小児看護での髄膜炎 看護のポイントを振り返ろう

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    By看護研究科 小日向 さくら

    みなさん、こんにちわ。 看護研究科の大日方さくらです(@lemonkango)です。

    看護学生さんが小児看護実習で髄膜炎の患児を受け持つ事は稀ではありますが、インフルエンザなどで髄膜炎に移行することがあります。

    そのため、小児看護実習に行く前に小児髄膜炎についておさらいしておきましょう。
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    大人でも小児でも【髄膜炎】とは非常に重篤な病気の一つになります!しっかりとポイントを抑えておきましょう!



    髄膜炎2

    1.小児髄膜炎の病態生理

    髄膜炎は病原性微生物による軟膜、くも膜、クモ膜下空の炎症である。

    ○ウイルス感染によるウイルス性髄膜炎(無菌性髄膜炎)や、細菌性髄膜炎、結核性髄膜炎、真菌性髄膜炎があるが、この中でも遭遇する機会の多いウイルス性髄膜炎と細胞性髄膜炎である。

    ○細菌性髄膜炎:通常、菌血症が髄膜炎に先行、あるいは同時に発生する。

    細菌が脈絡業や脳脊髄膜を通って髄液に入ると急速に増殖し、それに対して多核白血球浸潤などの炎症反応が引き起こされる。また、インフルエンザ菌や髄膜炎炎菌由来のエンドトキシンや、肺炎球菌由来のペプチドグリカンが刺激となってサイトカインが産生されると、より一層の炎症反応が誘発され、脳浮腫、虚血などをきたす。

    ○ウイルス性髄膜炎:ウイルスによる神経組織への直接的侵襲と、宿主のウイルス性抗原に対する反応により、脳脊髄膜に炎症が起きると考えられる。炎症が脳組織まで巻き込む場合は脳炎とよばれる。

      髄膜炎

    2.小児髄膜炎の病因・増悪因子

    ○ウイルス性髄膜炎の原因はエンテロウイスル(エコー、コクサッキー)、ムンプスウイルスなど。

    ○細菌性髄膜炎の原因菌は年齢により異なり、新生児期はグラム陰性桿菌(大腸菌など)、B群溶連菌、リステリア菌が多く、幼児期以後はインフルエンザ菌、肺炎球菌、髄膜炎菌が多い。

    3.小児髄膜炎の発症・予後

    髄膜炎の中ではウイルス性髄膜炎が最も多い。エンテロウイスルによるものは夏季に多く、後発年齢は学童以下が多い。 細菌性髄膜炎の発症は1歳までが最も多い。

    ウイルス性髄膜炎は予後良好であるがムンプスウイルスが原因の場合は難聴が後遺症として残ることがある。死亡率は10%程度といわれる。  

    4.小児髄膜炎の症状

    主症状は発熱、頭痛、嘔吐、髄膜刺激症状である。

    📌ポイント

    発熱
    頭蓋内圧更新症状(頭痛、大泉門膨隆、意識障害)
    髄膜刺激症状
    痙攣
    随伴症状
    悪心・嘔吐
    食欲不振
    下痢
    不機嫌
    知覚過敏(易刺激性)
    後遺症
    脳浮腫
    DIC
    後遺症
    硬膜下水腫
    発達遅延
    知的障害
    てんかん
    半身麻痺
    四肢麻痺
    難聴
    視力障害など



    5.小児髄膜炎の診断・検査

    症状がある場合は髄膜炎を疑い、髄液検査を行う。新生児期には、哺乳力低下、不活発、筋緊張低下、痙攣、チアノーゼなどの症状に注意する。

    発熱や大泉門膨隆を伴うことがある。乳児の場合は、哺乳力低下、不安、興奮、傾眠、痙攣、大泉門膨隆などの症状に注意する。

    また、項部硬直がわかりにくくても、おむつ交換時にお尻を持ち上げると嫌がって泣くことなども診断の一助となる。

    検査値
    髄液検査で髄液細胞数(多核球/単核球比も重要である)、タンパク、糖、髄液圧を測定する。これらの髄液所見は原因微生物により異なる。血液検査は、血算、生化学検査、CRP測定を行い、炎症反応や電解質異常を評価する。

    細菌性髄膜炎が疑われる場合 髄液沈査

    6.小児髄膜炎の看護

    生命の維持に関わる重篤な症状や後遺症を伴うことがあるので、観察と異常の早期発見が求められる。

    髄液検査が頻回に実施される場合、身体的にも精神的にも苦痛を伴うため看護援助が重要となる。 患児の家族は「髄膜炎」と診断されると、脳への影響を非常に心配して不安を抱くため、説明と心理面への支援が重要となる。

    7.小児髄膜炎のアセスメントのポイント

    全身状態の把握

    家族から身体的・心理的な状態を聞き出すことで、トータルなケアを行うことができる。

    観察項目

    患児の苦痛を増強させているものを把握する(検査、診察、環境、安静、点滴など)

    症状の部位、出現状況、程度の観察:症状がどんな部位でどのように出現し、どの程度なのかを観察する。症状の状態や程度を把握することは、治療計画、看護計画の立案に有効である。小児は予備能力が乏しいため、病状の進行が早く重篤化しやすい。

    さらに症状の表現に限界あるため、異常の早期発見が遅れる場合もある。症状以外に、機嫌、啼泣、動作、姿勢なども観察して評価する。

    小児髄膜炎の発熱
    ほとんどの患児は急性期に急な発熱と高体温の持続がみられる。解熱は髄膜炎の治療効果の判定の指標にもなるため、熱型や持続時間、頻度にも注意する。

    発熱により、脳代謝が亢進し、意識障害、頭痛などがみられる。
    頭蓋内圧亢進症状
    頭痛、意識障害、大泉門膨隆、頭囲拡大、瞳孔の異常、痙攣、悪心・嘔吐

    患児の意識レベルの判定は難しいが、小児用のスケールを用い、家族の協力も得て判断する。

    頭蓋内圧亢進によってバイタルサインも変化する。

    乳幼児では大泉門膨隆の確認や頭囲判定を行う。
    小児髄膜炎の髄膜刺激症状
    項部痙直、頭痛、ケルニッヒ徴候、ブルジンスキー徴候、後弓反張

    ウイルス性髄膜炎に比べ、細菌性髄膜炎で著明にみられることがある。

    それぞれの症状や徴候の観察の仕方を習得し、苦痛にならないよう観察を行う。

    小児髄膜炎の痙攣
    小児は中枢神経の発達が未熟なため、痙攣をおこしやすい。痙攣は生命の危険性につながるサインとなる場合もあるためバイタルサイン、痙攣のタイプの観察と早期の対処が重要になる。

    小児髄膜炎の薬の効果・副作用の観察
    薬の効果は、治療や症状緩和の判定指標になるため注意深く観察する。薬によっては重大な副作用がみられることがあるため注意深く観察する。

    検査の把握
    急性期は苦痛な身体症状がある上、様々な検査が実施されることが多い。

    患児の年齢、発達状況、理解状況などを把握したうえで、少しでも不安や苦痛が軽減されるよう支援していく必要がある。

    環境、日常生活の観察:急性期には発熱や式生涯を伴っていることが多く、身体損傷の危険性が高いので、ベッド周囲の環境調整が重要となる。

    患児・家族の心理・社会的側面の把握:患児・家族が疾患をどのように認識しているのかを確認する。また患児・家族の心理状態に応じて、援助を継続しなければならない。
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