パーキンソン病の看護の実際│学生に合わせた看護計画や援助のポイント

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    By看護研究科 小日向 さくら

    記載日:2017/07/23
    更新日;2018/05/01
    統合失調症6

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    大日方さくら


    こんにちわ! 看護研究科の大日方 さくらです!今回はパーキンソン病の看護についてご紹介させて頂きます!





    認知症2

    1.パーキンソン病の病態生理


    パーキンソン病は、振戦、筋固縮、無動、姿勢反射障害を中核症状とする、錐体外路系を中心とした神経変性疾患とで、歩行障害などの運動障害に加え、精神症状や自律神経症状などの非運動症状を呈する。特定疾患に指定されている神経難病の1つで、日本の有病率は10万人に対して100人前後であり、人口の高齢化につれて患者数は増加しています。

    学生さんが優先して考えなければならない歩行障害に関連した転倒・転落

    パーキンソン病では振戦・固縮・無動は三大徴候と呼ばれ、転倒の最も重要なリスク要因である歩行や姿勢を大きく障害します。

    姿勢反射障害、低血圧、排尿・排便障害なども転倒を引き起こす原因です。

    パーキンソン病による歩行や姿勢の障害は転倒のリスクを増大させている要因の1つとして考えるようにしましょう!

    認知症4

    2.パーキンソン病の看護の実際



    パーキンソン病の治療

     

    治療の基本は,レボドパ(L-ドーパ)を含む薬剤の投与である。現在では,ほとんどがカルビドーパなどとの合剤のかたちで使用される。近年ではこれらの薬物療法のほかに,外科治療として視床下核や淡蒼球に手術的に電極を埋め込んで臨床症状の改善をはかる深部電極治療も行われるようになった。
    これらの薬物療法・外科的治療は,黒質の神経細胞の数が減少していく過程を根本的に治療するものではない。

    通常,薬物は発症後3~4年間は非常によくきき,患者はほとんど正常の社会生活を送ることができる。

    しかし神経細胞の数の減少とともに,経過が5~6年を過ぎるころから,薬物の効果が徐々に低下してくるすり減り(ウェアリングーオフwearing-Off)現象,また突然薬の効果が切れてからだが動かなくなるオン-オフon-off現象,さらには四肢・体幹が不随意に動いてしまうジスキネジアdyskinesiaなどがみられるようになり,薬物の量や種類を調節する必要が出てくる。

    発症から10年を過ぎると,薬物の投与に関わらず、歩行障害や姿勢反射障害が強くなり、車椅子による移動や寝たきりの生活を余儀なくされる場合が多い。

    パーキンソン病の看護

     

    パーキンソン病治療の中心は,ドーパミンを主体とする薬物による対症療法であり,疾患の進行をとめるものではない。そのため患者は徐々に進行する病態と生涯たたかわなければならない。

    パーキンソン病は振戦・固縮・無動・姿勢保持障害などの運動障害だけでなく,精神症状や自律神経症状など,多様な症状を伴う。看護にあたっては,日常生活動作に関する援助だけでなく精神的援助も重要であり,また患者だけでなく家族への援助・指導も必要である。

    ここでは,病期分類として用いられることの多い、ホーンーヤールHoehn&Yahrの重症度分類でStageⅢ・ⅣとVの患者の看護を取り上げる。

    パーキンソン病の重症度分類

     

    ホーン‐ヤンルの重症度分類              生活機能障害度

    stageⅠ 症状は一側性で機能的障害は無いかあっても軽微である。      
    Ⅰ度 日常生活、通院にほとんど介助を要しない。

    StageⅡ 両側性の障害があるが、姿勢保持の障害は無い。日常生活、仕事は多少の障害はあるが行いうる。

    StageⅢ 姿勢保持障害がみられる。      
    Ⅱ度 日常生活、通院に介助をある程度制限されるが職業によっては仕事が可能である。
    活動はの障害は軽度、中等度であるが、一人暮らしが可能である。

    StageⅣ 重篤な機能の障害を呈し、自力のみによる生活は困難となるが、支えられずに立つこと、歩くことはまだどうにか可能である。

    StageⅤ 立つことも不可能で、介助なしではベッドまたは車いすにつきっきりの要し、歩行・起立不能。     Ⅲ度 日常生活に全面的な介助を生活をしいられる。

    生活機能障害度がⅡ度の場合


     

    生活機能障害がⅡ度とは,ホーンーヤールの重症度分類でStageⅢ・Ⅳにあたる状態である。
    姿勢保持障害がみられ活動は制限されるが,自力での生活は可能である。
    しかし,バランスを失いやすくなり,転倒の危険性が増している。薬物療法が進歩し,生活動作の向上ははかられているが,日常生活における援助は多くなってくる。重症度分類Ⅴは,日常生活に全面的に介助を要する状態である。



    パーキンソン病のアセスメント

     

    身体症状:安静時の振戦(手足のふるえ),筋固縮,動作の緩慢(無動・寡動),姿勢保持障害の程度,歩行状態(小きざみ歩行・突進現象・すくみ足),仮面様顔貌など自律神経障害:便秘・排尿障害(膀胱直腸障害)の有無,起立性低血圧

    構音障害:声の大きさ・明瞭度・抑揚・速度(小声になることが多く,発声がはっきりせず,ゆっくりとなる)

    精神症状:幻覚・妄想,意欲・自発性の低下,認知症

    合併症の有無:肺炎,尿路感染症

    薬物療法の効果:副作用や薬物効果の変化(オン-オフ現象,アップダウン現象,すり減り現象)

    パーキンソン病の看護目標

     

    重症度分類Ⅲ・Ⅳの場合は,自立した生活が送れるようにすることを目標に援助していく。

    ①合併症や転倒などをおこさず,日常生活動作が自立できる。

    ②指示どおりに薬物を内服できる。

    パーキンソン病の看護活動

     

    日常生活動作へ援助:薬の内服後で状態のよい時間帯には,できるだけ自立して生活ができるように援助を行う。またベッド上だけの生活にならないように,日中はいすに座ったり、歩行練習をしたりして,生活にリズムをつけて過ごすように指導する。

    そのためには入院前の状態も含めて,前もってアセスメントをすることが重要である。

    <移動>

     

    視覚や聴覚のうえから運動感覚を補助するために,床にある間隔でテープをはったり,動作にリズムを与えたりする(歩行時は「いちに,いちに」と声かけるなど)。支持歩行では,バランスを失ったときは,いつでも支えられるような位置で介助をする。歩行が困難となった場合は,車いすを使用する。その際,姿勢障害によって傾くことが多く,車いすごとの転倒を引きおこすおそれもあるので,傾く側にクッションを置いて姿勢を支持するなどの工夫をする。

    <食事>

     

    嚥下能力の状態に応じて援助する。食事をするときは姿勢を整えるよう指導する。食物は食べやすいように,ひと口大に切ったり,きざみ食、とろみ食にしたりする。状態によっては,全がゆや軟食も考慮する。酸味や刺激の強いもの・誤嚥しやすい粉末状のものは避ける。自助具もくふうし,状態に合わせて使用をすすめる(市販品も多数ある)。嚥下をしやすい体位がとれるように援助することも必要である(座位・車いすでの食事、顎を引き、頭を前方に傾けるなど)。食事が不可能な場合は,経鼻的経管栄養法や瘻管法(胃瘻造設)が選択されることもある。誤嚥したときは,すぐに吸引が行えるように準備をしておくことが必要である。

    <更衣>

     

    出来るだけ自立を促すためにも,着脱のしやすいものを選択する。ボタンのかわりにマジックテープやスナップなどのついたシャツにしたり,頭からかぶるものは避けるなど,状態や能力に合わせて細かくくふうすることが必要である。靴は足に合ったもので脱げにくいものがよい。ひものついたものは踏んで転倒する危険があるうえ,細かな指の動作を伴うので,適さない。

    <清潔処置>

     

    感染予防の面からも,全身および局所(とくに陰部)の清潔処置はたいせつである。シャワーや特殊浴槽を使用するときは介助をする。

    <排泄>

     

    自律神経障害によって,膜胱直腸障害がおこることが多い。排尿の状態をチェックし,患者の状態に合わせて尿器や移動型トイレ・安楽尿器を使用する。しかし,自力での移動が困難であっても介助によって移動が可能であれば、ベッド上での排泄はできるだけ避けるべきである。残尿が多いときは,カテーテル留置や間欠的導尿を行う。ただし,これらの処置は尿路感染症の原因となりやすいため,無菌的に行い,かつ長期の留置は避ける必要がある。便秘に対しては,温奄法や腹部のマッサージを行い,また腹圧のかけやすい姿勢での排泄を試みさせる。重症の便秘に対しては摘便や,医師の指示によって坐薬の使用,浣腸を行って,定期的に排便がみられるように援助する。

    <薬物療法>

     

    パーキンソン病には薬物療法が行われるので,正確に薬物が内服できるように援助することが重要である。とくにレポドパ(L-ドーパ)の長期使用患者で薬物血中濃度に対応して薬効にばらつきが生じ症状にも日内変動があらわれることがある。薬物血中濃度が低下すると日常生活動作に支障をきたすので本人だけでなく家族も含めた指導が必要である。指示された量と内服時間をまもらなければならないが,自分で内服ができないときは介助し,また錠剤が内服できないときは散剤にしてもらうなどの配慮が必要である。同時に,薬効だけでなく副作用の観察を行う。内服時の注意として,レボドパの消化管からの吸収や脳への移行に,食事や消化管の動き(便秘)が影響するので,牛乳による内服は避け,また空腹時の内服はできるだけしないようにするほか,便秘も薬効が低下するので注意する。退院後の生活に合わせた内服時間・管理方法についても,入院中に考慮することが必要である。

    <事故防止>

     

    ベッドの周囲や通路・廊下などには物は置かないようにし,また床がぬれていることがないように注意する。患者が歩行時につかまるものは,できるだけ固定することが望ましい。ベッドの柵は必ず上げ(立て),高さは低くする。ベッド柵のロックがかけられていることも確認する。

    <精神面への援助>

     

    精神症状が出現したときは,まず周囲の人たちが状態を理解しなくてはならない。そのうえで,患者や家族に疾患の正しい知識をもってもらえるように援助をする。患者とかかわる時間を多くし,話をよく聞き,同調的な態度をとるように指導する。訴えを無視したり,話の内容を否定したりしてはならない。一方,動ける時間を有効に使って,気分転換がはかれるように環境を整えたり,元気であったころの生活内容を取り入れたりするのもよい。自宅に戻ることも考え,家族によるケアも取り入れていく。


    生活機能障害度がⅢ度の場合

     

    生活機能障害Ⅲ度は,ホーンーヤールの重症度分類でStageVにあたる。この時期はほとんど寝たきりの状態となり,自力で体位変換もできないことが多い。日常生活動作はほぼ全介助となり,家族の不安や絶望感,介護の負担もさらに増す。合併症を予防しながら身体的・精神的援助を行っていく。


    アセスメント

     

    生活機能障害がⅡの場合のアセスメントに加えて,次の事項を観察する。

    ①日常生活動作の状態→自力で体位変換が行えるか。

    ②嚥下状態・咀嚼状態→嚥下・咀嚼ができるか,流涎の有無

    ③言語障害→構音障害の状態やコミュニケーションが行えるか。

    ④感染症・褥瘡の有無

    ⑤精神症状

    ⑥薬物の内服状況→内服が確実に行えているか

    看護目標

     

    重症度分類でVの段階は,日常生活を含めてほぼ全面介助となる。合併症が重なって原疾患を悪化させることがあるため,合併症の早期発見が重要である。重度とはいえ,安楽に過ごすことができ,さらに家族と過ごす時間もとれるように援助することがたいせつである。

    1、合併症が予防され,もし合併症がおきたときには早期に発見され,治療が受けられる。

    2、安楽に入院生活を送ることができる。


    看護活動

     

    <全身状態の観察>

     

    全身状態では,とくに発熱の有無とそれに伴う感染症状を早期に把握する。

    肺炎の予防:肺炎のおそれがあるときは,蒸気吸入を行ってたんの喀出を促す。自力でたんの喀出ができないときや,誤嚥があるときは,吸引を行う。

    水分の補給:肺炎などで水分が摂取できないときは脱水状態になるおそれがあるので,必要に応じて点滴や経管・胃瘻で水分を補う。

    褥瘡の予防:褥瘡の有無を観察する。自力で体位変換ができないときは,2時間おきに介助によって行う。体位変換時には全身の皮膚,とくに褥瘡好発部位を観察する。

    <意思疎通への援助>

     

    重度になると言語障害も進み,コミュニケーションも円滑に行えないことが多くなる。言語だけで意思の疎通が行えなくなったときは,「はい」「いいえ」の合図を決めておき,簡単な質問で意思を確認したり,文字盤で意思が示せるようにするなどのくふうをする。

    <事故防止・日常生活動作への援助>

     

    不随意運動や姿勢の安定困難などから,転倒・転落の危険があるので,ベッド周辺動作での事故防止が必要となる。日常生活動作は状態に応じて援助する。

    ①ベッド環境の整備

    不随意運動が増強することもあるので,転落などの危険防止のためにベッド柵は必ず立てておく。また,振戦によって上肢がベッド柵にあたって外傷をきたすおそれがあるので,柵にやわらかい布などを巻いて衝撃から保護することもある。

    ②残存動作能力への配慮

    日常生活動作はほぼ全面介助になるが,たとえば体位変換時に柵を持つ動作など,少しでも患者自身でできることは,時間がかかっても行うように促す。

    ③体位・姿勢への援助

    寝たきりになることが多いが,日中はできれば車いすで過ごせるようにしたり,ベッドの頭側を上げて視点を少しでも変えたりして,生活に変化がもたせられるように考慮する。その際,足側も少し上げれば,ずり落ちずにすみ,褥瘡の予防にもなる。また上体が左右に傾くことが多いので,傾く側にクッションなどを置くとよい。

    ④起床・移乗時の注意

    自律神経障害によって起立性低血圧をおこすことがあるので,ベッド挙上時や車いすへの移乗時は,ゆっくりと頭側・上体を上げることが必要である。

    <精神面への援助>

     

    ①不安の軽減

    徐々に進行する病状に患者の不安も増し,さらに前述したようにコミュニケーション能力の低下によって訴えたいことも訴えられず,精神的な苦痛も強くなる。患者の気持ちを十分に理解して,回数多く訪室し,家族の協力も得る。

    ②薬物の副作用出現後の対応

    薬物の副作用によってせん妄・幻覚があらわれたときは,ただちに主治医に連絡する。

    <家族への援助>

     

    パーキンソン病との診断を聞いて,家族もショックやとまどいを感じている。患者だけでなく,家族にも疾患の理解を深めてもらうように説明する。コミュニケーションをとるときや移動時の介助も,入院中に家族にいっしょに行ってもらうとよい。また,必要であればリハビリテーション部門と連携をとり,家族に運動訓練などにいっしょに参加してもらうことも意義がある。家庭での生活習慣や患者の性格などに関しては,家族からも聞き,看護にいかしていく。

    コミュニケーション3





    3.パーキンソン病の標準看護計画についても知っておこう


    問題リスト

    #1ADLに支障をきたしており、日常生活がスムーズに営めない
    #2構音障害があり意思の疎通が図れない
    #3嚥下障害があり誤嚥の危険性がある
    #4運動量の低下により便秘になりやすい
    #5内服薬による副作用出現の可能性がある
    #6細かな事ができにくく清潔が保てない可能性がある
    #7疾病および長期療養に対して不安がある

    看護計画

     

    看護目標
    適切な援助を受けながら、危険防止に努め安全な入院生活が送れる

     

    パーキンソン病の観察項目

     

    1食事摂取量、摂取状況
    2ADLの観察
    3症状の観察

    ・振戦、筋固縮、動作緩慢、姿勢の異常
    ・突進現象、小刻み歩行、加速現象、すくみ足
    ・仮面様が尿、よだれ
    ・言語障害、書字障害
    ・自律神経症状 便秘、脂顔、起立性低血圧、多汗
    ・高次機能障害 抑うつ、関心欠如

    パーキンソン病の援助計画

     

    1 1日の日課を作り、規則的な生活を送れる
    2食事は、出来る限りデイルームで摂取できるよう援助する(歩行訓練にもなる)
    3エプロン、障害者用スプーン、フォーク、ショックずれ予防マット等を利用し出来る限り自分で食べられるよう工夫する
    4食事摂取状況があまりに不潔と感じられるときは、部屋で食べさせたり、カーテンを引くなどの考慮を行う
    5食後は、ベッド周囲、オーバーテーブル等、こぼした物は片付ける
    6モーニングケア、イブニングケア、入浴 必要に応じて介助
    7寝衣交換日は、ボタンを閉められないこともあるため介助する
    8歩行時は、杖、歩行器、車椅子等、状況に応じて利用し転倒予防に努める
    9靴は、運動靴化リハビリ用の靴を使用する
    10動作は患者のペースで行い、突然声をかけない
    11転倒が頻回な場合は、ヘッドギア、肘、膝用のサポータを使用する
    12ベッド周囲は整理整頓し、よく使うものは患者の手の届く所に置き、自分のことは自分でできるように患者と共に考える
    13ベッド柵は最低2個を使用する
    14ナースコールは障害に応じてタッチ式、プレス式ナースコールを考慮する
    15歩行困難がある場合は、ポータブルトイレ、障害者用トイレなどを利用する
    16排便は時間を決めて車椅子に誘導する

    パーキンソン病の教育計画


     

    1足の運動をしてから動くよう説明する
    2膝を高く上げて歩くよう説明する
    3水分、果実、野菜、高線維食の摂取を勧める

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