アサーションとは、より良い人間関係を構築するためのコミュニケーションスキルについて解説します

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    By看護研究科 小日向 さくら

    みなさん、こんにちわ。 看護研究科の大日方さくら(@lemonkango)です。

    アサーションという言葉、聞いたことありますか?
    どうゆう意味か知っていますか?まずは言葉の定義から確認したいと思います。 辞書的な意味では・・・

    アサーティブ:主張、断言

    アサーティヴ:断定定期な、自己主張の強い



    しかしこのような意味には「一方的」であるとか「押し付けがましい」というニュアンスが感じられます。

    自分が自分が、と自分の思いを前面に出しているように受け取られる事もあります。

    これでは本来のアサーションの意味と異なってしまいます。

    ここでいうアサーションに関わるのは自分、私個人だけではないのです。そこには相手という二者が存在する事が前提となっています。

    そこでここでいうアサーションをこのように定義します。
    「自分も相手も・・・」「自分の考え、欲求・・・」

    このように定義すると、自分だけではなく、同じように相手も大切にするというニュアンスが含まれます。 日本語でいう「自己主張」には「相手を大切にする」というニュアンスが抜けやすいので、通常、日本語には訳さずにそのまま「アサーション」と呼ぶことが多いです。ここでもアサーション、アサーティブとそのままカタカナで表記することにします。

    吹き出し イラスト6

    アサーションとは、より良い人間関係を構築するためのコミュニケーションスキルについて解説します





    アサーション2

    1.自己表現について確認しましょう

    アサーションの本題に入る前に、自己表現について確認したいと思います。

    みなさんは普段、どのように自分の意見や主張を表現しますか?自分の言いたい事は我慢して、相手に合わせようとすることが多いでしょうか?それとも相手の言い分などお構いなしに、自分の言いたい事だけを言って終わりにしていませんか?もちろん、その時々の状況や相手との関係によって、自己表現の仕方は変わってくるものです。しかし自分がついついしてしまいがちなパターンというものがおのずと決まってくるものです。つまりそれが自然に身についてしまっている自己表現のパターンといえます。

    自己表現には3つのタイプがあるといわれています。

    ひとつめは・・・自分を前面に出すような、一方的な自己表現です。自分の意見や考えははっきりと言いますが、相手の意見や気持ちは無視するので、結果として相手に自分を押し付けることになります。常に相手を支配し、相手に勝とうと思ったり、相手より優位に立とうとするような態度を言います。

    ふたつめは・・・ひとつめとは逆で、自分のことは置き去りにして、相手のことばかりを考えた自己表現です。「非主張的」の中には自分の気持ちを言わないだけでなく、曖昧に言う、言い訳がましく言う、遠まわしに言う、小さな声で言う、なども含まれます。一見控えめで協調的、輪を乱さない平和的な自己表現に思えます。しかしアサーションの定義は「自分も相手も大切にした自己表現」をすることです。こ定義と照らし合わせると、非主張的な自己表現には「自分」というものが抜け落ちている事がわかります。相手に配慮しているようでいて、実は相手に対して率直ではなく、自分に対しても正直ではない行動です。

    最後のみっつめが、自分も相手も大切にした自己表現です。自分の気持ちや考え、信念を率直に、正直に、その場にあった適切なやり方で述べるような自己主張の方法です。お互いに大切にし合おうという相互尊重の精神と、相互理解を深めようという態度の現れともいえます。 それでは具体的にアサーティブな自己表現とはどのようなものなのか、見ていきたいと思います。

    自己主張的(アサーティヴ)な自己表現とは?
      お互いにそれぞれの意見や気持ちを率直に述べたとしても、必ずしも自分の意見が通ったり、気持ちを理解してくれるとは限りません。ぶつかり合ったり、葛藤が起こることもしばしばあります。

    しかしそこで簡単に妥協したりせず、お互いの意見を出し合って譲ったり譲られたりしながら歩み寄り、納得のいく結論を出そうとする、そのプロセスを大切にすることが必要となってきます。つまり葛藤が起きてもそれを避けたりせず、引き受けていこうとする気持ちがアサーションの特徴です。

    話し合うことを大切にするということは、自分が表現するのと同時に相手にも表現することを勧めることもアサーティブなあり方です。この意味では自分が話すことだけでなく、相手のことを聞くこともアサーションであるといえます。

    アサーションの考え方では人はそれぞれ考え方や感じ方が違っているのは当然であり、また相手はこちらの意図とは違う受け取り方をすることもあると考えています。そしてこうした違いは尊重される必要があります。

    アサーティブ1

    2.どうすればアサーティヴになれるのか?

    では、実際にどうすればアサーティブになれるのか、これから5つの方法を紹介したいと思います。

    まずひとつめとして、自己信頼ということを考えていきたいと思います。
    アサーションするには「自信がないと・・・」とか「自信がある人はアサーションできる」とよく言われます。
    確かに自分に自信があることとアサーションとは関係がありそうですが、それではどうしたら自分に自信を持つ事ができるのでしょうか。

    まずは上記の画像を見てください。

    自信がないと言動が不適切になる、すなわちアサーティブでなくなります。

    そして不安が大きくなり、益々自信を失って、アサーティブになることが出来ず・・・と悪循環に陥ってしまいます。

    そこで、この悪循環を良い循環に変えるようにしましょう。

    自信があるとアサーションできやすくなり、不安や戸惑いも減ります。またアサーション出来るとそれがまた自信にもつながります。

    自信とは言い換えると自分を信じること、つまり自己信頼のことです。

    自分には出来る力があるとか、自分を当てに出来るということです。

    自分の長所や短所を知っていること、つまり自己分析が出来ていれば、この程度のことは自分にはこなせそうだ、と評価することが出来ます。そうして成功体験を積んでいけば、更に自分に対してポジティブな評価、つまり自信が高まっていくでしょう。

    また失敗した場合も、どこでどうつまづいて失敗したのかをきちんと評価することで、改善点が見つかるはずです。 このような自己分析や経験の評価の積み重ねが自信につながります。

    次にふたつめです。

    ここでアサーション権というものをご紹介したいと思います。

    自信を持ってアサーションするために、「人間としてやってもよいこと」を知っておくことが大きな助けになります。それをここではアサーション権と呼ぶことにします。

    まず一番大切なのはひとつめ、誰でも感じたことや考えた事を表現してもよい、ということです。これはアサーションの基本です。誰でも、というのは、自分も、そして相手も、ということです。自他ともに表現することを認めることがまず第一の基本といえます。

    二番目は人間とは不完全であるということです。不完全であるために、間違えることだってあるんだ、失敗してもおかしくない、ということを覚えておくことは大切です。

    三番目は人は違っていてよい、ということです。人はみんな生まれつき違っており、それぞれ個性を持っています。ですから考え方や物の感じ方も違って当然です。他の人と意見や感じ方が違っても、同じでないことに罪悪感や劣等感を持つ必要はありません。むしろ自分というものを押し殺して相手に合わせていることのほうが問題です。

    最後にアサーションしない権利もあることを知っておいてください。アサーションするのもしないのも、選ぶのは個人の自由です。


    では三番目です。 アサーティブになる方法として、物の見方を変えるということも有効です。

    そのためには今、自分はどんな物の考え方をする傾向があるのか、まずは現状を知ることが必要です。

    例を挙げて説明します。日ごろ、「人を傷つける事は悪いことだ」と考えているとします。

    そのような考え方に捉われていると、人を傷つけるようなことはしてはいけない、と努力しているでしょう。

    この段階では非常に他者に配慮できる、素晴らしいことだといえます。

    しかし、「非常に悪いことなので、絶対に人を傷つけることはしてはならない」とあまりに強く思いすぎると、傷つけることを必死で避けようとしたり、一度傷つけてしまったらその人との関係は致命的であると思い込んだり、と少々度が過ぎてしまいます。

    相手を傷つけるかも、と思ったら、たとえ必要なことでも言わないようになるでしょう。更に相手がどんなことで傷つくかもわからない前に、自分の思い込みで動いてしまうことになるでしょう。 この考え方は当然、相手から自分が傷つけられることも悪い事になりますから、自分が傷つけられるとその相手を避けるようになったり、悪い人だと思い込んでしまうかもしれません。

    このように非合理的な思い込みというのは誰にもあるものですが、それはあくまでも自然に行動に出てしまうものだったり、無意識の考えだったりするので、気がつかないことが多いです。これを論理療法ではイラショナルビリーフ、非論理的な考え、信念と呼びます。これは社会的な経験の中でその人が自然と身につけて獲得してきた、いわば色メガネのようなものです。 普段は無意識にやってしまうことでも、それに気がつくことができれば、つまり意識化させることが出来れば、ブレーキをかけることが出来ます。

    このようなイラショナルビリーフは、普段の生活の中でちょっと気をつけていれば誰でも発見できます。理想を追求しすぎて人に攻撃的になったり、自分自身が苦しいと感じたら、それがサインです。 資料としてイラショナルビリーフの一例を挙げてあります。

    この中で自分に当てはまるものはありませんか?自分自身が普段気が付いていない考え方や思い込みを見直すきっかけにしてみてください。

    4つめの方法として、感情に付き合うということを説明したいと思います。

    私達は日頃、色々な人や出来事に接するたびに、自分の中に感情というものが湧き上がってきます。 人に褒められれば嬉しいと感じるし、バカにされると腹が立ちます。人間として、生きている以上、感情というものが自分の中に湧き上がって当然です。 そして、この感情はこの場面では表現してもいいだろう、この感情は今は出さないほうが賢明だ、といったように、場所や一緒にいる相手などの状況によって、自然と区別していることも多いです。 特に感情の中でも怒りや悲しみなどのネガティブな感情は、相手に脅威を感じさせたり、不愉快な思いをさせてしまうのでは、と心配になるため、表現することに戸惑いを覚えると思います。そしてネガティブな感情は表現せず、自分の中に閉じ込めてしまう、蓋をしてしまうことが多いのではないでしょうか。

    ここで感情についての基本的な考え方は・・・

    ある出来事に対して抱く感情は、人それぞれで異なります。 例えば食事をしながら人と話している時でも、その状況を楽しいと感じる人もいれば、「早く帰りたいのにこの人はよくしゃべるなぁ」といらいらしている人もいるかもしれません。 ある人に対して持つ感情は個々人で違うでしょうし、仕事に対する感情も違って当然です。

    同じ出来事や対象に対して持つ感情は、ひとそれぞれです。ある出来事や人に対する感情は自分が起こしているのであって、その対象が起こしているのではありません。確かにそのきっかけを作ったのかもしれませんが、どのような感情を持つかは自分自身が決めているといえます。なので、「○○さんのせいで嫌な思いをした」というのは適切な言い方ではありません。どのような感情を持つかは自分次第。そうだとすると、必要に応じて感情は自分でコントロール出来るものだし、表現するもしないも、自分の責任において決めることができるのです。

    最後はDESC法です。これはみなさん、よくご存知だと思うので、簡単にだけ説明します。 DESC法は問題解決をするための話し合いをアサーティブにする方法です。D、E、S、Cの順番にセリフを作ることで、問題解決に役立つアサーティブなセリフを準備することが可能になります。 これらの4つの頭文字は、セリフ作りの手順を表しています。

    まずDは・・・自分が対応しようとする状況や相手の行動を描写します。客観的、具体的な事実を述べることが第一段階です。これは誰が見てもわかる事実であることが大事です。客観的な事実ですから、解釈や推測は入れず、自分が感じたことは入れません。状況を明らかにし、それをお互いに共有することで、いわば話し合いの前提条件が揃うわけです。

    次にEは・・・その状況や相手の行動に対する自分の気持ち、感情を冷静に、明確に表現します。そのことについての自分の気持ちや心理状況を相手にわかってもらうためにこのEが必要となります。ですから「お前のせいでこんなに苦しんでいるんだ」と相手を責めたり非難してはいけません。「私は非常に困っています」などのように、私を主語とする文章がわかりやすいと思います。必要に応じて、「あなたは忙しそうに見えますが」など、相手に共感する言葉を入れるのも効果的です。

    三番目のSは・・・ここで相手にして欲しいことを伝えます。これはあくまで提案であって、命令ではありません。なので「してください」よりも「して欲しいのですが」「していただけませんか」などの表現がいいと思います。またこの提案は具体的に出来ること、曖昧な表現でないことが必要となります。

    最後にCは・・・Sの提案は相手に肯定的に答える可能性と否定的に答える可能性があります。つまり相手がそれを受け入れるか、拒否するかは相手次第であり、それを覚悟する必要があります。もしイエスと答えたら自分はどうするか、ノーと答えたらどうするかを考え、準備します。イエスと答えてくれたら、「ありがとう」と感謝の言葉を伝えればいいでしょうし、もしノーと答えたら次に何を提案するかを考えておきます。この選択は相手に行なってもらう、相手が選ぶものであり、こちらが強制するものではありません。

    このDESC法の注意点をふたつ紹介します。 まずはDとEの区別をきちんとすることです。このふたつは混同しやすいので、気をつける必要があります。Dはあくまで客観的な事実、Eには主観的な感情や気持ちが入ってもかまいません。

    ふたつめはCをおろそかにしないことです。相手の答えを予測し、こちらもあらかじめ対応策を考えておくだけで、気持ちに余裕が出来ます。特にお願いする場合は断られたらどうしようと戸惑うことがよくあります。しかし、断られた場合の結果を予測し、その後の対応策を考えておくだけで、ぐっと頼みやすくなります。
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