看護学生が知っておきたい、骨折の看護や基本的な解剖生理について 実習で活用しよう

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    By看護研究科 小日向 さくら

    みなさん、こんにちわ。 看護研究科の大日方さくらです(@lemonkango)です。

    今回は、整形外科・運動器の【骨折】について解説したいと思います!

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    どの実習でも骨折の患者さんを受け持つ可能性が高いです。 学生さんは骨折の基本的な部分、考え方、アセスメントについてしっかりと学習しておく必要があります。 今回の記事では基本的な骨折の看護や病態生理について解説したいと思います。





     

    上腕骨顆上骨折

    1.骨折の病態生理

     骨の解剖学的連続性が立たれた状態を骨折とよぶ。原因、外力の加わり方、折れ方、外界との交通の有無などにより分類される。
    [骨折の分類] ○ 原因による分類
    ①外傷性骨折
    強力な外力によって骨の連続性が断たれる場合をいい、通常の骨折は外傷性骨折がほとんどである。
    ②病的骨折
      骨に病的な脆弱性を有する場合には軽微な外力でも骨折が発生することがある。腫瘍、骨系統疾患(先天性骨形成不全症、骨大理石症など)、代謝性疾患(骨軟化症、骨粗鬆症など)、骨髄炎などが基礎疾患として存在する。
    ③疲労骨折
      微弱な外力であっても、頻回にわたり同一部位に外力が加わることで発生する微妙な骨折である。スポーツ選手にみられる下腿骨骨折や行軍骨折があり、中足骨に起こる疲労骨折がよく知られている。微妙な骨折なので早期に診断は容易ではなく、注意深い観察を要する。X線所見では骨の微細な亀裂とともに骨折の修復機転としての骨膜反応や仮骨形成が混在して認められる事がある。
    [外力の加わり方による分類]
    ①直達骨折
      外力が直接加わった部位に発生する骨折をいう。
    ②介達骨折
      外力が加わった部位よりも離れた部位に発生する骨折をいう
    ・ 屈曲骨折:骨折部が屈曲しており、長幹骨に多く認められる。
    ・ 剥離骨折:筋肉、靭帯など付着部の骨が引きちぎられた骨折をいう。
    ・ 圧迫骨折:脊椎椎骨に軸圧が加わった際に生じ、骨が圧縮された状態の骨折をいう
    ・ らせん骨折:投球時の上腕骨、下腿骨などに発生が多く、らせん状に骨折する。
    [折れ方による分類]
    ①完全骨折
      骨の連続性が完全に断たれた骨折である。骨折線の走行により、横骨折、斜骨折、らせん骨折、粉砕骨折などがある。
    ②不全骨折
      骨の一部連続性を認める骨折である。亀裂骨折や小児に多く認める若木骨折、竹節骨折などがある。
    [外界との交通の有無による分類]
    以前は皮下骨折を単純骨折、開放骨折を複雑骨折とよんでいたが、骨折部の粉砕骨折と複雑骨折と混合しやすいため、げんざいでは単純骨折、複雑骨折という名称はあまり使われなくなった。
    ①皮下骨折
      骨折部に皮膚の損傷がなく、外界と骨との交通がない骨折である。
    ②開放骨折
      皮膚や軟部組織に創に存在し、骨折部と外界が直接交通する骨折であり、治癒が遅れる傾向にあり、また、感染する可能性が高いので慎重に治療を進める必要がある。
    [骨折の治癒過程]
    骨折部は出血により血腫が形成される。この血腫内に肉芽が形成され、やがて仮骨によって骨折部が連結されたのち、リモデリング(再造形)が起こり、骨髄腔が形成される。炎症期・修復期・再造形期を経て骨の治癒が完成する。
    [骨折の治癒に影響する因子]
    骨癒合に要する日数は古くからグルトの表が有名である。しかし、骨折の治癒には以下の因子が影響するため、実際にはこれより長くかかる。
    ①全身的因子
      年齢、栄養状態、代謝性疾患、ホルモン異常、骨代謝に影響する薬物の使用などが影響する。
    ②局所的因子
      皮下骨折か開放骨折か、感染の有無、骨折の部位と程度、骨折部の転位の程度、骨折間の軟部組織の介在、固定性の良否、骨折部に加わる機械的負担の程度など、様々な因子により影響される。
    [骨折治癒の異常過程]
    骨癒合が上記の因子に障害されて正常な治癒過程を経ず、異常な転帰をとることがある。
    ①変形性癒合
      骨折部の治癒過程は正常だが、変形を著明に残している状態である。骨には自家矯正能力があり、多少の変形は矯正されるが、その範囲を超えて変形が存在する場合には永続した変形となり、隣接関節機能に悪影響を与える。したがって治療に際しては可能な限り、良好な整復位を得る事が大切である。
    ②遷延癒合(せんえんゆごう)
      通常の癒合期間を過ぎても、骨癒合が得られていない状態である。骨折部の治癒過程はゆっくりであるが進行している。骨癒合を妨げている因子を除く事で、治癒過程は促進される。癒合の遷延は不十分な固定が原因である事が多い。
    ③偽関節
      骨折部の治癒機転が停止する。すなわち骨折部が癒合する見通しがなくなった状態であり、異常可能性を有する。骨折部は通常、腺維性の瘢痕組織で覆われ異状可動性のために偽りの関節が形成されたようになる。不十分な固定、細菌感染、骨の欠損・離開、軟部組織の介入などが原因となる。通常、痛みは比較的少ない。治療は骨折端を新鮮化し、骨移植を行い、停止した骨折修復過程に刺激を与え十分な固定を行う事である。

    2.骨折の症状

    ①全身状態
      外傷では意識、呼吸状態、循環のチェックは重要である。全身的な症状は骨折部位、程度は重要である。全身的な症状は骨折部位、程度や合併損傷により異なる。骨盤骨折や大腿骨の骨折ではまれに出血性ショックに陥ることがある。骨折の程度に関わらず、常に全身状態の把握に努め、全身状態が悪化している場合には主要臓器の損傷を考える必要がある。
    ②局所症状
    ・ 疼痛:一般に骨折部には強い自発痛があり、運動時痛を認める。また、圧痛、叩打痛、介達痛(軸方向に叩打して振動圧を加えると疼痛が誘発される)を認める。
    ・ 腫脹:出血による腫脹、皮膚色の変色を認める。一般に骨折後24〜27時間ころが腫瘍の最も著しい時間帯である。
    ・ 機能障害:疼痛のために隣接関節の機能障害が起こる。
    ・ 変形:完全骨折において骨片の転位に応じた屈曲、短縮、回旋、膨隆などの変形が起こる。不全骨折では明らかでない場合もある。
    ・ 異状可動性:完全骨折では異常な可動性を認める。
    ・ 異常姿勢:骨折部位によっては痛みが緩和するために防御的な特有の姿勢をとることがある。
    外傷の大小によるが、軟部組織の損傷に対汁基本的な初期治療は冒頭でも述べるRICE療法である。骨折治療の目標は、できるだけ早く良好な骨癒合を得て、四肢の機能障害を残す事なく、早めに社会復帰することである。そのためにRICE療法とともに整復・固定・リハビリが重要である。
    ①整復 可能なかぎり、解剖学的整復位が望ましい。
    ・ 徒手整復:骨折部位により適切な麻酔を選択し、愛護的な整復を行い、二次的な障害を引き起こさないように実施する。無理に徒手整復を行おうとすると、神経や血管の損傷をきたすばかりでなく、腫脹・浮腫を助長し治療を遅らせる。
    ・牽引法:牽引法には2つの目的がある。1つは整復であり、徒手整復が困難である場合には持続的牽引によってゆっくりと整復を行う。もう1つは整復位を保持し、骨癒合の促進をはかるためである。牽引方法には、介達牽引法(包帯や絆創膏で皮膚を介して牽引する方法と直接骨にキルシュナー銅線などを刺入して行う直達牽引方法がある。
    ・ 観血的整復:骨折は保存的治療が原則である。ただ、骨片の転位の状態、程度、不安定性などにより保存的に整復・保持が困難な場合に外科的に骨折部を整復し固定する。内固定には主として金属が用いられる。
    ②固定
    固定が不十分で骨折部が不安定だと遷延治癒、偽関節となりやすい。
    ・外固定:副子、ギプスなどにより、体外から骨折部を固定する方法である。外固定は原則的には骨折部の中枢・末梢の隣接2関節を含めて固定する(例えば脛骨の骨折では膝関節と足関節を固定する)
    ・ 内固定:主として金属を用いて骨折部を外科的に固定する方法。体内金属は基本的に異物でありアレルギーを引き起こす可能性があり、また細菌感染が併発するとその温床となりやすい。 ・創外固定:骨折部の骨の近位と遠位に金属ピンを挿入し、体外で連結器により連結・固定する方法である。開放骨折など、感染を起こしやすい骨折に用いることが多い。

    3.骨折の合併症

    [骨折に伴う合併症]
    ①軟部組織の損傷
      皮膚、筋、腱、靭帯、神経、血管などの損傷を合併する事がある。
    ②神経損傷
    転位した骨折端による圧迫や骨折部に挟み込まれたり、変形治癒ののちに圧迫障害を生じる場合がある。次のものが代表的である。
      上腕骨骨幹部骨折:橈骨神経麻痺
    橈骨遠位端骨折:正中神経麻痺
      腓骨頭骨折:腓骨神経麻痺
    脛骨内果骨折:脛骨神経麻痺
    ③血管損傷
      神経と同様に転位した骨折端による圧迫や損傷、骨折部に挟み込まれて生じる。また、骨折に伴う著明な腫脹により血流障害を生じることがある。
    ④阻血性拘縮
      深部動脈血流障害により生じ、筋・神経への阻血性障害をきたす。特に筋組織は阻血によって変性や壊死を起こし、硬い腺維性

    4.骨折の看護

    [ケアのポイント]
    ○患者搬送時、脊椎の骨折が疑われる場合には二次的な脊髄神経損傷をおこさないように頸椎であれば頸椎カラーによる固定や胸・腰椎であれば安定したベッドでの搬送が望ましい。また移動時には脊椎をできるだけまっすぐに保持する。脊椎の骨折に伴い、脊髄神経損傷をきたしている場合もあり、神経障害の有無に注意する。

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