前後に開く。

    重心を前側から後ろ側に移動する

    腰部と大腿上部に前腕を差し込む

    手前へ滑らせるように移動する。

    下肢を整え、身体をまっすぐにする。

    :平行移動の目的→右側臥位になったとき、ベッドから身体がはみ出さないため、転落させないために行う。 元の位置に戻り右側臥位にし、体幹の下にある寝衣をたぐり寄せ左上腕の肘関節を片方の手で下から支えように持ち、他方の手で袖口を持ち、患者の手から袖を抜く。
    :健側から脱がす。(右側から)右側には麻痺が無いと過程して患者ができる事は自分で行ってもらうように促す。←自分で出来る事は自分で行ってもらいADLの低下、自分で出来る事を他者に行ってもらう行為について自尊心が傷つくなどが生じる恐れが考えられるため。 『服を脱がしますね、右側から脱がしますのでお手伝いしますので自分で出来る範囲で協力お願いします』



    5)右側臥位にする。(麻痺側は下にしない。) 援助者の立ち位置は患者の右側に立っているのでその体勢で患者の両膝を立て援助者から遠い膝と遠い側の肩を持ちゆっくりと右側臥位にする。

    『右側に向きますね。右膝は自分で立てる様にしてくださいね。肩と足を持ちますね、ゆっくりと僕の方に身体を向けますね。』  

    体位交換時、援助者は支持基底面を広く保ち重心を患者に近づけ上記の方法で体位交換を行う。

    麻痺があるため右側臥位になった時点で、バランスを崩す恐れが考えられる。右側臥位になった時、大枕を患者の正面に抱えてもらうように大枕を差し入れ体幹の安定に努める。

    健側の体幹の下になるため、肩を体幹から外側に軽く出す。

    体幹が安定してバランスが良いと判断したら患者の背中を清拭する準備を行う。

    :患者から目を離すリスクとして柵がない、ベッドの高さを調節する事ができない、麻痺に対する疾患は不明だが半側空間無視の有無など転落リスクがあるため、目を離す時は安全が確認できるまで目を離さない。



    6)保温 (援助者は右側にいる。)

    上にかけている綿毛布の背部の部分を患者の身体の上に上げる。

    背中に沿ってバスタオルを殿部まで縦に敷き身体とベッドの間にバスタオルを少し挟み込み、残りで下から上に身体を覆う。 7)清拭を行う

    温度を確認(50〜52℃)。ウォッシュクロスを湯に浸け絞りウォッシュクロスを手に巻き。

    注1:前腕内側で熱すぎないか確認する。 注2:ウォッシュクロスをできるだけ深く手拳側に持つ。

    指の先にたれている部分を手拳側に折り返す。取れないようにしっかり挟む。

    石けんを軽くウォッシュクロスに付ける。 

    タオルの準備が出来たら背部から殿部までバスタオルを下げる。

    患者をやや前傾にして、タオルを巻いていない手で患者の肩を支えて身体を固定し、頚部後面を拭いて腰から後肩へと下から上に往復しながら拭く。

    背部を拭く際は、背部のかゆみなど無いか、爽快感があるか等、コミュニケーションを行いながら行う。 『かゆいところはありますか? 拭き加減はいかがですか?』

    石けんがついたウォッシュクロスを外し、新しいウォッシュクロスを装着し石けんをしっかりと拭き取る。

    拭いた後、フェイスタオルでしっかりと水分を拭き取る。

    水分が残っていると冷感を感じるため。

    8)新しい寝衣を着せる。

    : 紐を横に結ぶ。また右前にすること。



    側臥位にする時は患者にその都度説明を行うこと。

    右側臥位の状態、左側(麻痺側)の身体は上に向いている。患者の下に敷いてあるバスタオルを引き抜き新しい寝衣を左側から着る。患側であるため援助者が袖をたくし上げて患側の肘関節を下から支え腕を入れる。

    注:援助者は右側にいる。

    『新しい服を着ますね。袖を通します。』通し終わったら寝衣を患者の下に差し入れる。

    寝衣の中心を合わせる。
    仰臥位にする。大枕を外し、遠い方の肩と膝を持ち仰臥位にする。

    大枕はベッド足下など邪魔にならない場所に移動する。

    仰臥位になり患者がベッド中心に移動させる。 右側に水平移動は上記の記述の通りに行うものとする。

      反対側に移動する。軽く左側臥位にし、体幹の下にあった寝衣を体幹から出す。(麻痺側が下になる)『少し、左側を向きますね』

    和服を出しながらシワを伸ばし、ゆっくりと仰臥位にしたら健側の袖を着せる。

    健側なので自分で着る様に促す。『次は反対側の袖を通しましょう。』

    袖をたくし上げ迎え入れで入れる。

    タオルケットの上に毛布を掛け、足下からタオルケットを引き出す。

    9)終了した事を伝える。援助後の観察を行う。ベッド環境を整える。片付ける。

    「終わりました。気分が悪いなどありますか?寒気は感じますか?」「背中の汗のベトベト感は取れましたか?」

    観察項目(O-P)1.顔色、表情、疲労の有無と程度、爽快感の有無、 冷感の有無

    10)後始末

    毛布を綺麗に掛ける。

    床頭台、椅子を元の位置に戻す。お湯を使ったので床頭台、床など濡れていないか確認する。濡れていたら拭き取る。(仮に床が濡れていたら滑り転倒する恐れが考えられるため。)

    物品をカートに乗せる。

    カーテンを明ける。

    11)挨拶

    「ありがとうとうございました。 失礼します」退室する。

    12) 物品の片付け

    使用した物品を元の位置に戻す。

    13)指導者・看護教員に報告を行う。

    報告方法については下記にてご紹介しております 




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